2016年12月08日

子供の頃に憧れたのは「筆塗り」

 多少地方差があると思うが、私が子供の頃、とくにガンプラブームがあった80年代初頭は、ビデオが各家庭に「一家に一台」と言えるほどには普及していなかった。
 TV番組は放送時、再放送時に直接見るもので、録画して後から見返す文化はまだ一般化していなかった。
(主題歌や流行歌は、TVにラジカセを接近させ、息をひそめて録音したりしていたっけ……)

 だからガンプラを塗る時、参考にする資料は「映像」ではなく全て「紙」の情報だった。
 プラモの箱絵や完成見本写真、当時の駄菓子屋で売っていたガンダムのシールブックなどが、組み立てや彩色の大切な情報源になった。
 中でも良質でカッコいい資料として重要視されたのが、メカニックデザイナー・大河原邦男や、キャラクターデザイン・原画の安彦良和の手による、ポスターや設定画だった。
 当時のポスターや設定画を見られる本は、たとえば以下のようなものがある。


●大河原邦男画集―Gundam art works

 そしてガンプラブーム当時の模型雑誌の作例も、大河原邦男や安彦良和の絵の影響が強かった。


●HOW TO BUILD GUNDAM &2復刻版

 エアブラシやエアコンプレッサーが一般に求めやすくなったのは確か90年代に入ってからで、当時の小学生にはとうてい手が届かなかった。
 雑誌の作例もまだ「筆塗り」の物が多く、今日の眼から見るとかなり「荒い」という印象になるかもしれない。

 しかし、そもそも当時のモデラーや子供たちが憧れた大河原邦男や安彦良和のカラーイラスト自体が、ポスターカラーを使用し、筆跡を活かした絵柄だったので、当時の作例は「憧れの絵」が実体化したように感じられて、たまらないほどカッコよく見えた。
 今でも私は、エアブラシで美麗に仕上げられた作品より、筆で塗りあげ、かなり汚した作品の方が好きだ。
 だからガンプラ復帰して最初の作品にあたるリアルタイプガンキャノンも、流行りには背を向けて筆塗りし、とても楽しかった。

 ただ、ブランクが長かったのでとにかく完成することを重視して、私としてはちょっと「大人しめ」の感が残る仕上がりになった。
 もっと思い切ってボコボコグチャグチャに塗ってみたいという、絵描きとしての欲が芽生えてきた。
 ガンプラの歴史も三十五年を超え、様々なタイプの模型が出ている。
 安価で形状がしっかりしていて、好みの「塗り」に専念するのにちょうど良いのが、「ファーストグレード」と言うシリーズだ。
 私が愛してやまない最初のガンダム(今では「一年戦争」と呼ばれる)登場のモビルスーツからは、以下の三種が発売されている。


●FG 1/144 RX-78-2 ガンダム
●FG 1/144 MS-06S シャア・アズナブル専用 ザク
●FG 1/144 MS-06F ザク

 定価は1/144旧キットと同じ300円、成型色は一色、パーツはモナカ割り。
 しかし形状は先行して発売された1/60パーフェクトグレードを踏襲しているので、旧キットに特殊なノスタルジーを感じられない世代でも十分納得できるだろう。
 ただ、表面処理や全塗装が必須なので、作り方は旧キット的で手間がかかる。

 ガンプラの基本中の基本と言えばザク。
 1/144FG量産型ザクを、今の私の「めいっぱい」で塗ったらどうなるか?
 試してみる気になった。
(つづく)
posted by 九郎 at 23:58| Comment(0) | TrackBack(0) | サブカルチャー | 更新情報をチェックする
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