ギャンである。
記憶の範囲で設定をさらっておこう。
ジオンが一年戦争終盤に開発していた宇宙戦用試作MSで、ゲルググと次期量産MSの座を争ったとされている。
結局採用は見送られたが、性能は悪くなかったのでマ・クベ大佐の乗機として配備された。
確か設定はこんな感じだったはず。
搭乗するマ・クベ大佐の「骨董趣味を持つ策謀家」というキャラクターは、小学生当時ちゃんと把握できてはいなかったが、その後の人生の中で反芻するうちに、じわじわ頭に沁み込んできた。
地球圏の支配層を滅ぼすためには手段を択ばないが、文化財の保全には意欲を持っていたという性格設定は、ある程度年食わないと了解できない(笑)
中世ヨーロッパの甲冑を思わせるデザインのギャンは、登場シーンこそ少なかったものの、パイロットの特異なキャラクターと共に印象に残るMSだった。
キットでもけっこう人気が高く、中々手に入らなかった覚えがある。
そう言えば、二つ下の弟がギャン好きだったっけ。
私も小学生の頃、ようやく手に入れたキットを素組みし、薄い青の成型色以外のところだけ塗る簡単仕上げで完成させたはずだ。
一旦組み上げてから「HOW TO BUILD GUNDAM」の作例風に改造しようとして、結局どうなったか覚えていない。
成功していたら記憶に残っているはずだから、たぶん未完成に終わったのだと思う。
今回、リベンジである。
●1/144 YMS-15 ギャン
定価300円、成型色はちょっと強烈なスカイブルー一色。
昔作った時はもっと薄いラベンダーに近かったはずだが?
まあ成型色はけっこう変遷するものなので、今はこれで作るしかない。
素組みしてみると、最近のギャンのキットを見慣れた目には、広い肩幅、寸詰まりの顔立ち、手首に向かって細く絞られ過ぎた肘、デカ過ぎる手首などが目に付く。
しかし、あらためてアニメの設定画と見比べると、かなり忠実に造形されているのが分かる。
設定画のギャンはかなりマッシブで、ドムやゲルググと同系列の重モビルスーツとしてデザインされているようだ。
旧キットでよくある「流行りのスタイルではないが、これはこれで正解」のパターンで、むしろ最近のキットのギャンが細過ぎるのではいかと感じる。
なんとなくイメージとしてある「軽快な剣士」のイメージは、設定画ではなくアニメ動画中の印象から来ているのだろう。
そうしたイメージに沿った可動モデルが欲しいなら、素直に現行のHGUC版を購入した方が良い。
●1/144HGUC197 ギャン
今回制作する旧キットも、昔のプラモとは言えなかなか捨てたものではない。
とくにモールドてんこ盛りのシールドの造形が素晴らしく、ドライブラシで塗りがいがありそうだ。
表の造形が凄いかわりに盾の裏側はスカスカだが、古い300円プラモの正面から見えない箇所に、あれこれ文句をつけるものではない。
足首パーツの合いの悪さはちょっと困りものだ。
あまりペーパーがけし過ぎると、穴が開いてしまったりモールドが消失してしまったりする。
手間をかけずに完成させることを優先するなら、ほどほどで手を打った方が良い。
今回はより設定画のイメージに近づけるため、肩のハの字切りと、股関節の角度調整でつま先を開いた状態にしてみた。
後はいつも通りのつや消しブラックからアクリルガッシュ筆塗りでじっくり仕上げ。
ギャンは単なる「薄青」というよりは、ラベンダーのようなわずかに紫がかったイメージがある。
紫系の色は、青と赤を混ぜて作るとあまり発色が良くない。
彩度を落とした仕上げにするとは言え、要所では発色の良さがあった方が良いので、基本セットに紫やラベンダーが入っていない場合は、何色か買い足した方がいいかもしれない。
シールドはやはり塗りがいがあり、楽しかった。
敵の攻撃を防ぐための盾に、ミサイルなどの大量の爆発物を仕込むのは自殺行為ではないか?
大人になってみるとそんな理屈をこねたくなるが、この設定があってこその見栄えするデザインである。
ガンダムという作品世界の「リアル」のグレードでは、これがやっぱり正しいのだ。
最後に、うるさくない程度にマーキング。
筆塗りの粗さがかえって良い効果になり、けっこう気に入った作品になった。
最後に、ジオンの後期宇宙用MSそろい踏み。
2017年06月28日
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