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2017年07月07日

ブーム当時のガンプラ4 1/60、1/72、1/250

【1/60スケール】
 80年代初頭のガンプラブームの折、当時の小学生ファンが憧れながらも中々手を出せないシリーズがあった。
 プラモ屋の棚最上段に鎮座する巨大な箱をまぶしく見上げるばかりだったのが、今回紹介する1/60スケールである。
 完成すると全高約30pの圧倒的な迫力だったが、身の回りで実際作った物を見かけることはほとんどなかった。
 2000円から2500円の定価は、あの頃の小学生にとっては高嶺の花だったのだ。
 今から考えるとこの定価も全然高くない。
 現行キットで同スケールの1/60を作ろうとするとPG(パーフェクトグレード)という最高級モデルになり、定価は平気で一万円を超えてしまう。
 人気の1/144や1/100スケールとちがって頻度は低いが、1/60旧キットが今でもお値段据え置きで再販が続いているのは素晴らしいことだ。



●1/60ガンダム
 定価2000円。先行する1/100の変形合体ギミックと、1/144の可動・スタイルを、当時としては高いレベルで両立させた「決定版」。
 変形・収納可能なコアファイター、ライフル、シールド、バズーカ、ハンマー、同スケールのアムロも付属。
 大スケールの自重を支えるために各関節にはポリキャップが採用され、サーベルには透明素材が使用されるなど、新機軸満載だった。
●1/60シャア専用ザク、量産型ザク(基本的には箱絵と成型色違いの同一内容)
 先行発売の1/144ザクの問題点が大幅にクリアーされ、後発の名作キット1/100ザクへの流れを感じさせるキット。
 各関節ポリキャップ、モノアイはムギ球(80年代!)で点灯可能、色分けは成型色でほぼ再現。
 マシンガン、ヒートホーク、シャアザクには同スケールのシャア、量産型にはジオン兵が付属。
●1/60ドム
●1/60シャア専用ゲルググ
●1/60量産型ゲルググ
 定価2500円で、ブーム当時のキットの中では最高額。
 1/60ガンダムやザクをしのぐ巨大な箱、完成品のボリュームを誇っていた。
 先行する1/100、1/144スケールの出来が元々良かったドムだけでなく、難ありだったゲルググもきっちり欠点を修正した「決定版」として登場した。

 書いていて思い出したが、私の二歳下の弟が、当時お小遣いをはたいて1/60スケールのシャアザクを作っていた。
 1/144のコレクションに集中していた私は「そんな高くてデカいの、よう買うな」と思っていたが、今から思うとその二年ほど前、自分でも「宇宙戦艦ヤマト」の巨大プラモを作っていたのだった。
 しかも値段とボリュームで言えば、ヤマトの方がはるかにデカかった。
 男の子の発達段階として、「とにかくデカいメカに憧れる時期」というものがあるのかもしれない(笑)

【1/72メカニックモデル】
 今ではあまり見かけないが、かつて「メカニックモデル」というプラモのジャンルがあった。
 ロボット等のメカの表面の一部を切り欠き、内部構造を透視するように垣間見せる趣向のプラモで、ガンプラに先行する宇宙戦艦ヤマトのプラモ等でもけっこう人気があった。
 現行のMG等で再現されている「内部フレーム」は、広い可動範囲を確保するための実用性を持っているが、旧キットの「内部メカ」はまた別物で、見た目のイメージ重視、実用性は一切無い(笑)
 70年代あたりのサブカル界隈では、ロボットや怪獣、妖怪などの空想透視図がよく描かれていて、ガンプラのメカニックモデルもそうした流れを汲むものなのだ。


●1/72メカニックモデル ガンダム
●1/72メカニックモデル シャア専用ザク
 ともに定価2500円。再販頻度は低いが、タイミングが合えば今でも入手可能。

【1/250スケール】
 ここまでは大きなサイズの、当時としては高級モデルについて紹介してきた。
 ブーム当時、スタンダードだった1/144より小さいスケールもあって、それが「1/250情景模型」シリーズだった。
 1/250スケールについては、当初は1/144の300円シリーズよりも求めやすいミニプラモとして企画されていたようだ。
 ヤマトのメカコレ100円シリーズに続くものだったのだろう。
 最終的には固定ポーズでアニメ作中シーンを再現したジオラマモデルとして商品化された。
 1/250MS3体とジオラマベース、背景画、更に1/550のおまけプラモも付属し、定価700円で4タイトルが発売された。
 作中シーン登場のMSと、プラモの内容にやや「ズレ」が見られるのは、1/250シリーズの企画当初試作されていた原形が「有効利用」されたせいなのかもしれない。
 以下にそれぞれのキットに入っているMSをまとめてみよう。



●ランバ・ラル特攻
 1/250ガンタンク、量産型ザク(バズーカ)、グフ(ヒートロッド)
 1/550ガンタンク、シャア専用ザク(マシンガン)、グフ(サーベル)
●ジャブローに散る
 1/250ジム、シャア専用ズゴック、量産型ザク(マシンガン)
 1/550ジム、量産型ズゴック、シャア専用ザク(ヒートホーク)
●テキサスの攻防
 1/250ガンダム(サーベル)、シャア専用ゲルググ(ナギナタ)、ガンキャノン
 1/550ガンダム(バズーカ)、量産型ゲルググ(ナギナタ)、ガンキャノン
●宇宙要塞ア・バオア・クー
 1/250ガンダム(ライフル)、ジオング、リックドム
 1/550ガンダム(サーベル)、リックドム(サーベル)

 固定ポーズながら、1/250で主要なMSは入っている。
 1/144ボールに入っていたおまけも合わせると、アニメ登場MSで完全に欠けているのは旧ザク、ゴッグ、アッガイ、ゾック、ギャンくらいになる。
 シャア専用と量産型は基本的に色違いだけだから、1/250でかなりのMSがそろうのだ。
 品薄だったガンプラの中ではこの「情景模型シリーズ」は比較的入手しやすく、固定ならではのポーズ付けもあって、わりとみんな買っていた。
 ジオラマベースの出来が良いのも嬉しかった。
 模型誌に載っているジオラマの作例は当時の小学生の憧れの的だったが、オリジナルのベースの制作はプラモ本体にもまして難易度が高かった。
 それがこのキットでは、複数のMSと共に、お手頃価格で入手できるのである。
 ドライブラシの練習台にぴったりで、他のプラモも含めて飾り台にすると雰囲気が出た。
 みんなで集まってプラモを作ったり遊んだりする時によく使っていた覚えがある。
 このシリーズも、頻度は低いが今でも再販は続いている。

【1/250スケール イロプラ】
 そしてブームが去った後、この1/250スケールは成型色を増やし各関節可動の「イロプラシリーズ」として再開されるのだが、下記MS4種(定価200円)とGアーマー(定価600円)のみの発売になった。



●1/250 ガンダム
●1/250 シャア・ザク
●1/250 量産型ザク
●1/250 グフ


●1/250 Gアーマー
 現在はこのGアーマーのみ再販継続。
 短命に終わったイロプラシリーズだが、同一ランナー内に多数の成型色を使い、塗装の必要箇所を減らす技術は、現行のガンプラにつながっている。
 また、この1/250に近似した「1/144より小さい手のひらサイズ」は、その後もミニプラモや可動フィギュアで継続して商品化が続くことになる。

 後発のMSVシリーズではジオングも1/250でリメイクされていた。

●1/250パーフェクトジオング
 キットは「完成形」にもできるし、アニメ版の「80%」として作ることもできる。

 熱狂的なブームが去った後も、84年くらいまではファーストガンダムのプラモは新規発売され続けていたのだ。
(続く)
posted by 九郎 at 23:59| Comment(0) | TrackBack(0) | サブカルチャー | 更新情報をチェックする
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