そしてスーパーロボット路線がやや下火なまま時が流れた90年代初頭、アニメ「ゲッターロボ號」によってゲッターシリーズが再起動された。
70年代ゲッターは合体変形に「マンガ・アニメ的なウソ」が多く、玩具ではそのギミックが再現されなかった。
新しい90年代ゲッターは、そうした欠点を克服した上での再起動だった。
80年代に飛躍的に進化したリアルなメカニックデザインや変形技術を吸収し、「実際に三機による三種類の合体変形ができるゲッター」としてリファインされたのだ。
この作品も、そもそもはTVアニメ版先行の企画であったが、同時進行で執筆された石川賢によるマンガ版は、70年代マンガ版ゲッターの直接の続編として独自にストーリーが展開された。
●「ゲッターロボ號」
前半の精緻なストーリー展開と、終盤のダイナミックプロ的な「暴走」のバランスが絶妙で、個人的に石川賢の最高傑作ではないかと思っている。
中盤で世界各国のスーパーロボットチームが終結し、内部抗争を経て共闘する展開は、何度読んでも面白い。
後に映画「パシフィックリム」を観た時、「このスタッフ、ぜったい石川賢読んでるやろ!」と思ったことを覚えている。
その後も時間軸はやや前後しながら、ゲッターロボシリーズは「真ゲッターロボ」「ゲッターロボアーク」と、2003年まで描き継がれ、スケールの大きなSFサーガとして、石川賢の代表作に成長した。
リアルロボット路線を経て目の肥えた年長のファン層にも十分応える水準に達し、ゲームとも連動して再評価につながったのだ。
●「真ゲッターロボ」
●「ゲッターロボアーク」
スーパーロボットの創出者たる永井豪自身が、「Z」のマンガに全力を傾注する機会も、90年代初頭に連載された未完の大作「マジンサーガ」(90〜92年、週刊ヤングジャンプ連載)を待たなければならなかった。
近未来の火星を主な舞台に、「マジンガ―Z」「グレートマジンガ―」「グレンダイザ―」に登場するキャラクター達が少しずつ役柄を変えながら登場するだけでなく、永井豪の過去作品の中から様々なイメージが再投影されている。
70年代の「Z」とはまったく別作品で、実を言えば「スーパーロボット」ですらないのだが、青年誌連載で制約が少ない分、存分に永井豪の持ち味が発揮されている。
さしずめ「スーパー永井豪ワールド大戦」と言った趣のある大活劇で、一読の価値はある。
現在手に入りやすいのは数年前に再刊された以下の版。
●「マジンサーガ」
連載当時から大幅な加筆があるが、それでも未完。
永井豪の絵柄は90年代以降大きく変わってはいないので、加筆分もさほど違和感無く楽しめる。
とくに戦闘シーンの加筆には、故・石川賢の作画スタッフが参加していると思われ、直近まで「ゲッターロボ」シリーズ等で練り上げられた描写力がよく活かされていると感じた。
ダイナミックプロによるスーパーロボット路線の、現時点での最終到達点と言えるだろう。
(続く)