2018年04月12日

フェイクニュース?!

 またまた旧聞に属するが、今年2月末の毎日新聞の記事が、とある界隈をざわつかせたことがあった。
 記事自体はタレント・森口博子のインタビューであり、新曲録音に関するものだ。
 以下にネットで無料公開されている記事冒頭を引用してみよう。

 森口博子 原点回帰に魂震える
「Zガンダム」主題歌、32年ぶり録音
 バブル直前の日本にロボット、いやモビルスーツのブームをもたらしたのは1985年の「機動戦士Z(ゼータ)ガンダム」だった。79年に始まったZの付かない初代は“序章”的位置付けで、「Z」から、今に連なるロボットアニメ、ガンプラブームやアニソンブームが始まったと言っていい、エポックメークな存在である。その主題歌「水の星へ愛をこめて」を歌って森口博子は芸能界デビューを果たした。


 Zガンダムの後半主題歌で歌手デビューした森口博子の、32年ぶりの主題歌録音についてのインタビューであるから、ある程度「盛った」煽りはあってしかるべきだとは思う。
 しかしながら、80年代初頭のガンプラブームを実体験した40〜50代のオールドファンから見れば「噴飯もの」としか言いようのない作文で、当然の如く炎上した。

 以下にまとめ記事からネット上の主な反応を引用してみよう。

「事実に反している」
「知りもしない事を偉そうに書くな」
「Zの前はどうした?ニワカめが!!フェイクニュースだ」
「もう初代ガンダムのブームを知らない世代が毎日新聞の記事を書く様になったんだ」
「初代が序章…あんな濃い内容なのに序章…? たぶん書いた人は初代見たこと無いんじゃないですかね」
「ファーストがあってZ、ZZ が出てきた訳で、フェイクと言うより【無知の極み】的な記事」
「ガンプラブームは『機動戦士Zガンダム』が始まる5年前の1980年から起きており、当時のガンプラブームは毎日新聞でも報道している筈ですが?」
「毎日新聞は正気か!?初代はアニメ映画史で初の三部作を公開しその際オリジナルのアニソンを作ったりとブームを牽引。またガンプラは既に初代の頃に超絶ブームだったぞ!」


 ……だいたい言い尽くされているが、一応私なりに「史実」をまとめてみる。

・79年放映開始の初代TVアニメ「機動戦士ガンダム」は、本放送こそ視聴率の振るわない「打ち切りアニメ」であったが、口コミや再放送等で徐々に人気が高まり、TV版を再編した80〜81年の劇場版三部作で空前のブームになった。
・劇場版の主題歌は当時のアニメソングとしては珍しくヒットし、歌番組でも演奏された。
・同時期に空前のガンプラブームが勃発した。
・80年代初頭の爆発的なブームにより、ビッグバンのように「ガンダム市場」が形成され、以後40年にわたって作品制作、関連ビジネスが継続している。

 つまり、「ガンダム」は作品評価もガンプラブームも「初代>>>>>>後継作品」であって、毎日新聞の記事は短い紹介文の中に「不正解」ばかり詰め込んでしまっていることになるのだ。
 たぶん記者の人はまだ年若くて、ガンダムについて何の興味も持っていなかったのではないかと思う。
 一大市場を形成している作品の紹介にしては、ずいぶん迂闊な記事を書いてしまったもので、気の毒ながら炎上しても仕方がない。

 記事で取り上げられた「機動戦士Z(ゼータ)ガンダム」は、初代ガンダムの直接の続編にあたり、85年にTV放映された。(このあたりの時系列は、以前投稿した極私的リアルロボットアニメ年表参照)
 劇場版三部作完結から3年待たされ、ファンの期待が過剰に高まり切ったタイミングで制作された「Z」だったが、残念ながら「スマッシュヒット」とは行かなかった。
 ファンにとっても、そしておそらく富野監督にとっても、「愛憎渦巻く」というのが正直なところだったのではないかと思う。
 ただ、これは結果論になるけれども、「Z」が初代のように綺麗に終わり切らなかったことが、逆にガンダムワールドを延命させた面は確かにあった。
 初代のような「空前のブーム」は起こせなかったが、それなりの数字は取れ、放映中からさらなる続編の制作が決まった。
 ストーリーは迷走気味でもプラモはそこそこ売れてビジネスとしては成立し、翌86年のTVアニメ「ZZ(ダブルゼータ)」、88年の劇場版完結編「逆種のシャア」へとつながっていった。
 そしてシャアとアムロの物語が決着した後も、世界観を替えながら「ガンダム」を冠した作品は断続的に制作され続け、ガンプラの新作も発売され続けた。
 こうした構図は「ウルトラマン」「仮面ライダー」「スーパー戦隊」等、先行する70年代子供番組のビジネスモデルと共通しており、80年代以降はそこにやや年長者向けコンテンツとしての「ガンダム」が加わったということだ。
 こうしてあらためてふり返ってみると、「ガンダム市場」が長期安定的に定着していく起点が、「Z」にあったということは言えるかもしれない。
 もし初代以降、続編が作られなかったとしたら、ガンプラの80年代旧キットが、昔の値段のままで再版され続けているという奇跡のような現状は、ありえなかったかもしれないのだ。

 おや?

 すると、炎上した毎日新聞の「Z」紹介記事も、言葉の選択は適切でないにしても、あながち間違ってはいないような気もしてきた……



 ネットの炎上を遠目に眺めながら、そんなことをつらつら考えているうちに、関連記事のヘッドラインの一つが目に付いた。
 NHKのBS特番向けに、「全ガンダム大投票」が行われているという。

 特設サイト:全ガンダム大投票40th
 投票期間:3月2日(金)〜4月20日(金)

 これまで制作された全ての「ガンダム」作品から、
●アニメ作品1作品のみ
●モビルスーツ3機まで
●キャラクター5キャラまで
●ソング2曲まで
 以上の条件で投票し、人気ランキングを決定するという。

 ちょうどガンダムに関する記憶を手繰っているタイミングだったので、投票に参加してみることにした。
(続く)
posted by 九郎 at 23:01| Comment(0) | サブカルチャー | 更新情報をチェックする
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