前回記事:天下一のペーパーナイフ

刀鍛冶にあこがれていた小学生の頃、近所の鉄工所の屑鉄入れから拾ってきた鉄棒から打ち出した、小さな「刀」である。
当時は磨き上げていたのだが、長い年月を経て再会してみると、見る影もなく錆びついていた。
せっかくだから空き時間に錆をとり、ついでに当時は成形していなかった「切先」も削り出してみた。

小学生の頃と同様、手持ちのやすりと彫刻刀砥石、耐水ペーパー等で磨き上げていると、また色々記憶がよみがえってきた。
打ち上げた「刀」を熱心に砥ぎ上げる小学生の私。
水をくぐらせ、水分をふき取ってから光にかざし、仕上がり具合を確かめつつ、飽きずに延々と砥ぎ続ける。
刀の反りがけっこうリアルで、思い込みの強い子供の「狂気」を感じる。
確か当時習っていた剣道で使用する木刀を参考にしていたはずだ。
磨けば磨くほど怪しく光る刀身に、没入しきっていた。
遊びの範疇で済んで本当に良かった……
念のために確認しておくと、ごく小さなもので、切れ味もペーパーナイフ程度。
コピー用紙一枚分が切れるくらいなので、法令に違反するようなものではないはずだ(笑)
