その後、私はぼちぼち作品対象年齢から外れ、80年代後半になるとブーム自体が失速したこともあり、プラモ制作からも長らく離れることになった。
極私的80年代リアルロボットアニメ年表
リアルロボットアニメの対象年齢
それでもなんとなく心の底でくすぶっているものはあり、90年代以降も模型誌を開いてみたり、模型店で新製品の動向をチェックすることだけは続けていた。
ごくまれに、現行MGやHGUCのいくつかを買ってみて、素組みしてみることはあった。
そのまま組み立てるだけで色分けがほぼ完了しており、ポージングも自在の新製品を眺め、技術革新に感嘆しながらも、どこか空虚なものを感じていた。
確かに凄い。
子供の頃、夢に見ていたカッコよくてよく動くプラモが、ついに手に入ってしまった。
しかし……
これ、俺だけじゃなく、誰が作ってもこうなんだな……
結局、私の心が求めているのは「カッコよくて良く動く完成品」ではなかったのだ。
80年代のあの頃、なかなか思い描くようにはプラモを作り切れなかった。
小学生時代はお小遣いが限られていたし、工作技術や塗装技術も全くなかった。
中学生になると技術は多少進歩したものの、思い描く理想には程遠く、また勉強の方も忙しくなって、一つ一つのプラモを完成まで持っていくことが難しくなった。
心の底でくすぶっていたのは「あの頃のやり残し」であり、欲しかったのは「プラモを納得できるよう完成できる自分」だったのだ。
時を経て、私は絵描きのハシクレになり、広く浅くではあるけれども様々な工作技術を体験してきた。
長らくプラモは作ってこなかったが、素組み(+αの小改造)の枠内を守る限り、旧キットを自分なりに納得できるレベルで塗って完成できるようにはなっていたのだ。
そして、昔のプラモを一つ一つ完成させることで、自分の中の育ち切れなかった半端な自分を、自己治癒できるらしいことに気付いたのが二年ほど前。
それ以来、仕事や作品制作の合間に、旧キットをぼちぼち作り続けている。
旧キット、素組み、アクリルガッシュ筆塗り
* * *
プラモを購入する時、自分なりの「掟」は守ることにしている。
コレクションではなく、買ったらあくまで作って完成させることを前提とする。
中古品は「箱つぶれ」でも安いなら全然OK。
一部パーツ欠けなどのジャンク品でも、無理なく完成させられそうならOK。
一期一会を大切にし、作るのにプレッシャーを感じるようなプレミア品には手を出さない。
以上の「掟」を遵守するための、各シリーズの再販や中古相場の大体の目安をまとめておこう。
★ガンプラ
他のどのシリーズよりも全般に再販が望みやすく、基本的に価格も発売当時のまま据え置き。
●ノーマルシリーズ
MSであれば、とくにコレクションサイズの1/144は、再販頻度が高い。
それ以外のスケールやMA、支援メカ、戦艦等も、頻度は低いが待っていれば再販は望める。
ノーマルシリーズのガンプララインナップについては、過去記事で詳しくまとめたことがある。
ブーム当時のガンプラ
●MSV
1/144、1/100のMSVは、ノーマルシリーズ同様、再販頻度は高い。
●ゼータ
それなりに再版されている。
●ダブルゼータ
●センチネル
●逆シャア
これらのシリーズは、頻度は多少低くなるが、再販は望める。
ガンダム以外の作品でも、バンダイから出ていたシリーズは、頻度は低いが再販はされている。
★ザブングル
★バイファム
★ダンバイン
★エルガイム
★レイズナー
★ドラグナー
さすがに価格は当時のままとはいかず、多少の割増になるケースがあるようだ。
また、金型の管理状況の問題からか、一部再版されないアイテムもある模様。
問題は「非ガンダム、非バンダイ」の旧キットシリーズだ。
基本的に再版は望めず、極めて低い頻度で再版されたとしても、価格は大幅に上がるケースが多い。
当時品を
★イデオン
初期ガンプラブームと同時発売だったので生産数がかなり多かったらしく、探せば当時品でもさほど高価でなく求めることが可能。
とくに敵メカは中古価格がかなり安い。
★ダグラム
★マクロス(現在、再販はバンダイから)
★ボトムズ
これらのシリーズは、当時品または過去の再販品で、価格二倍程度なら買いか。
三倍以上になると、よほど旧キットに思い入れのある人以外は、素直に内容が飛躍的に改善された現行キットを買う方が良いと思う。
★モスピーダシリーズ
つい最近再販があった。今がチャンス!
旧キット制作は、基本的に数百円から千円二千円程度のプラモを、時間をかけてちまちま作り上げ、塗り上げる、安上がりの趣味だ。
私の場合は中高生の頃からの未完成癖を矯正する、心のリハビリのような気分で取り組んでいる。
これからも、無理のない範囲でぼちぼち行きます。
