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2018年12月23日

ジオン系MS「モノアイレール」についての覚書

 1979年放映のTVアニメ「機動戦士ガンダム」は、ロボットアニメに多くの革新をもたらしました。
 デザインの上では、主役メカのガンダムと同等かそれ以上に、敵役の量産機「ザク」の功績が大きく、作品の「リアル」な側面を担っていました。
 ザクで創出された意匠は数多いですが、とりわけ印象深かったのが「モノアイ(単眼)」です。
 モノアイが優れている点は、非人間的なメカニックでありながら、レールに沿って頭部をグルッと周回することで「表情」が出せることです。
 ガスマスクを被ったようなおよそ人間離れしたデザインで無表情なザクに、巧みに「演技」をさせてしまうのです。
 真っ暗なレールの中から「ビーン」とピンクのモノアイが点灯し、左右に動いてザク同士アイコンタクトするあのゾクゾク感は、時代を経ても色褪せません。

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 ザク以降のジオン軍MSでも、モノアイの演出上の面白さは有効に活用されてきました。
 ドムが登場した時の「おお! 上下にも動くんかい!」という驚きも忘れられません。

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 水陸両用MSになると、さらにモノアイは進化します。
 実質「頭部」が無くなり、胴体に直接レールが敷かれることで可動範囲が飛躍的に広まり、ピンクのモノアイが自由自在に動きはじめます。

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 その究極がゾック!
 しかも、「見た目より性能高いアピール」で、物凄く素早くモノアイを動かしてみたものの、一撃でやられるオチ付き!
 ある意味あれも衝撃でした(笑)

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 ただ、ファーストガンダムのジオン系MSの中で、終盤登場のゲルググ(実質富野デザイン)だけはちょっと変わっていて、モノアイレールの可動幅が小さく、ファースト以降の続編に登場したジオン系MSに近い雰囲気です。

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 ここは子供の頃から気になって、「後頭部のトサカがセンサーになってて、視野の狭さを補ってる?」などと妄想してました。
 しかしジオン最終MS ジオングになると、モノアイレールの可動が最大限に復活します。
 ピンクのモノアイが登頂部を通ってグリグリ動き回る演出が、異形を際立たせて記憶に残っています。

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 こうして振り返ると、ジオン系モノアイデザインの面白さは、レール上の可動込みのものだったのかなと思います。
 ガンダム第一作以降のジオン系MSの新規デザインで、うまく継承しきれていないなと感じる点が、このモノアイレールで、「単眼」という点だけはクリアされていますが、レールに沿ってグルっと可動するイメージが薄くなっています。
 続編「Ζガンダム」に初期から登場したリックディアスのモノアイが、その典型であるように感じます。
 単眼がレール上を周回するのではなく、設置位置はそのままで角度を変えて視認方向を変える感じのものが多い印象です。
 一見レールに似たスリットがデザインされている場合でも、可動範囲はきわめて狭く、印象に残るシーンが少なくなっています。
 ゼータ以降のMSデザインの骨格を作ったのは永野護で、リックディアスも永野護の手によります。
 そう言えば永野護は好きなファーストガンダムのMSとして、ゲルググを挙げていたことがありました。
 MSデザインを大河原邦男一代限りにせず、他のデザイナーにバトンリレーさせた永野護の功績は大ですが、残念ながら「モノアイレール」にはあまり関心がなかったのかもしれません。(ハンブラビという異様な「例外」もあるので話はまたややこしくなるのですがw)
 一応補足しておくと、私はファースト原理主義者ではありませんし、中高生の頃はむしろ永野信者でした。
 ゼータの永野原案MSは、今から見るとどれも実にMSらしいMSで、好きなのばかりです。
 あくまで「モノアイレール」についての感想です。

 リックディアス的なモノアイ解釈は、小顔で洗練されたカッコよさは出ます。
 続編「逆シャア」のサザビーや、近年作「UC」のシナンジュはそのデザイン的な精華でしょう。
 ただ、ファーストのジオン系MSの、なんともいえぬ異形、なんともいえぬ武骨なイメージは薄れたのではないかと思います。
posted by 九郎 at 07:57| Comment(0) | サブカルチャー | 更新情報をチェックする
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