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2019年02月22日

大阪「動物のからだ」展

 先週末から大阪で開催中の「動物のからだ-生きるために選ばれたカタチたち-」を観覧してきた。
 以前紹介した「うつくしい美術解剖図」の小田隆先生が参加、Twitterで告知されているのを拝見し、せっかくの機会なのでスケッチブックを抱えて馳せ参じてみた。
 さほど広くはない会場ながら、質の高い生物標本の数々、骨格を中心に実物や様々な手法のレプリカが並び、スケッチや写真撮影、SNSへのアップも自由。
 おまけに入場無料!

 急遽参戦だったのであまり時間が取れなかったのだが、時間がないならないなりに描くのが絵描き。
 まずはフボルトペンギンから。

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 コウモリをデビルマン見立てで描く!

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 カミツキガメをジンメン見立てで描く!

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 そして出会ってしまったのが、ライオン前肢の乾燥標本!

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 一目惚れ!
 どこかのお寺に所蔵されていたら「鬼の腕のミイラ」とか言われそうな、夢枕獏「キマイラ」に出てくる幻獣の腕のミイラのような、禍々しくも威厳ある佇まいが絶品だった。

 これは描かずにおれない!
 小田先生がすぐ隣に展示されている標本でドローイングをなさっている最中だったが、空気読まずに描く!

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 なんとか形はとれたものの、全く時間が足りない。
 今週はけっこう予定が詰まっていたのだが、このままでは終われないので合間を縫ってリベンジすることにした。

 そして二回目のスケッチ。

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 B3、鉛筆使用、70分。
 ……あと三十分欲しかったか。
 しかし、撮った写真からデータを解凍する経験値は、ぎりぎり積めたか?
 前回スケッチや写真と比べると、骨格と各所の比率はほぼ一致。
 まだまだ錆びてはおりませぬ(笑)

 70分のスケッチのために、入場無料とは言え片道一時間半かけるのは「惚れたモチーフ」にそれだけの価値があるから。
 絵描きは「これは描きたい」と意欲が湧いた時には迷わず走らねばならず、70分しかとれなかったことは、仕事のある大人としては正しいが、絵描きとしてはダメなのだ。

 その後も「う〜ん、あかんな。このままではおさまらん。まだ頭の中で描いとるよ……」などとモヤモヤ思っていたのだが、会期中の小田先生のTwitterでのお言葉などにも煽られて、結局「よっしゃ、色々事情はあるけどもっかい行こ!」と言うことになった。

 腹はくくったものの、日銭稼ぎの身故やっぱり時間はとれぬ。
 かくなる上はスケッチに臨む前に土木工事を済ませ、織田軍の「長篠」の如く、鉄壁の陣形を組んでから展示会場に向かうべし。
 幸い前回前々回のスケッチでかなり「手」は出来ておる……
 出陣前、撮った写真をトレスし、下描きを先に済ませて、会場では細部に集中する策を立てた。
 たかが写真トレスと侮るなかれ。
 前回前々回のスケッチと、練り上げたデッサン力(!)あってのトレスなのだ!
 三回目のスケッチの狙いは、色合いと細かな腱のつながりの理解。
 合間を縫って写真からわかるだけ描き進める。

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 会場では絵の具NGなので、普段のスケッチで愛用している、コンパクトな「ちびた色鉛筆」使用する。
 実物標本の「圧縮データ」である写真から描き進め、主な認識の空白域は人間で言う手の甲の辺りと確認した。

 そして三度目の会場。
 乾燥標本とは言え生もの、三日ぶりのライオン前肢は、けっこう乾燥が進んで見えた。
「おまえ、まだ生きてるんやな……」
 そんなことを考えながら描き続ける。
 平日ラストの時間帯なので、ほぼ独占状態でスケッチできるのはありがたい。
 三回とも短めの時間しか取れなかったが、その分結果的には集中できたかもしれない。
 認識の空白域の「手の甲」あたりも別に一枚描き、スケッチとしてはかなり満足できた。

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 とても良い展示、小田隆先生のドローイングも間近で見られて眼福だった。

 会期は今週末の土日まで。
 大阪近郊で生物を描きたい若い人、スケッチブックもって #動物のからだ展 行きましょう!
 とくに学生さん!
 卒業してから初めて気づき、愕然とするのが時間の貴重さ。
 今すぐ走れ!
posted by 九郎 at 23:59| Comment(0) | 妄想絵画論 | 更新情報をチェックする
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