2019年12月15日

高室弓生「縄文物語」

 Twitterをやっていると様々なつながりができて楽しいのだが、思わぬところで「作者さん」とつながってドキリとすることも(笑)
 先月ご紹介いただいた縄文テーマのマンガが素晴らしく面白かったので、ブログ記事にまとめてみる。
 私がけっこう縄文好きで、土器づくりにハマっていたこともあることは、カテゴリ縄文を見ていただければわかるはずである。

 
●「縄文物語 わのきなとあぐね」高室弓生

 精緻に考証された上で構築された仮想の縄文世界の、淡々とした日常。
 その時代のなんの変哲もない風景が、ものの考え方が全く異なる(しかし通じてもいる)現代人にとってみれば、刺激的なファンタジーに映る感覚が素晴らしい。

 歴史モノを含め、舞台が現代ではない「異世界」の場合、作劇は大きく分けて二つ。
「異なる世界でも変わらぬ人間の有り様を描く」
 または、
「異なる世界の人間の感じ方や行動の、異なりぶりを詳述」
 これらは表裏一体でもあるのだが、どちらに力点を置くかで語り口は全く変わる。
 本書「縄文物語」は後者であろうか。
 一般に読みやすいのは前者で、マンガでは「異世界に仮託した青春物語」が多く制作されている。
 私の好きな「センゴク」シリーズは、連載開始当初は完全に「青春物語」を志向していたが、その後じわじわ「戦国時代の現代との異なりぶりを詳述する」方向へシフトしていった。

 私はもうスレたおっさんで、かなりの分量の「物語」を読んできた。
 その結果「異世界に仮託した青春物語」は飽食してしまっている気味がある。
 なので「異世界」自体を丁寧に描いた作品の方に惹かれる傾向があり、からこそ「縄文物語」にハマるのだ。


 メインの「縄文物語」の他にも、「JYOUMONICA」「巌の森」「NINSOKU」を収録、多層的に縄文ワールドが楽しめる。

●「JYOUMONICA 縄文的生活ノススメ」
 野草や採集食、火のおこし方、縄文土器作り等を紹介。
 こういうのを読むと、以前やっていた土器作りが再燃しそうになる(笑)

●「NINSOKU」
 あとがきエッセイ的短編。
 作者の高校生の頃の遺跡発掘体験談。
 
 私が学生時代を過ごしたのも遺跡が多い地域で、バブル期には開発の前段階の発掘が多く行われていたそうだ。
 私自身はその少し後の学生だったので、発掘のピークは過ぎていたが、先輩方に「武勇伝」をよく聞かされた。
 都市部のバブル開発に伴う遺跡発掘はかなり乱暴な突貫工事が横行していたらしく、通常はヘラで慎重に削る所を、クワやツルハシで掘り返させられたとか。
 打ち込んだツルハシの先に銅器が刺さって出てきたとか。
 私の頃はバブル直後で、そこまでの蛮行はなかったはずだが、ちゃんとした遺跡発掘バイト、やってみたかった気がする。


 今年お勧めの一冊です!
posted by 九郎 at 11:14| Comment(0) | 縄文 | 更新情報をチェックする
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