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2025年12月06日

漢文学習スターターパック

 国語(母語)は、学び、思考するための土台。
 中高生の現代文学習のための本については何度か紹介してきた。

現代文の点数を上げる方法
再読、近代日本文学

 国語科に含まれる古典についても紹介してみよう。
 こちらも以前、本格的な学習以前に読むと良いコミカライズについて紹介した。

古典入門のその手前

 古文漢文で言えば、私は「どちらかというと漢文を先に」という考えなので、今回の記事では漢文学習の参考図書を扱ってみよう。
 中高生が漢文学習をスタートする際にぴったりな三冊を見つけたので、中国古典を本格的に読み始める前のスターターパックとしてご紹介である。

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●『四字熟語で始める漢文入門』円満字二郎(ちくまプリマ―新書)
https://amzn.to/4iJGZiv
 漢字で書かれた中国の書物を、日本人が日本語として読むために考案された「訓読」の、そもそもの成り立ちから語りおこされる。
 四字熟語をお題にした送り仮名と返り点の仕組み解説からスタートし、有名な古典エピソードをネタに、重要漢字の用法を順に学んでいく構成。
 漢文の読み方とともに、中国の歴史、思想、人物が平易で楽しい語り口で紹介されていく。
 中学生ぐらいからでも十分読める漢文入門で、もちろん高校生、そして大人が読んでも勉強になる。
 通読すれば自然と漢文の基礎が身に付き、その後の学習や鑑賞の負担が大幅に軽減されるだろう。
 2024年刊だが、早くも漢文にまつわる「最初の一冊」の定番になりそうな好著。

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●『故事成句でたどる楽しい中国史』井波律子(岩波ジュニア新書)
https://amzn.to/3XHm9GG
 先に紹介した本とも重なる内容だが、こちらは歴史解説寄りの内容。
 古代から清王朝までの、知識0から読める中国通史。
 中国の場合、古代に遡るほど歴史と思想と文学は一体になっていくので、複数の本を周回することで、中国文化そのものへの理解が深まっていくだろう。
 人気の中国歴史エンタメ『項羽と劉邦』『三国志』その他、各時代の作品間の空白を埋めたり、前史やその後を知るのにもとても良い。
 西域との関りについてもかなり触れられているので、井上靖の小説を読む際の頭の整理にも役立つだろう。
 高校一年の「歴史総合」で扱われるのは主に近代化以降なので、そこに接続する中国関連書としても読めるだろう。

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●『漢詩入門』一海知義(岩波ジュニア新書)
https://amzn.to/4a1piZs
 中国古典の中でも「漢詩」を読むには表現形式に関する上乗せした知識が必要になってくる。
 漢詩は中国語の発音で音読することが基本になっており、その際に韻を踏んだりリズムやイメージを整えたりすることで、様々な形式が生まれてきた過程が、年代順で解き明かされていく。
 こうした成立過程の詳細な解説は、授業時間の制約から学校教育ではパスされ、「形式はこういうものだから暗記して、内容理解に集中しましょう」となりがちだ。
 そもそも日本では、漢詩であっても「訓読」で意味をとることに重きが置かれ、そのままの形の「音読」での鑑賞は、さほど行われてこなかったのではないだろうか。
 元のままの音読を通じてこそ伝わってくる内容もあり、作者の個性もあるはずで、響きやリズムをクローズアップした解説には「そういうことだったのか!」と感心することが度々あった。
 漢詩がとっつきにくく感じたら、まず本書を開いてみるのが良いだろう。


 中国文化に対する理解という点では、以前紹介した『史上最強の哲学入門 東洋の哲人たち』の中国思想を扱った章も大変良い。

 十分に下地ができた後なら、こちらも以前紹介した角川ソフィア文庫ビギナーズ・クラシックスの中国古典三冊が、より楽しめるだろう。

再読、『論語』『孫子』『唐詩選』
posted by 九郎 at 16:32| Comment(0) | TrackBack(0) | 教養文庫 | 更新情報をチェックする
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