カテゴリ『教養文庫』
きっかけとしては、昨年刊行の『ぱん歴 創刊準備0号』の刊行主旨に賛同したことが大きかった。

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また、高校生になった子供を通して「歴史総合」という2022年の新設科目を知り、世界の近代化を横断的に学ぶその内容に感銘を受けたことがあった。
「歴史総合」への道しるべ
思い返せば私も高校生になって世界史を習い始めたばかりの頃、「授業でやっている地域や時代で面白そうな本があったらガンガン読んでいこう」と思い立ったものだった。
小中で習ってきた日本史に関しては、そういう読書をやっていたおかげで、とくに勉強しなくてもそこそこ得点できていたのだが、世界史の場合なかなかそう上手くは行かなかった。
私が高校生だった80年代はまだネットも携帯端末も存在せず、本を探すには書店か図書館に行き、自力で探し当てるしかなかったのだ。
そしてそもそも、高1ぐらいから手にとりやすい入門書が見当たらなかった。(1979年に刊行開始した岩波ジュニア新書は100冊を超えたぐらいのタイミングで、世界史テーマの本はまださほど数が揃っていなかった)
当初の私の目論見は早々に頓挫し、世界史には少々苦手意識を持ちながら高校生活を続けることになった。
あれから四十年、日本の出版はピークの90年代を通り過ぎ、2000年代以降は下り坂に入りつつも、素晴らしい本は大量に刊行され続けている。
とくに一般人や中高生を教養に誘う入門書の類は充実しまくっており、ネット情報もあるので良い本に極めてアクセスしやすくなっている。
自分が高校生の頃にこの環境があったら、世界史に挫折せずに済んだのではないかと思うこともしばしばだ。
ということで、この一年の記事更新の裏テーマとして、「高校生の頃の自分に向けたブックガイド」を想定してレビューを綴ってきた。
約一年かけて楽しく学べる本を紹介してきたこの年末、嬉しいお知らせが一つある。
縁あって『ぱん歴』の編集の方からお声がかかり、本日発売の創刊第一号に、「烏帽子九郎」名義で14ページ分ほどの拙稿を掲載していただけたのだ。
●『ぱん歴 いっぱん人のいっぱん人によるいっぱん人のための歴史お勉強本レビュー誌』創刊・第1号(けいこう舎)

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表紙に並んでいる順に、ごく簡単にではあるが各章の内容に触れておこう。
◆研究者に聞く ◆この人に聞け!
不勉強でいずれの研究者の著作も読んだことがなかったが、この度の紹介で大いに関心を持った。
この五年ほど美術史を勉強し直していたので、栂正行の著書タイトルを見るとどれもそそられた。
五郎丸聖子、山脇史子の扱うテーマは、これまで私が育ち、生活してきた地域では身近に感じる。
近代化前夜の日本を考える野口良平、キリスト教異端(とされる)カタリ派を紹介する生江双雄、ともにこれから歴史関連の読書を進める上で、必ず通るべき著作になるだろう。
◆ありがとう! 陳舜臣先生
中国史、神戸、ともに好きなテーマで昔から興味は持ちながらまだ読めていなかった陳舜臣。掲載されている著作の背表紙を眺めるに、今すぐにでも手にとりたい本がいくつも目につく。
◆この先生を勝手に追いかけろ! 山田康弘先生の巻
石山合戦を絵解きするという野望を抱いている私としては、戦国期の歴代足利将軍を扱った一連の著作は外せなさそう。
そして後半、さまざまな立場から個人で歴史を考えるレビュワーのパートこそが、『ぱん歴』の本領発揮領域であろう。
◆いろいろなアメリカ
◆科学史の本がおもしろい!
◆いもづる式読書録5連発
◆わたしのこの1冊
◆ぜんぶ読みたい!吉川弘文館・歴史文化ライブラリー
研究者やライターの方々とともに、私を含めた「いっぱん人」からの熱のこもったレビューも充実しているこの一冊、歴史好きの皆さんの来る新年からの読書の手引きとして、自信をもってお勧めできる。
文書作成や検索における生成AIの野放図な普及、粗雑なデマによる排外主義の蔓延で急速に劣化しつつある言論に、「いっぱん人」が徒手空拳で立ち向かう反撃の狼煙である。
この年末年始の読書のおともにも!
