2007年10月11日
当麻寺
当麻寺へは、近鉄南大阪線の当麻寺駅で下車、20分ほど歩くと到着することができる。
駅のすぐ近くには中将姫伝説にちなんだ「中将餅」のお店がある。小ぶりのヨモギ餅にたっぷり漉し餡ののったものが二つと、お茶のセットで300円。参拝の帰りに一休みするのにちょうど良い。
近鉄南大阪線の二上山駅を下車、遊歩道を南に辿って行くと、葛城の里の田園風景を楽しみつつ、当麻寺に参拝することができる。秋のお彼岸の時期なら、こちらのコースの方がお勧めだ。二上山駅のすぐ近くの踏み切り斜面が、全体に朱に染まる程のヒガンバナの群生地が見られるし、田んぼを通る遊歩道でもそこここで見事な群生を楽しめる。
今回、私はこのコースを散歩した。
途中の「道の駅」では、豆腐製品を中心とした物産店もあった。
どれも美味そうだったが、こんにゃくを割り箸に差して煮込んだものが100円で売っていて、我慢できずに一本購入。
座って舌鼓を打っていると、隣に幼い兄弟が腰掛けた。
お兄ちゃんが手にした煮込みこんにゃくをフーフーして、弟に一口かじらせてあげている。残念ながら幼すぎる弟はこんにゃくは噛み切れず、小さな歯型がついただけだったが、味は十分楽しめたことだろう。
やがて当麻寺に到着する。
本堂には有名な「当麻曼荼羅」がある。
曼荼羅と名がついているが、正確には「浄土変相図」と言う。 曼荼羅は密教の理念を図で表現したものだが、「浄土変相図」は、大乗仏教の中の浄土経典の一つ、「観無量寿経」に描かれる極楽浄土を風景画として描いたものだ。
関係資料もお寺で購入することができる。「百分の一」と言う表記の当麻曼荼羅のカラーポスターが安価で求められる。おそらく「面積百分の一」の意で、サイズは通常で言うところの「十分の一」のはずだ。
私は実用本位の白描版を一つ購入する。
間近で参拝した当麻曼荼羅は、長い年月の経過により、重厚な雰囲気を漂わせていた。一辺4メートル弱の黒々とした壁面に、阿弥陀如来を中心とした浄土の様が、薄く浮かびだしているようだ。
細部の様子を知るには復元されたものを鑑賞した方が良いが、このオリジナルの持つ重みは一度体験しておきたかった。
曼荼羅の左手の小部屋には、弘法大師と役行者を祀っていた。 役行者は葛城を出自とする。当麻寺の行者像は、衣から異様に逞しい膝小僧をむき出しにしていた。日本中の山野を飛ぶように駆け巡ったというかの神変大菩薩に相応しいお姿だ。
何故かインスタントのコーンスープがお供えしてある。
山岳修行に持ち運べるようにとの心遣いだろうか?
向かって右手には、この当麻曼荼羅の発願者である中将姫の像が祀られている。こちらも伝説に相応しく、生身の人間のような凄みのあるお姿だ。
そう言えば、ずっと以前に購入したまま未読だった折口信夫の「死者の書」は、この中将姫伝説がモデルになっていたはずだ。
そろそろ読める時が来たかもしれない。
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拙僧的にも、5月に行われている当麻寺の迎え講は、一度見てみたいと思っております。なかなか行けないんですけどね。
5月の迎え講と言えば、諸菩薩が実際に登場して中将姫を浄土へ導く行事ですね。
私も今回の当麻寺参拝ですっかり彼の地が気に入ってしまいましたので、いずれ一度は見てみたくなりました。
春から初夏にかけての里の風景なども、さぞ素晴らしいことと思います。