虚空に浮かぶ風輪上に、水輪の層が載る。
水輪の上層には、ミルクに膜が浮かぶように金輪が載っている。
そして金輪は、お盆にいくつかの石を配置し、水を張ったように、九つの山と八つの海の世界が展開されている。
金輪中央にそびえる立方体のアウトラインをもつ高山が須弥山。
須弥山を七重の柵のように囲む山が七金山。
金輪をぐるりと囲む縁が鉄囲山(てっちせん)。
この合計九つの山の合間には、八つの海がある。
須弥山及び七金山内の七つの海は淡水で、鉄囲山が囲む一番外周の海は、いわゆる海水である。
この様を総称して「九山八海(くせんはっかい)」と呼ぶ。
鉄囲山と七金山の間の海水には、東西南北にそれぞれ洲がある。南に位置する「南瞻部洲(なんせんぶしゅう)」が、我々人間の住む世界だ。
太陽と月は、須弥山の中腹程の高さの軌道上を周回している。
衆生が輪廻する六道は、主にこの九山八海の世界で繰り返される。
六道の内、地獄は南瞻部洲の地下に存在し、畜生・餓鬼・人間は四つの洲上、阿修羅は海中に住する。
太陽と月を喰う悪魔で紹介したラーフは、一説には東西南北の海を支配する四大阿修羅王の一つとされる。「北野天神縁起絵巻」では、日月を手にした姿で天の神々と激しい戦争を繰り広げている。
天の神々は、中央の須弥山及びその上空の世界に住んでいる。
2007年10月15日
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