弥勒菩薩が56億7千万年後の下生に備えて修行している第四の天界「兜率天」の上空には、更に第五第六の天界が存在している。第二の天界「三十三天」以上は面積が全て同じだが、高度は倍々に高くなっていく。
第六の天界以下の世界を「欲界」と呼ぶ。欲界は、神々の世界であってもいまだ欲望からは自由ではない、迷いの世界であるとされている。
第五の天界は楽多い世界で、「楽変化天(らくへんげてん)」または「化楽天(けらくてん)」と呼ぶ。互いに微笑し合うだけで新しい神々が生まれる世界。
第六の天界は「他化自在天(たけじざいてん)」で、単に「第六天」と呼ばれることもある。
ここには欲界を支配する魔王が住んでいると言う。
魔王の名前は天界の名前と同じ「他化自在天」または「第六天魔王」と呼ばれる。
魔王は欲界の衆生が生み出す様々な欲望や快楽を、自分のものとして自在に楽しむことが出来るとされる。(私はドラえもん世代なので、こういう話を聞くと「おすそわけガム標準装備?」とか、ついついアホなことを考えてしまう)
衆生が快楽に囚われていれば、魔王はそれだけ自分が楽しむことが出来る。だから欲界からの脱却を説く仏道修行を敵視して、様々な妨害を行うという。お釈迦様の悟りを開く直前、誘惑を仕掛けて調伏されたとも伝えられる。
未来仏・弥勒菩薩の修行する兜率天より上空に魔王の住む天界があり、それが欲界の頂点であるという構図は、ちょっと想像力をかきたてられる。
他自在天については第六天魔王でも触れているので、参照してみてほしい。
他自在天は密教図像では両手に弓と矢を持った姿で表現される。
仏教での「弓と矢」は、「欲望」を視覚化したものとしてイメージされることが多い。このあたりは西洋のキューピットとも似ている。
第六天のさらに上空にも、まだまだ天界は続くが、ここからは仏道修行を積んだ禅定者の世界になる。設定が「物語」の世界から徐々に哲学的なものに変わっていくため、図像で表現するのが難しくなってくる。
目一杯背伸びして神々の世界にまで足を踏み入れてみたものの、そろそろ私の想像力のキャパシティを超える範囲になってきた。
しばらくお付き合いいただいた、このカテゴリの「須弥山宇宙ツアー」だが、ここで一旦日程を終了。
いずれまた、続きをカタルことが出来る日まで……
2007年10月31日
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