斎場御嶽は「せーふぁうたき」と読む。
近年世界遺産に登録され、観光地としても有名になった。
元は琉球王朝祭祀の聖地で、長らく男子禁制が守られ、誰もが近づける場所ではなかった。
沖縄の中心地である那覇・首里の真東、知念半島にある聖地で、こんもりと盛り上がった森の中、静かにこの御嶽は鎮座している。
入り口からいくつかの拝所を経て、緑濃く湿度の高い森を螺旋状に回りこんで行くと、巨大な岩塊がのしかかって来そうな寄満(ゆいんち)に到着する。
鍾乳石のように垂れ下がった岩からは、天からの神水が滴り落ちる。
その更に奥、三角形の岩の裂け目を潜ると、「三庫理(さんぐーい)」と呼ばれる小さな空間がある。
元々は三方を岩壁に囲まれた「壷」のような空間で、天を仰ぐ拝所だったと考えられている。
しかし現在は東側の岩壁が崩れ、木々の間にぽっかりと開いた「窓」から東方の神の島・久高島を遥拝する構図になっている。
聖なる軸が天地をつなぐ垂直方向から、太陽の昇る方角を望む水平方向に転換された可能性があるのだ。
時代の移り変わり、信仰の在り方の変化と同期するように、自然現象によって聖地の構図が変化する。これは果たして偶然なのだろうか。
以前ここを訪れた時、デジカメの動画機能で撮った短い映像を紹介しておこう。
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海の向こうには、久高島が夢のようにぺたんと浮かんで見える。
その島で神女達の歌う神謡については、カテゴリ「沖縄」参考図書3に引用したことがある。