学生時代のある夏、ふとしたきっかけで十津川村を訪れた。
十津川村は奈良県南部をたった一村で占める「日本で一番大きな村」だ。温泉地として知られるこの村の真ん中を流れるのが十津川で、この流れは下流になると熊野川と名を変え、熊野灘へと注いでいく。
川の両岸は山また山の連続で、国道168号沿いにポツポツと集落が点在するが、まずは秘境と言って差し支えない。
私がはじめて訪れた当時は、まだ熊野の山々は世界遺産に指定されておらず、観光地としてもそれほど知られた場所ではなかった。中世「蟻の熊野詣」の賑わいは時の流れとともに消え果てて、ひなびた静かな温泉地の風情しかなかった。「自然と信仰の癒しの場」としての場熊野が脚光を浴びはじめるのは、それから数年後のことだった。
この村に鎮座する「熊野の奥の院」と呼ばれる神社を訪れたことが、縁の始まりだった。以後私は毎年のように夏には「熊野詣」を繰り返すようになり、山中をさまようようになった。
熊野については語りたいことが多すぎて、なかなかこのブログでは書き出せないでいた。万全を期そうとすると、どうしても身構えは固くなり、筆は重くなる。
このままではいつまでたっても語りだせそうにないので、ともかくカテゴリ「熊野」をスタートさせてしまうことにした。
熊野詣に出掛ける前は、いつも畏れの心が起こる。
果たして今度も無事に歩き通せるものかどうか。
地形図上の密な等高線の重なりと、延々と続く細い破線は、道行の困難を予感させるに十分だ。
それでも一歩踏み出してみれば、なんとかなってしまうのもまた熊野なのだ。
断続的に、一歩ずつ、このカテゴリを進めて行きたいと思う。
2007年12月23日
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今月の後半に行くことにしたのですが、
「十津川村から新宮にぬけ、熊野三山に行く」と、
宿泊する旅館の女将さんに話したら、
「(熊野三山は)行かんでよろしい。
ここにできるだけ長くいてた方がいいです。」と
言われました(笑)
宿泊は十津川温泉あたりでしょうか?
正直な女将さんですね(笑)
バス道の順に熊野三山を並べると、
十津川温泉→熊野本宮→新宮となり、
新宮から海岸沿いに那智の浜まで行った後、
那智山に登るのが通常のコースになると思います。
楽しんできてくださいね!
きょうの夕方、帰ってきました。
結局、十津川→新宮→和歌浦という順番で行ってきました(笑)
熊野には何度も足を運んだ私ですが、春から初夏にかけての季節には、実はまだ行ったことがありません。
きっと緑が素晴らしかったことでしょうね。
私は「一泊二日」が基本なのですが、
今回は交通手段が限定されていましたので、
破格の!、二泊三日となりました(笑)
結局、「熊野三山」は時間の都合もあり、次回のお楽しみとなりましたが、
新宮にある、今では「熊野速玉大社」の摂社となっている「神倉神社」に立ち寄り、
その後、特急は「使わず」にローカルを乗り継いで「紀三井寺駅」で下車し、
こちらのブログに書かれている「和歌浦」に行きました。
三日目(5/28)は、午後から少し曇りましたが、全日お天気が良く、
バスから見える緑の眺めも最高でした。
それと、路線バスを利用したのですが、
十津川の「谷瀬のつり橋」での30分の休憩は、ラッキーでした。
二泊三日の日程では、すごく盛りだくさんだと思いますよ。
私は個人的に新宮では速玉大社より神倉神社や王子浜が好きです。神倉神社の、あの物凄い石段を登りきってから眺める熊野灘は、まさに絶景ですね。
谷瀬のつり橋もはじめてだと衝撃ですね。
地元の人は自転車で走るという未確認情報もあったりします(笑)