●謡曲「第六天」
名前の通り、第六天魔王が登場する演目。
高伊勢神宮を訪れた高僧・解脱上人は、忽然と現われた不思議な女性の託宣を受ける。すると俄かに風雨雷電鳴り響き、天空から第六天魔王の率いる軍勢が伊勢神宮に攻め寄せてきた。
解脱上人が合掌して念じると、そこに現われたのは素盞嗚(すさのお)。かくして仏教の魔王と、日本神話の英雄神のバトルが幕を開ける。
さすがの魔王もヤマタノオロチを退治した素盞嗚には恐れをなし、須弥山に飛び上がろうとする。素盞嗚はそれを引きとどめ、大地に打ち伏せる。二度とこの地を訪れないと誓わせると、魔王は虚空に消えていく。

この演目については、なかなか詳しい資料が見つからなかったのだが、さいわいなことに「雷電」とおなじく和綴本で本文を読むことはできる。
機会があれば、ぜひ観てみたい演目だ。