毎日新聞2011年10月14日の記事である。
社会面に写真入り、見出し付きでそれなりに大きく扱われている。見出しには以下のような言葉が使われている。
原発は仏の教えに背く
「ふげん」など命名懺悔
曹洞宗大本山永平寺(福井県永平寺町)で、来月11月2日、シンポジウム「いのちを慈しむ〜原発を選ばないという生き方」開催されるという。催しを運営する「禅を学ぶ会」事務局長、西田正法さん(永平寺布教部長 56才)のコメントを記事よりそのまま引用する。
「使用済み核燃料を残し、DNAに作用する放射線という危険をはらむ原発は、子孫への負の遺産となる。命を長い時間の視座に置く仏教の教えと相反する」
記事によると永平寺は同県敦賀市の新型転換炉「ふげん」(廃炉作業中)と高速増殖炉「もんじゅ」(事故により停止中)の命名に関わったとされていると言う。
具体的にどのように関わったのかは記述されていない。
ごく常識的に推察すれば、なんらかのつてで原発関係者から新型炉の命名の相談を受けた永平寺のどなたかが、有名な菩薩の名をつけるようアドバイスしたということなのだろう。
ちなみに両菩薩は次のようなお姿をしている。
文殊菩薩
普賢菩薩
そのことについても西田布教部長はコメントしているので、記事からそのまま引用する。
「原発に対する認識が足りなかった私たちの責任は重く、間違いだった。懺悔することから始めたい」
一読、かなり踏み込んだ発言に驚く。
福井県と言えば世界でも類を見ない原発密集地として知られているが、その地元の大寺院布教部長が正面切って「反原発」の立場をとったこと。
原発という存在そのものが「仏教の教えと相反する」とし、過去の永平寺の関わりを「間違いだった。懺悔することから始めたい」とまで言い切ったこと。
これまでにも再三述べてきた通り私は「原発即時停止」の立場をとっているが、その私から見ても「そこまで言って大丈夫?」と感じるほど思い切った発言だと思う。
記事を見る限り、単に西田氏個人の意見とは読めない。
曹洞宗全体が反原発に舵を切ったということは無いだろうが、少なくとも永平寺がそのように表明したとは読める。
私が読んだ記事そのものではないが、ほぼ同内容の東京新聞の記事はネットで読める。
永平寺、脱原発シンポへ 「後世に負の遺産は慈しむ教えに反す」
wikiによると「もんじゅ」命名への永平寺への関与は誤報であるとされているが……
よそ様のことなので、今回は記事から常識的に読み取れる内容以上には踏み込まず、覚書として記録するのみとする。
ちなみに、東西両本願寺でも「脱原発」をうかがわせる動きはあるようだ。
本願寺新報2011年8月20日号 脱原発 − 人間の傲慢さ厳しく提起した事故 −
京都新聞 原発依存を問い直す 東本願寺で公開研修始まる