2006年01月31日

亀甲墓

 沖縄ではお墓も本土とは様子が違う。親族の結び付きが強い沖縄では、お墓は非常に大切に扱われているし、墓参も盛大だ。墓の一つ一つがかなり大きく、中に人が入れそうな石造りの家型が、今の主流だ。各お墓の前には庭のようなスペースがあって、折々に一族が集まって会食する。会食時にはテントを張ることもあり、ヒモを結びつけるための金属環を、囲いの上にたくさん装備するのも流行っているようだ。集合霊園に家型のお墓がずらっと並んでいる様は壮観で、遠目には建売住宅分譲地のようにも見える。
 
 より古い形のお墓に「亀甲墓(かめこうばか)」というものがある。風水的に良い場所の斜面に造られるかなり大きなお墓で、本土ではほとんど見られないが、沖縄には数限りなくある。亀の甲羅のようなドーム状の屋根を備えていることからこの名がついている。年を経た巨大な亀甲墓は、独特の風格のようなものが感じられる。

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 この亀甲墓、一説には「女の胎の型」であるとも言われる。死人は大地に横たわった女の股を潜り、子宮に還って行く…

 祀る一族のある内は、墓は小奇麗に保たれる。しかし年月が経ち、世代が替わり、年を経た亀甲墓は、ゆっくり時間をかけて植物に覆われていく。もともと風水の良い場所なので、植物も繁茂する。

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 固有名詞が消え、個人の思い出が透明になり、ヒトの霊がぼんやりと昇華されてカミに近付く頃、亀甲墓は植物に飲み込まれて森になる。
posted by 九郎 at 22:08| 沖縄 | 更新情報をチェックする

 沖縄の亜熱帯気候は植物の生育に適している。森は放って置くとどんどん深くなっていく。

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 植物に植物が絡みつき、積み重なり、生い茂る。

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 木立の間から覗く空の蒼は濃い。

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 沖縄では、少し高い所ならどこからでも海が見える。

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posted by 九郎 at 22:17| 沖縄 | 更新情報をチェックする

2006年07月11日

カテゴリ「沖縄」参考図書

 沖縄を語る上で、以下に紹介する岡本太郎の本は、どうしてもはずせない。



●「沖縄文化論―忘れられた日本」
 沖縄論の古典とも言うべき必読書。中公文庫に収録されており、価格も安く入手も容易。初版の刊行は1961年であり、内容の大半は復帰前の沖縄の生々しい現地レポートだ。
 名フレーズ「芸術は爆発だ!」をはじめとする、一時期のTVパフォーマンスの影響か、岡本太郎は「おかしなゲイジュツ家」の代表のようなイメージがある。しかし一度でも著作を読んでみれば、そのイメージは一変する。
 岡本太郎のモノを観る視点は、限りなく知的で醒めており、表現は的確だ。生粋の日本人でありながら、日本を突き放しつつ、誰もが忘れ去ってしまった日本の古層に横たわる美を抉り出す。
 縄文土器の美を世界中で最初に見出したのは岡本太郎であったし、沖縄についても戦後最初の紹介者にあたるのではないだろうか。沖縄に対する視点、分析は、とても60年代初頭に書かれたとは思えぬほどに新しい。
 
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posted by 九郎 at 00:41| Comment(0) | TrackBack(0) | 沖縄 | 更新情報をチェックする

2006年07月13日

カテゴリ「沖縄」参考図書2

 繰り返し書くが、当ブログは「神仏与太話」だ。虚実混交した神様仏様のあれこれを、思いつくままに絵と文章でカタルことを目的とする。だから基本的にはシリアスな政治ネタは扱うことは無いのだが、「基地の島」沖縄の現実は、沖縄に好意を寄せるものとして少しずつでも勉強したいと思っている。
 今回は何かとお騒がせの語り手、小林よしのりの一冊を紹介したい。



●新ゴーマニズム宣言SPECIAL 沖縄論
 全400ページ。
 小林よしのりという個性的な語り手に賛否はあれども、渾身の一冊であることは誰もが認めることだろう。連載をこなしながら資料をあたり、現地沖縄に何度も足を運び、人と会い、縁ある土地を訪れる。はじめはリゾート気分だった沖縄に、売れっ子漫画家が「お仕事」の範囲を超えてのめりこみ、感情移入して行く様。それはそのまま作品の中に反映され、異様な迫力の「語り」が展開されている。
 基地の問題を軸に、沖縄の現状や歴史・人物・信仰にいたるまで、縦横無尽に語り尽くしている。とくにコザ騒動や瀬長亀次郎については相当なページ数を割いており、読み応えがある。踏みつけられっぱなしの民衆が、ほんの一時だけでも巨大な力を持った相手に勝利するエピソードは、やっぱり理屈抜きで感動する。
 本土人でありながら沖縄に首を突っ込み、多く語ってきた小林よしのりが、ふと不安を覚えてユタの女性に会いに行くラストシーンは興味深かった。ユタの女性によると、最近、霊感の強い女性が都市部に生まれるようになってきたと言う。裏づけが取れるなら面白い話だ。
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2006年07月14日

カテゴリ「沖縄」参考図書3

 これまで岡本太郎、小林よしのりと、本土人から見た沖縄論を紹介してきたが、今度は沖縄人自身による沖縄論を二冊紹介してみよう。



●「沖縄 時間がゆったり流れる島」宮里千里(光文社新書)
 とても楽しい本だ。
 本土人が思う沖縄の「不思議」を巧みにすくい上げ、沖縄愛に溢れるユーモラスな語り口で一つ一つ解き明かしていく。

・沖縄の新聞には何故「死亡広告」が満載なのか?
・沖縄には何故「並ぶ文化」が存在しないのか?
・沖縄の結婚披露宴は台風直撃の方が出席率が高い?

 などなど。
 何度も笑いながら読み進めるうちに、本土人である私の方まで愛すべき沖縄の皆さんに「身内意識」のようなものを抱いてしまう一冊だ。

 笑いばかりでなく、感動的な部分もある。
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posted by 九郎 at 00:43| Comment(0) | TrackBack(0) | 沖縄 | 更新情報をチェックする