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2006年07月15日

カテゴリ「沖縄」参考図書4

 岡本太郎「明日の神話」公開に触れたことをきっかけに、ここまで数回にわたってカテゴリ「沖縄」参考図書を紹介してきた。挙げ出すとあれもこれもときりがなくなるので、このあたりで一段落にしたい。
 本土人による沖縄論、沖縄人自身による沖縄論に続いて、沖縄に飛び込み、移住して音楽活動を行った、とあるミュージシャンがテーマの本を紹介しよう。



●「竜宮歳事記 どんとの愛した沖縄」小嶋さちほ (角川文庫)
 「どんと」というミュージシャンをご存知だろうか?
 80年代から90年代前半にかけて、ローザ・ルクセンブルグとボ・ガンボスの続けて二つのバンドでボーカルをつとめて活躍し、95年からは沖縄に移住してソロ活動、2000年に急逝した個性的なアーティストだ。
 この本はどんとのパートナーで、自身もZELDAのリーダー&べーシストであった小嶋さちほが、どんとの没後一年あまりで発行した本の文庫化で、巻末には新たに町田康との対談も収録されている。
 よく「沖縄は竜宮城だよ」と語ったというどんとが、より純化された歌の世界を求めて沖縄に移住し、沖縄の様々な場所、文化、数々のミュージシャン達と交流していく時期が、間接的にではあるけれども記録されている。
 沖縄音楽といえば、とかく三線の民謡だけがクローズアップされがちだが、この本には民謡だけでは無い、沖縄大衆芸能の眩暈のするような世界が紹介されている。
 音の坩堝のような島に飛び込んだ本土人、どんとと小嶋さちほが何を見、何を感じたのか、そこには男女の感覚の違いもあったようだ。
 巻末の対談では小嶋さちほのこんな言葉がある。
そういう意味でいうと、楽しく暮らしてはいましたが、沖縄での生活はすべてが、どんとにとって楽なところではなかったと思います。まぁ、こちらに移住してきた人が二年目ぐらいでだれもがぶつかる壁でもあるのですが、沖縄の生活にどんどん入っていくと、やはり、そこから先は、近づけない血縁の世界とかになって……。いろいろな壁があるようです。どんとは一時期、「ものすごく孤独を感じる、外国の敵地の中に一人でいるようだ」と言っていました。「これはオスだけが感じる感覚だ」とも。私は女だし、すっかり同化しちゃってて「なにが?」って感じだったけど。

 一読、「やはりそういうこともあるか」と思った。
 夢を描いて現場に立てば、真摯であればあるほどそういう感覚が生じることもあるだろう。
 もちろん苦しさばかりではなかっただろう。
 どんとの吸収したオキナワは、彼のソロ「沖縄三部作」の中に見事に結実し、今も多くの人に歌い継がれている。

【追記】
 2010年、カテゴリどんと新設。
 どんとについてより詳しい記事はそちらへ。
posted by 九郎 at 23:35| Comment(0) | TrackBack(0) | 沖縄 | 更新情報をチェックする

2006年10月27日

火の神

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 何年か前に沖縄へ行ったとき、住宅街のすぐ近くの木立の中で、不思議な拝所を見かけた。陽光をさえぎる暗いガジュマルの茂みに向かって、コンクリートで低いひな壇が設けてあり、その上にいくつかの石が並べて立ててあった。
 調べてみると、それは「火の神(ヒヌカン)」と言うもので、本土で言うと「かまど神」に相当するらしい。言われてみれば、並べてある石の列は「炎」の形を模しているようにも見えた。

 とくに有名な場所と言うわけでもなかったが、私は「沖縄」というといつもこの風景を思い出す。
 今回の絵は、見てきた「火の神」の風景そのものではないけれども、私の中のイメージを集約して描いてみた一枚。いつものCGではなく、F8キャンバスにアクリル絵の具で描いたものを、デジカメで撮影→レタッチ処理してみた。
posted by 九郎 at 20:26| Comment(2) | TrackBack(0) | 沖縄 | 更新情報をチェックする

2007年02月10日

火の神Flash

 新カテゴリがスタートできるまでに今しばらくかかりそうなので、間つなぎのネタを一つ。



 件のFlash作成フリーソフト等を使って遊んでみました。
posted by 九郎 at 01:06| Comment(0) | TrackBack(0) | 沖縄 | 更新情報をチェックする

2007年08月16日

こーれーぐす

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 暑い日が続いている。
 今、日本の夏はアジアで一番暑い。
 もはや「熱い」といった方がいいかもしれない。

 食欲も減退気味だが、こんなときにお勧めなのが沖縄の調味料「こーれーぐす」だ。
 こーれーぐすは島唐辛子を泡盛で漬け込んだもので、ちょっと甘いような爽やかな香りのするピリ辛調味料。沖縄の飲食店にはよく置いてある。沖縄そばにちょっとかけると美味しい。
 使い方は七味唐辛子とタバスコをあわせたみたいな感じで、沖縄料理に限らず、けっこうどんな料理にも合う。
 私はピザや焼きそばにかけるのが好きだし、玉子焼きにかけても美味しかった。

 最近の沖縄流行りで、本土でもゴーヤーや泡盛が手に入りやすくなってきたが、こーれーぐすが普通にスーパーに並んでくれる日も近いかもしれない。
 見かけたらぜひ一度お試しを!
posted by 九郎 at 22:06| Comment(0) | TrackBack(0) | 沖縄 | 更新情報をチェックする

2007年12月16日

斎場御嶽

 トンネルを抜ける「胎内潜り」と言えば、やはり沖縄の斎場御嶽を思い出す。


 斎場御嶽は「せーふぁうたき」と読む。
 近年世界遺産に登録され、観光地としても有名になった。
 元は琉球王朝祭祀の聖地で、長らく男子禁制が守られ、誰もが近づける場所ではなかった。

 沖縄の中心地である那覇・首里の真東、知念半島にある聖地で、こんもりと盛り上がった森の中、静かにこの御嶽は鎮座している。
 入り口からいくつかの拝所を経て、緑濃く湿度の高い森を螺旋状に回りこんで行くと、巨大な岩塊がのしかかって来そうな寄満(ゆいんち)に到着する。

 鍾乳石のように垂れ下がった岩からは、天からの神水が滴り落ちる。
 その更に奥、三角形の岩の裂け目を潜ると、「三庫理(さんぐーい)」と呼ばれる小さな空間がある。
 元々は三方を岩壁に囲まれた「壷」のような空間で、天を仰ぐ拝所だったと考えられている。
 しかし現在は東側の岩壁が崩れ、木々の間にぽっかりと開いた「窓」から東方の神の島・久高島を遥拝する構図になっている。
 聖なる軸が天地をつなぐ垂直方向から、太陽の昇る方角を望む水平方向に転換された可能性があるのだ。

 時代の移り変わり、信仰の在り方の変化と同期するように、自然現象によって聖地の構図が変化する。これは果たして偶然なのだろうか。


 以前ここを訪れた時、デジカメの動画機能で撮った短い映像を紹介しておこう。
 動画を見る
posted by 九郎 at 10:25| Comment(0) | TrackBack(0) | 沖縄 | 更新情報をチェックする