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2018年06月23日

登川誠仁/照屋林助「ハウリング・ウルフ」

 本日6月23日は沖縄慰霊の日。
 沖縄では公休日で、ヤマトの方でも報道で大きく扱われるようになった。
 ヤマトの人間ではあるけれども、沖縄好きで思い入れのある一人として、何か記事を書いてみたいと思った。
 当ブログでは開設最初期からカテゴリを設け、ごく狭い範囲ながら私が見聞きした沖縄について語ってきた。

 カテゴリ「沖縄」

 90年代、バイト先で一人の師匠と出会い、沖縄のあれこれを教わった日々が、下敷きになっている。

 師匠Nさんのこと

 三年前にその師匠が亡くなってから、私はしばらく離れていた沖縄音楽のCDを引っぱり出して聴き返しながら、泡盛のロックをまた飲むようになった。
 何枚かのCDの中で一番好きなのが、この作品。


●「ハウリング・ウルフ」登川誠仁 (オーマガトキ)


Disc1
1、軍歌たべたいなあ(露営の歌/沖縄俗謡)
2、MC:なんでも食べたいな
3、戦後の嘆き
4、MC:忘れられない歌”
5、石川かぞえ歌
6、MC:米軍キャンプのピィーウィ
7、ペストパーキンママ
8、 MC:歌を習い言葉を知らず
9、新デンサ節
10、MC:作者の心をわかってほしい
11、とぅんばるなーくんにー
(富原宮古の根/沖縄本島北部民謡)
12、MC:大和口は出来ないけれど
13、緑の沖縄

Disc2
1、MC:早口言葉はおまかせ誠小
2、なりたい節
3、MC:「辻」の歌は肝どんどん
4、誠小の六調節
5、MC:耳泥棒と工工四
6、ヒヤミカチ節
7、MC:入れ歯は歌を上達させる??
8、あさどーや ゆんた(安里屋ユンタ)
9、アッチャメー小(沖縄民謡)

 一応、登川誠仁名義になっているが、実質は照屋林助との共作アルバムである。
 沖縄芸能の二大巨頭が、かけあい漫才のようなMCの合間に、厳選された唄を紹介する構成。
 極上のトークライブ、ディープな深夜ラジオのような趣向が素晴らし過ぎる!
 私はウチナーグチがほとんどわからないのだが、繰り返し聴き返すうちにじわじわMC内容が理解できてきた。
 芸の伝承と共に、それを今現在の生きた芸能として再生し続けることについて、抱腹絶倒のやりとりの中に、さらりと語られている。
 どのMCも良いのだが、中でもDisc2-05「耳泥棒と工工四」が凄い。
 誠小とてるりんの「巻物争奪戦」とも言える丁々発止の駆け引き、音と唄の盗み合いが語られている。

 収録曲の方も、いずれ劣らぬ粒ぞろい。
 もちろん沖縄民謡がメインだが、もっと広く融通無碍に引用、パロディ、リスペクトの世界が繰り広げられている。
 しみじみと「ああ、芸能ってこういうことなんだなあ」と味わえる選曲だ。
 あえて紹介するなら以下の曲を推したい。

●軍歌たべたいなあ(Disc1-01)
 Disc1一発目がこの曲というのが凄い!
 有名な「勝ってくるぞと勇ましく〜」の軍歌を改変し、徹底的に茶化し、兵隊を虫けらのように使いつぶす戦争を笑い殺す歌詞である。
 怒りを込めた生真面目な唄よりも、ときに「笑い」の方が深く怒りを表現し、強くプロテストすることがあるのだ。

●ペストパーキンママ(Disc1-07)
 戦後、米軍で働いていた登川誠仁が基地内で演奏されていたPistol Packin’Mamaを耳コピで憶え、三線弾き語りで歌った曲。
 出鱈目にもほどがあるインチキ英語ながら、神業のような三線テクニックで米兵を逆に熱狂させたという。
 由来も含めこの曲もまた、戦争を笑い殺す名演奏である。

 慰霊の日に泡盛をロックで飲みながら、このアルバムを聴き返す。
 ああ、またいつか沖縄の民謡酒場に行けるといいなあ。
posted by 九郎 at 23:20| Comment(0) | 沖縄 | 更新情報をチェックする

2018年08月08日

今はただ

 沖縄のために戦い続けた翁長知事が、本日急逝された。

 今はただ、安らかに。

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posted by 九郎 at 21:42| Comment(0) | 沖縄 | 更新情報をチェックする

2018年09月12日

ガジュマルスケッチ

 夏休みの間、猛暑や度重なる台風に泣かされた今年、九月に入ってからも荒れ模様は続いている。

 まず、九月頭の台風21号。
 屋外は命の危険すら感じる凄まじい雨と風。
 激甚災害クラスの一日だったが、絵描きの立場で言えば、お休みでゆっくり絵をかけた一日でもあった。

 被災者は24時間100%被災者であるわけではない。
 日常意識を死守すべき「待ち時間」もまた重要。
 私の場合は絵だ。

 暴風除けに室内に入れた鉢植えガジュマルの一枝をスケッチ。

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 台風を何とか無事やり過ごした後の日曜も一日雨。
 他にできることもないので、再びガジュマルをスケッチ。
 ふと思いついて、採点用の朱藍えんぴつの藍色の方で。
 ガジュマルの葉はかなり濃いのでけっこう馴染む。

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 描いてから、緑の補色の朱色の方でも面白かったかもと思っていたら、翌日も大雨警報が続いた。
「いやほんま、こないに雨続き警報続きでは仕事になりまへんわ」
 などとつぶやきながら、しゃーないから赤鉛筆でガジュマルスケッチ。

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 前回の藍色の方がしっくり馴染んでますが、ガジュマルの「南国風味」「怪しさ」は、こちらの方が再現できてるかもしれない。

 いずれも、ガジュマルの枝葉の仕組みを理解するためのスケッチなので、描写自体はごくあっさりしている。
 手数を減らしてガジュマルらしさを出す練習である。

 こんな風にガジュマルスケッチを重ねているのは、沖縄をテーマにしたF50のアクリル画をじわじわ描き進めているからだ。
 直近の沖縄アクリル画ガジュマルの森は、約一年前に描き上げた。

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 この一枚で何かつかめた気がしたので、着想が霧消しないうちに描き進めている。
 サイズが大きい分、細部描写の必要に迫られて、泥縄式にスケッチを重ねているのだ(苦笑)
 まだ時間はかかりそうだが、なんとか完成まで持っていきたい。

posted by 九郎 at 22:11| Comment(0) | 沖縄 | 更新情報をチェックする

2018年09月30日

後継者

 翁長前知事の急逝を受け、本日投開票が行われた沖縄県知事選。
 前知事に後を託された玉城デニー氏が当選した。

 本当に、良かった。

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posted by 九郎 at 23:00| Comment(0) | 沖縄 | 更新情報をチェックする

2019年02月24日

圧倒的民意

沖縄県民投票で「辺野古新基地反対」という、これ以上ないほど明確な圧倒的民意が示された。
安倍政権の異常が、より明確に浮き彫りにされた形になる。


記念に、何年か前に沖縄に行った時のスケッチを掲載。
通りがかりの児童公園にバケモノみたいなガジュマルがあって、たまらず一枚描いたもの。
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posted by 九郎 at 23:50| Comment(0) | 沖縄 | 更新情報をチェックする