2006年03月29日

賽の河原のモノガタリ

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 それがいつ頃からかは定かではないが、お地蔵様は子供の守護神としても信仰されるようになった。生きている子供を守護するのはもちろんのこと、親に先立ち、幼くして亡くなった子供の死後も、守ってくれると信じられるようになった。
 十歳に満たず逝った幼児は、賽の河原で親恋しさに石を積み、泣き叫ぶ。そこに鬼どもがやってきて、鉄棒でせっかく積んだ石の供養塔を突き崩す・・・
 幼い子供に何の罪があってそのような世界に行かねばならないのか、現代人には中々理解できない。しかし幼児に先立たれた親の心、守りきれなかった悔いの思いが、そのような物悲しい風景を生み出してしまったのかもしれない。
 有名な「賽の河原和讃」は、時代を超えて聴く者の心に突き刺さる。
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2006年03月30日

クシティガルバ

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 概観ではあるけれども、ここまで地蔵菩薩についてあれこれカタッて来た。
 最後に地蔵の起源にさかのぼってみたい。
 そもそも「地蔵」と言う言葉は、古代インドの言葉で「クシティガルバ」、大地(クシティ)と子宮(ガルバ)を意味し、大地の徳の神格化であると言われる。
 神話の構造では「天空の父神」と「大地の母神」と言う対比がよく見られるが、地蔵菩薩もあるいは「大地の母神」の系譜に連なる神格なのかもしれない。
 そのように考えると、これまでに触れてきたお地蔵様の属性の数々が、一つ一つ思い当たる。
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2006年03月31日

六地蔵

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 六地蔵は、地蔵菩薩の六道能化の力をわかり易く表現したもので、その起源は比較的新しく、日本で成立した概念だ。その姿も諸説あって一定しない。
 しかし六体のお地蔵様が並んだ姿は、村々の辻や墓場の入り口で今でもよく見かけるし、何よりも昔話「かさこじぞう」で民衆に広く親しまれている。

 地蔵信仰は立派な教義こそ無いけれども、民衆の暮らしの中に溶け込んでいる。人々は地蔵菩薩についてのあれこれを詳しく知っているわけではないけれども、誰もが気軽に触ったり手を合わせたりできる素朴な信仰対象になっている。
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2006年06月04日

カテゴリ「地蔵」参考図書

 遅ればせながら、カテゴリ「地蔵」をカタるにあたって参照した本の中から、入手しやすく読みやすい二点を紹介。



 地蔵信仰の諸相について、ひろさちやをはじめ多数の論者がそれぞれの角度からアプローチ。純然たる入門書でありながら、幅広い内容を網羅している。誰にとっても平易で親しみやすい一冊。
 日本の地蔵信仰を語る上で重要な「延命地蔵経」(漢文と現代意訳)、「地蔵和讃」、「笠地蔵」等も、他の資料とともに収録されている。
 とくに「延命地蔵経」は(和製の偽経とされてはいるが)地蔵菩薩の由来が短く、簡潔に、ファンタジックにまとめられたお経で、いつの日か「絵解き紙芝居」にしてみたいと思わせる内容で、非常に読み応えがあった。




 こちらも印度、中国、日本における地蔵信仰の流れを網羅した入門書であるが、やや硬い内容。各種原典を明示して論を進めているので、この本を入り口に各自の興味に従って読書を進めていくことが出来る。こういう確実な内容の本が安価に入手できるのは、私のような独学絵描きとしては本当にありがたい。
 同著者は同じ塙新書で「観音信仰」「呪術宗教の世界」なども出しており、「正統」仏教だけでなく土俗・民間信仰の領域まで視野に入っているところが素晴らしい。
 私は「おじぞうさま」を考える時、「土俗」は決して無視できないばかりか、むしろ本質に迫る鍵になると思うのだ。
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2006年06月06日

田の神

 紹介するために参考図書をパラパラと読み返すと、それが呼び水となって一枚おじぞうさまが描きたくなった。

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 民間信仰のレベルでは、おじぞうさまは「田の神、水の神」でもあった。
 伝説や霊験譚の中で、しばしばおじぞうさまは農民に代わってそっと農作業を手伝い、自ら泥まみれになって雨を呼ぶ。
 それもこれも、つまるところは地蔵「クシティガルバ」。
 万物を生み育てる大地の母。
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posted by 九郎 at 23:31| Comment(0) | TrackBack(0) | 地蔵 | 更新情報をチェックする