2006年04月17日

シヴァの息子

 シヴァとパールヴァティーには、ガネーシャとスカンダという息子達がいる。神話にはいくつかバージョンがあるが、代表的な形を紹介してみよう。

【ガネーシャ】
 パールヴァティーは、夫シヴァの留守中に自分の垢を集めて男の子の人形を作った。その人形に命を吹き込んで息子とし、入浴中の警護を申し付けた。
 そこへシヴァが帰ってきたのだが、お互いを知らない初対面の二人は「入れろ、入れない」の押し問答になった。二人は激しく戦い、シヴァは苦戦しつつも男の子の首をはねた。入浴を終えたパールヴァティーは、息子の死を知って悲しみ、怒り狂った。
 シヴァは償いのためにガネーシャを生き返らせることにした。部下を北に派遣し、最初に出会った生き物の首を持ってくるように命じた。部下は象と出会い、ガネーシャは象頭になった。

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2006年04月24日

仏教への読み替え1 須弥山宇宙

 約2500年前、釈尊によって開かれた仏教は、時を経て古代インドの神々の体系や思想を吸収し、精緻な宇宙観を作り上げた。

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 上の絵図はその宇宙観をまとめたもので、表記の便宜上、縦横・大きさの比率はいじってあるが、位置関係や階層構造の参考にしていただきたい。

 何も無い虚空の中に、気体である「風輪(ふうりん)」が浮び、その上に液体である「水輪(すいりん)」、固体である「金輪(こんりん)」の層が有り、世界はその上に展開されている。水輪と金輪の間が「金輪際」で、「こんりんざい」の語源である。
 世界の周囲を囲む「鉄囲山(てっちせん)」の輪の中に海があり、世界の中心には「須弥山(しゅみせん)」がそびえている。須弥山の周囲は七重の山脈「七金山」に囲まれており、山脈の合間にはそれぞれ海がある。須弥山と七金山、鉄囲山で合計九山、その間の海が八海あるので、この世界を「九山八海(くせんはっかい)」と表現する。
 一番外側の海には東西南北に四つの大陸がある。我々が住むのは須弥山の南にある「閻浮提(えんぶだい)」で、台形をしているのはインド大陸のイメージだと思われる。
 人間の住む金輪表層の地下深くには地獄の世界が広がっており、須弥山の中腹辺りまでは阿修羅や竜王が住んでいる。それより上が神々の住む天界になっており、太陽と月である日天・月天は、須弥山の中腹あたりの軌道を巡っている。
 地獄・餓鬼(がき)・畜生(ちくしょう)・修羅・人・天の六つの世界「六道」の輪廻転生は、このような世界観の中で展開される。

 続けて、天界の構造を見ていってみよう。
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2006年05月15日

仏教への読み替え2 第六天魔王

 インド神話のシヴァ神は仏教に吸収され、大自在天をはじめ、いくつかのシヴァ的な天部の神々に読み替えられた。

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2006年05月19日

仏教への読み替え3 大聖歓喜天

 インド神話におけるシヴァの息子・ガネーシャは、仏教に読み替えられて「大聖歓喜天(だいしょうかんぎてん)」となった。単に「歓喜天」とも表記し、日本では一般に「聖天(しょうてん)さま」として親しまれている。ガネーシャの象頭人身の姿、基本的な性格はそのまま踏襲されているが、やや受け止め方に違いもある。
 仏教の歓喜天は、強力な現世利益を約束する引き換えに、真剣な修法によらなければ災いをなす恐ろしさを秘めた神でもある。これは他の天部にも共通する性格であるが、中でも歓喜天はその要素が強いとされている。要注意。
 現代インドのガネーシャは、温和で知略に富んだ神、現世利益、商売繁盛の神として、幅広く信仰されている。しかし、そもそもは魔物の王をルーツに持つ神であり、仏教の歓喜天はやや先祖返りした印象を受ける。これには仏教の歓喜天を信仰している中国人や日本人と、ガネーシャを信仰するインド人の感性の違いも関係しているかもしれない。象頭人身の姿は、象に親しみのあるインドと、長く親しみの無かった中国・日本では「異形性」の受け止め方に違いが出たのではないか。

 歓喜天には次のような神話も残されている。

 むかし、魔物の王がいた。慈悲の心からその悪業を止めようとした十一面観音は、婦女の姿に化身して王の前に現れた。王は婦女に情愛の念を起こしたが、一旦は拒否された。婦女は王に「仏の教えを受けた私に触れたいと願うなら、未来永劫仏教を守護し、修行者を守護し、悪業を積まないことを誓ってください」と告げた。王は約束し、婦女は喜んで王を抱いた。

 この神話を表現した双身歓喜天像も、多く作られている。
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2006年06月10日

仏教への読み替え4 軍神の系譜

 インド神話の神々が仏教に読み替えられる過程で、仏敵を調伏する「軍神」として採用されるケースは数多い。カテゴリ「大黒」で扱うシヴァ系統の神々も、その強大な力で「軍神」となった。

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