2006年06月20日

仏教への読み替え5 女神の系譜

 インド神話の個性的な女神達は、その特徴を残しつつ仏教の天部に読み替えられた。日本でも信仰を集める天部の女神達の中から、「大黒」というテーマに関連する三女神を紹介してみよう。

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2006年06月22日

神々の合体1 大国主

 インド神話のマハーカーラは仏教に読み替えられて大黒天となり、さらに日本に至って大国主(おおくにぬし)の神と習合して、いわゆる「だいこくさま」となった。「だいこくさま」の図像的イメージは、この「大国主」から引き継いでいる。

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 大国主神(おおくにぬしのかみ)は、日本神話の三貴子の一であるスサノオの、六世の孫と伝えられる。母親を異にする八十人の兄弟と、稲羽の八上比売(やかみひめ)を争い、因幡の素兎を助け、兄弟の謀計で二度死ぬが母神の力で蘇り、ついに根の国に逃亡した。
 落ち延びた大国主は、根の国でスサノオの娘、須勢理毘売命(すせりびめ)と恋に落ちた。スサノオは大国主に様々な試練を与えるが、須勢理毘売の手助けもあって何とか乗り切って行く。打ち込んだ鏑矢を拾ってくるように命令された野原では周囲に火を放たれ、あわや焼死しかけたが、鼠達の助けによって役目を果たす。
 ついには根の国から須勢理毘売命やスサノオの神宝を奪って顕国に帰還し、国津神の王となって日本を治めた。(後にアマテラスの系統の天津神に国を譲り、幽界へと去って行くことになる)
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2006年06月23日

神々の合体2 鞍馬山魔王尊

 京都平安京の北方に「鞍馬天狗」で有名な山岳修験の地、鞍馬山がある。
 標高569mの山であるが、昼なお暗き深い森は一名「闇山」とも言う。西暦770年の開山と伝えられ、平安京の北方の守護として、四天王の北方に相当する毘沙門天が祀られた。
 鞍馬寺所蔵の「鞍馬山曼荼羅図」には、中央に三叉戟様の武器を構えた毘沙門天、右には妻神の吉祥天、左には童子が描かれ、背景にあたる上方山間には天狗達が描かれている。
 鞍馬山の信仰はこの曼荼羅図に表現されている通り、寺からさらに山に分け入った奥の院に、天狗である「鞍馬山魔王尊」が祀られていることに特色がある。
 鞍馬山の天狗と言えば、牛若丸に兵法を伝授した「鞍馬山僧正坊」が有名だが、魔王尊はこの僧正坊を配下に治める元締めにあたると言う。奥の院本尊の魔王尊像は60年ごと開帳の秘仏になっているが、写真や描かれた図像をみると、毘沙門天とシンクロする持物・ポーズで、翼を背負った異様な天狗の姿に驚く。
 なぜ天狗と毘沙門天が重ねられるようになったのだろうか?
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2006年06月25日

神々の合体3 後戸の神

 伝教大師最澄の開いた天台宗の、第三代座主・慈覚大師円仁。
 密教の奥義を求めて入唐し、約十年の滞在後、帰国。その帰国途上の船中で、彼は謎の神を感得した。その神「摩多羅神(またらじん)」は、円仁に「我は障碍の神、我を崇敬しないならば往生は遂げられぬ」と告げたと言う。後に延暦寺常行三昧堂の守護神として祀られた。
 念仏や阿弥陀経の守護神にして、敬わない者の往生を妨げる神。念仏会には本尊の後戸に祀られる秘密の神…
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2006年06月30日

神々の合体4 蛇と狐と女神

 インド神話におけるマハーカーラの眷属またはカーリーの侍女ダーキニーは、仏教に読み替えられて荼吉尼天となり、日本においては稲荷信仰と結びついて狐にまたがった女神の姿でイメージされるようになった。

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 稲荷は穀物等の「食」の神で、狐を眷族とする。稲荷と言えば誰もが連続する朱の鳥居と一対の狐の像が思い浮かべるだろう。狐は本来稲荷神そのものではないが、一般には「稲荷=狐」としてイメージされることが多い。
 動物学的な狐ではなく、人々のイメージの中の狐は「女」であり、「墓地」に出没する一種禍々しい精霊だった。
 こうしたイメージは、墓場にたむろする恐ろしい女神ダーキニーとよく共通している。狐にまたがる荼吉尼天は、神話的にも図像的にも大変面白い。

 また、日本の稲荷信仰の元締め、伏見稲荷大社には祭神として「宇迦之御魂神(うかのみたま)」が祀られている。宇迦之御魂もまた「食」の神であり、作物を実らせる「水」の神、「大地」の神でもあった。
 多くの場合「水」の神は、竜や蛇の姿でイメージされる。宇迦之御魂の図像には人頭蛇身の姿で描かれたものも数多い。
 やがて「水」の神としての宇迦之御魂は、インド神話の河の女神サラスヴァティーを源流とする弁才天と重ねられるようになった。日本の弁才天の図像の多くには、頭上に小さくトグロを巻いた人頭蛇身の神がのせられている。
 日本の有力な弁才天信仰の一つ、天河弁財天信仰の流れには、さらに驚くべき図像が伝えられている。
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posted by 九郎 at 18:39| Comment(0) | TrackBack(0) | 大黒 | 更新情報をチェックする