私はこのようにブログを運営し、CG作品を発表したりしているけれども、生来のアナログ人間だ。PCをいじり始めたのが三年前で、それ以前は骨董品のようなワープロを使用し続けていた。
PCを始めてからも、なかなか絵を描くことには使わなかった。私は保守的な所があって、旧来のやり方を守りたがる傾向がある。犬が餌の中の嫌いなものをきれいにより分けて食べるような、ああいう頑固さがある。
「わざわざ慣れないCGに手を出さんでも、手描きでなんでもできるわい!」
という、アホなこだわりがあったのだ。
そんな私がCGに手を出し始めたのが二年前のこと。きっかけは「切り絵」だった。切り絵作品の主線を切り出した後、どのように色を入れるか考えていたときに、ふと「PCを使ってみるか」と思い立ったのだ。
Windowsマシンには「ペイント」というグラフィックソフトが付属していて、簡単な画像処理が出来るらしいことは知っていた。ためしに切り絵作品をスキャンし、「ペイント」を起動してみた。
「ペイント 使い方」と言うキーワードで検索してみると、丁寧に解説してあるサイトがいくつも見つかり、参考になった。
実際、着色にPCを利用してみて、私はその便利さに目を見張った。
失敗を気にすることなく何パターンも配色を試すことができ、しかもその処理のスピード感といったら・・・
「切り絵」と言う手法がCGになじみやすいことも幸いした。
中間色を使わないある意味デジタルな手法なので、「図」と「地」の関係がはっきりしており、グラフィックソフトと相性が良かった。
こうして私は「ペイント」を皮切りに、CGの世界に足を踏み入れることになった。「ペイント」は様々なグラフィックソフトの入門として最適で、私はこの二年間、様々なグラフィックソフトを試すようになり、すっかりCGが気に入って今に至るのである。
前回アップした「四神」の中から、「青龍」を題材に「ペイント」の使用例を示してみよう。
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2006年11月05日
2006年11月06日
切り絵師 宮田雅之
どんなジャンルにも言えることだが、その世界の「申し子」としか表現できないような、凄腕を持った第一人者と言うものは存在する。このカテゴリ「紙(カミ)」で取り上げた河合豊彰氏はまさに「おり紙の申し子」だし、切り絵のジャンルで言えば今回紹介する宮田雅之氏がそうだ。
●「宮田雅之の切り絵八犬伝」(平凡社別冊太陽)
宮田雅之氏の没後、追悼記念として発行された一冊。
氏の刀さばきが刻み込む妖艶な描線が「八犬伝」の世界と奇跡的にマッチして、ページを開けば凄まじいばかりの「怪しの世界」が繰り広げられる。
大胆な構図は動画を見るごとく、
規則的に刻まれた直線は建築物を見るごとく、
極限まで究めた省略は抽象絵画を思わせ、
流麗な曲線は無音の音楽を響かせる。
絵描きの端くれとして氏の作品を鑑賞すると、無駄な線を極力省く精神力に、つくづく頭が下がってしまう。
自分の腕を誇りたいのは絵描きの本能のようなもの。紙を切りつつ己の技をも断つような静かな気迫、なかなか真似できるものではない。
●「宮田雅之の切り絵八犬伝」(平凡社別冊太陽)
宮田雅之氏の没後、追悼記念として発行された一冊。
氏の刀さばきが刻み込む妖艶な描線が「八犬伝」の世界と奇跡的にマッチして、ページを開けば凄まじいばかりの「怪しの世界」が繰り広げられる。
大胆な構図は動画を見るごとく、
規則的に刻まれた直線は建築物を見るごとく、
極限まで究めた省略は抽象絵画を思わせ、
流麗な曲線は無音の音楽を響かせる。
絵描きの端くれとして氏の作品を鑑賞すると、無駄な線を極力省く精神力に、つくづく頭が下がってしまう。
自分の腕を誇りたいのは絵描きの本能のようなもの。紙を切りつつ己の技をも断つような静かな気迫、なかなか真似できるものではない。
2006年12月22日
和紙
おりがみや切り絵にはよく和紙を使う。
洋紙に無い和紙の特徴としては、強靭さと、独特の肌触りがある。不規則に絡みあった繊維質が、この二つの特徴を生んでいる。
このブログでは以前、和紙で折ったおりがみ作品をいくつか紹介したが、切り絵「極楽往生源大夫」にも、和紙を使用している。カテゴリ「今昔物語」でアップした画像はサイズが小さかったので、和紙の肌触りまでは伝わりにくかったと思うので、ためしに(部分的に)実物大に近いサイズで表示できるようにしてみよう。
切り絵の場合は、本来このように、紙の重なり具合まで見える大きさで見るのがお勧めなのだが、ネット上ではなかなか難しい。
最近カテゴリ「原風景」でアップした絵も、和紙による貼り絵で制作した。私が幼い頃を過ごした祖父母宅周辺を描いたものだ。
この貼り絵は縦60cm×横90cmの比較的大きなサイズで、デジカメ撮影後、補整した。そうとう縮小した画像だが、それでも紙の厚みは各所に見えている。このあたりが和紙という素材そのものの持つ力だ。
この作品も部分的に拡大してみよう。
私は最近作のほとんどをCGで制作しているが、元々はアナログ志向が強い。画材店やホームセンターに行ったときには、色々な素材を手にとっては、あれこれ使い道を考えている。
洋紙に無い和紙の特徴としては、強靭さと、独特の肌触りがある。不規則に絡みあった繊維質が、この二つの特徴を生んでいる。
このブログでは以前、和紙で折ったおりがみ作品をいくつか紹介したが、切り絵「極楽往生源大夫」にも、和紙を使用している。カテゴリ「今昔物語」でアップした画像はサイズが小さかったので、和紙の肌触りまでは伝わりにくかったと思うので、ためしに(部分的に)実物大に近いサイズで表示できるようにしてみよう。
切り絵の場合は、本来このように、紙の重なり具合まで見える大きさで見るのがお勧めなのだが、ネット上ではなかなか難しい。
最近カテゴリ「原風景」でアップした絵も、和紙による貼り絵で制作した。私が幼い頃を過ごした祖父母宅周辺を描いたものだ。
この貼り絵は縦60cm×横90cmの比較的大きなサイズで、デジカメ撮影後、補整した。そうとう縮小した画像だが、それでも紙の厚みは各所に見えている。このあたりが和紙という素材そのものの持つ力だ。
この作品も部分的に拡大してみよう。
私は最近作のほとんどをCGで制作しているが、元々はアナログ志向が強い。画材店やホームセンターに行ったときには、色々な素材を手にとっては、あれこれ使い道を考えている。
2007年03月02日
おりがみ雛人形
明日3月3日は雛祭。2月19日の記事で予告していた通り、おりがみで雛人形を作ってみました。
(↑画像をクリックすると大きくなります)
絞り染めの手漉き和紙で本体を作り、同じく手漉き和紙で頭部や小道具・台座を作ってあります。和紙には樹脂(つや消しニス)を含ませ、強度と形の安定性の補助としました。
台座の一辺が7cmで、クリックした状態の画像が、だいたい実物大になるかと思います。
当方の居住環境の制約から、今回は小さめサイズの制作となりました(笑)
大きさがわかり易いように、筆ペンとの比較写真もアップしてみましょう。
後ろから見ると、一応立体的になっているのがお伝えできるでしょう。
雛人形の折り方は、様々な本で様々な種類が紹介されていますが、今回は私の尊敬するおりがみ師、河合豊彰さんの本を参考にしました。
●「創作おりがみ」河合豊彰(保育社カラーブックス)
この本の「内裏雛」を元に折っています。前回試し折りしたものが、比較的本に忠実な状態です。
今回は途中から私の好みで改変してあるので、出来上がりの印象はかなり違ったものになりました。同じ折り方でも、折る者の個性によって出来上がりが違ってくるのが、おりがみの面白いところです。
男雛女雛の並べ方は、前回と反対になっています。
調べてみたところ、前回の並べ方は関東風、今回の並べ方が関西風になっているようです。
なんとか明日の雛祭に間に合ってほっと一息。
「今年は」こんなところで……
おりがみ雛人形に関する記事は、以下にまとめてあります。
おりがみ雛人形まとめ
(↑画像をクリックすると大きくなります)
絞り染めの手漉き和紙で本体を作り、同じく手漉き和紙で頭部や小道具・台座を作ってあります。和紙には樹脂(つや消しニス)を含ませ、強度と形の安定性の補助としました。
台座の一辺が7cmで、クリックした状態の画像が、だいたい実物大になるかと思います。
当方の居住環境の制約から、今回は小さめサイズの制作となりました(笑)
大きさがわかり易いように、筆ペンとの比較写真もアップしてみましょう。
後ろから見ると、一応立体的になっているのがお伝えできるでしょう。
雛人形の折り方は、様々な本で様々な種類が紹介されていますが、今回は私の尊敬するおりがみ師、河合豊彰さんの本を参考にしました。
●「創作おりがみ」河合豊彰(保育社カラーブックス)
この本の「内裏雛」を元に折っています。前回試し折りしたものが、比較的本に忠実な状態です。
今回は途中から私の好みで改変してあるので、出来上がりの印象はかなり違ったものになりました。同じ折り方でも、折る者の個性によって出来上がりが違ってくるのが、おりがみの面白いところです。
男雛女雛の並べ方は、前回と反対になっています。
調べてみたところ、前回の並べ方は関東風、今回の並べ方が関西風になっているようです。
なんとか明日の雛祭に間に合ってほっと一息。
「今年は」こんなところで……
おりがみ雛人形に関する記事は、以下にまとめてあります。
おりがみ雛人形まとめ
2007年05月03日
おりがみ兜
5月5日はこどもの日。
この時期になると、おりがみの兜を思い出す。幼稚園児にも可能な簡単なおり方で、シンプルながら兜の雰囲気をよく再現した作品が完成する。
新聞紙などで折ると、実際かぶれるものが出来るのもいい。
伝承おりがみの持つ魅力だ。
この伝承おりがみでも十分なのだが、大人になると「もうちょっとリアルなのが出来んかな?」などと邪念が沸き起こってくる。手持ちのおりがみ本の中に、良いお手本はないものかと探してみると、中々かっこいいお手本が見つかった。
●「変わりおりがみ」杉村卓二著(保育社カラーブックス)
この本の中に収録されている兜のおり方は、本のタイトルの通りちょっと変わっている。
対角線の長さが1:2の菱形の紙から作成する兜は、クワガタの部分がすっと伸び、烏帽子型の鉢がかっこいい逸品だ。
多少自分なりのアレンジを加えて折ってみた。
対角線が25cm:12.5cmの紙で折ると、手のひらサイズの作品が完成した。80cm:40cm〜100cm:50cmぐらいの紙で折れば、大人がかぶれるものが出来そうだ。
裏打ちした和紙で作り、樹脂で固めれば、更にリアルに仕上がるだろう。
戦国時代の兜や陣笠は、鉄ばかりでなく、漆で固めた和紙製のものもあったらしい。軽く、強度もあるので足軽クラスの武装には和紙もよく使われたそうだ。
おりがみ兜とはいえ、がっちり作れば本物っぽいものが出来そうな気がする。
今年は間に合わないが、来年の5月に向けて、ちょっと考えてみよう……
これまでのおりがみ兜のまとめ記事はこちらです。
この時期になると、おりがみの兜を思い出す。幼稚園児にも可能な簡単なおり方で、シンプルながら兜の雰囲気をよく再現した作品が完成する。
新聞紙などで折ると、実際かぶれるものが出来るのもいい。
伝承おりがみの持つ魅力だ。
この伝承おりがみでも十分なのだが、大人になると「もうちょっとリアルなのが出来んかな?」などと邪念が沸き起こってくる。手持ちのおりがみ本の中に、良いお手本はないものかと探してみると、中々かっこいいお手本が見つかった。
●「変わりおりがみ」杉村卓二著(保育社カラーブックス)
この本の中に収録されている兜のおり方は、本のタイトルの通りちょっと変わっている。
対角線の長さが1:2の菱形の紙から作成する兜は、クワガタの部分がすっと伸び、烏帽子型の鉢がかっこいい逸品だ。
多少自分なりのアレンジを加えて折ってみた。
対角線が25cm:12.5cmの紙で折ると、手のひらサイズの作品が完成した。80cm:40cm〜100cm:50cmぐらいの紙で折れば、大人がかぶれるものが出来そうだ。
裏打ちした和紙で作り、樹脂で固めれば、更にリアルに仕上がるだろう。
戦国時代の兜や陣笠は、鉄ばかりでなく、漆で固めた和紙製のものもあったらしい。軽く、強度もあるので足軽クラスの武装には和紙もよく使われたそうだ。
おりがみ兜とはいえ、がっちり作れば本物っぽいものが出来そうな気がする。
今年は間に合わないが、来年の5月に向けて、ちょっと考えてみよう……
これまでのおりがみ兜のまとめ記事はこちらです。