季節柄、兜をおりがみで制作するためにあれこれ調べていて、書店の本棚で一冊の本を手に取った。
●「〈こころ〉の折り紙―仏像をつくる」河合敦子(春秋社)
おりがみで見事に表現された仏像の数々。
この作風は、見紛うことなく我が尊敬するおりがみ師・
河合豊彰さんのものだが、著者名は違う。
同姓の、女性名義……
ざわっと感ずるところがあってページを繰り、あとがきに視線を走らせる。
思わず「あっ!」と声を漏らす。
やはり、河合豊彰さんはお亡くなりになっていたのか……
しかも今から一年以上前の2007年の1月に……
一年以上知らなかったことや、自分が始めて河合豊彰さんの記事を書いた時点ではまだご存命だったことなどが、ぐるぐると頭の中を駆け巡った。こちらは何の面識も無い一読者、一ファン。だからどうだと言うことは何も無いのだけれども、ともかく思い入れのあった方の訃報には、いつも同様の心の揺れが生じる。
そのまま本を購入して帰り、付録の越前和紙を使っていくつかの折り図を辿ってみた。お線香をあげるような心境で。
あとがきによると、河合豊彰さんはある時期から仏教をテーマにした作品を多数手がけるようになり、出家はしていなかったけれども普段のスタイルからスキンヘッドに作務衣で制作していたと言う。
曹洞宗の機関紙にも作品を発表なさっていたそうだ。
私はそもそも、師の一連の「仮面」作品に惹かれて著作を渉猟していたのだが、その中にも仏教をテーマにしたものがたくさんあった。
色々と思い出しながら、付録の和紙五枚を使って、ともかくおり上げてみる。
(クリックすると画像が大きくなります)
上記「〈こころ〉の折り紙」は、和紙が付録になっていて入門書のような体裁をとっているけれども、正直、この本ではじめておりがみをやってみようと言う人には向かないだろう。
内容ははっきりと上級者向けなので、ある程度おりがみ経験を積んだ人でないと、制作は難しいかもしれない。
付録の和紙も、慣れていないと普通の薄い洋紙のおりがみより折りにくく感じるだろうし、紙の大きさが内容に比べて小さ過ぎる。
この本を購入して苦戦したら、以下の本で練習してから再挑戦をお勧めしたい。
時間が出来たら、今度はもう少し大きな紙で、折ってみよう。
合掌。