おりがみ雛人形の折り方が載っている本についてはこれまでも紹介してきましたので、今回はそれ以外の参考図書をとりあげてみます。
●「お雛さまをたずねて」藤田順子(JTBキャンブックス)
日本各地の名品雛人形を多数の写真で紹介してあるので、おりがみで制作するときにも非常に参考になります。雛人形は時代や地方ごとに顔立ちや装束が違うので、好みのお手本を探してみましょう。
雛祭の歴史や薀蓄についても詳しく解説してあります。
それによるとそもそも雛人形の発祥は、和紙や木で作った「ひとがた」であったとのこと。そこから紙製の立ち雛になり、徐々に今の形に変遷してきたそうです。
ということは、雛人形を表現するときに、おりがみという手法を使うことは、伝統に沿っていることになりますね。
●「折り紙建築 グリーティングカード集」中沢圭子(彰国社)
今年の当ブログのお雛様は、ポップアップで作った雛壇に乗せてみました。今回はごく単純なものですが、このポップアップと言う手法も置くが深く楽しいものです。
いずれ作品をアップしてみます。
おりがみ雛人形に関する記事でコメントをいただいていたsumakoさんから、素敵な作品の写真を送ってもらいました。sumakoさんのおりがみ雛人形

2010年03月03日
2010年04月26日
前川淳「本格折り紙」
今年も新しい折り紙兜に挑戦しようと、ネットや書店の折り紙コーナーを漁っているうちに、物凄い本に出会ってしまった。
●「本格折り紙―入門から上級まで」前川淳(日貿出版社)
表紙写真に惹かれて手に取り、口絵にかっこいい兜を発見したので購入。前から順にページを繰りながら、面白そうなものを折ってみた。
その中からいくつか紹介してみよう。
基本的には正方形の折り紙、鋏による切り込み無しの原則で折り図が載っている。普通の15p折り紙では極めて困難なので、最低でも25p、できれば30p以上の紙が望ましいだろう。
今回は市販の25p折り紙用紙で、ともかく図に従って折ってみた。
かなり上級者向けの本なので、私もアップアップしながら「とにかく折ってみた」という状態だ。本で紹介されているのは、もっと素晴らしい写真なので、興味のある方はぜひ手に取ってみてほしい。

恐竜的なプロポーションがきちんと表現されていてかっこいい。
トリケラトプスは、折り図の通りだと「角が一本多い」と感じたので、今回は名前の由来通り「三本角」にしてある。

東洋と西洋の龍が、見事に折り分けることができる。
角や爪先の分岐が凄い。

正方形・切り込み無しの原則で、驚くべきことにカブトムシの体のパーツである足六本・羽四枚・角大小二本・そして触覚一対まで折りだしている!
しかも四枚の羽根のうち二枚は裏地の白を利用して透明感を表現してある!

そして最後を飾るのは「悪魔」

写真では分かりにくいかもしれないが、ちゃんと指が五本あり、矢印型の尻尾も生えているので自立する!
この本の素晴らしいところは、上掲の折り紙作品が、前から順に折っていくと、誰にでも完成させられる可能性があるということに加えて、折り紙を構成する基本理論が各所で解説されており、単に「図を見て折る」という段階から、自分で創作を折る段階への橋渡しになりうるということだと思う。
折り紙ファン必見の一冊だ。
最後になったが、かっこいい兜の折り図も掲載されていたのでご紹介。こちらはさほど難しくないので、本を見れば誰にでも折れる。
●「本格折り紙―入門から上級まで」前川淳(日貿出版社)
表紙写真に惹かれて手に取り、口絵にかっこいい兜を発見したので購入。前から順にページを繰りながら、面白そうなものを折ってみた。
その中からいくつか紹介してみよう。
基本的には正方形の折り紙、鋏による切り込み無しの原則で折り図が載っている。普通の15p折り紙では極めて困難なので、最低でも25p、できれば30p以上の紙が望ましいだろう。
今回は市販の25p折り紙用紙で、ともかく図に従って折ってみた。
かなり上級者向けの本なので、私もアップアップしながら「とにかく折ってみた」という状態だ。本で紹介されているのは、もっと素晴らしい写真なので、興味のある方はぜひ手に取ってみてほしい。

恐竜・ティラノサウルスとトリケラトプス
恐竜的なプロポーションがきちんと表現されていてかっこいい。
トリケラトプスは、折り図の通りだと「角が一本多い」と感じたので、今回は名前の由来通り「三本角」にしてある。

龍とドラゴン
東洋と西洋の龍が、見事に折り分けることができる。
角や爪先の分岐が凄い。

カブトムシ
正方形・切り込み無しの原則で、驚くべきことにカブトムシの体のパーツである足六本・羽四枚・角大小二本・そして触覚一対まで折りだしている!
しかも四枚の羽根のうち二枚は裏地の白を利用して透明感を表現してある!

そして最後を飾るのは「悪魔」

写真では分かりにくいかもしれないが、ちゃんと指が五本あり、矢印型の尻尾も生えているので自立する!
この本の素晴らしいところは、上掲の折り紙作品が、前から順に折っていくと、誰にでも完成させられる可能性があるということに加えて、折り紙を構成する基本理論が各所で解説されており、単に「図を見て折る」という段階から、自分で創作を折る段階への橋渡しになりうるということだと思う。
折り紙ファン必見の一冊だ。
最後になったが、かっこいい兜の折り図も掲載されていたのでご紹介。こちらはさほど難しくないので、本を見れば誰にでも折れる。

2010年04月27日
おりがみ兜の色々4
前回の記事で紹介した前川淳さんの「飾り兜」を、もう少し大きな紙で折ってみた。
金色のホイル紙で裏地が赤の、大きなサイズの折り紙用紙が売っていたので、今回はカラースプレーで裏地を黒鉄色っぽく塗りなおして使用。

かなり見栄えのするものが完成したと思う。
折りがけっこう複雑なので、側面や後ろから見て間延びしないのも素晴らしい。

ただ、折りが複雑であることとひきかえに、用紙のサイズに対して完成品のサイズが小さくなるのは仕方がないだろう。
実際にかぶれる大きさにするには、おそらく一辺80〜90cmの正方形から折ることになりそうだ。
そのかわり折りが何重にも重なる分、薄い紙でも強度が付けやすいというメリットもある。
もうすぐGW。
端午の節句の前後のお休みに、かぶれるものに挑戦してみるのも一興かもしれない。
過去の「おりがみ兜」紹介記事は、以下の通り。
おりがみ兜
おりがみ兜の色々
おりがみ兜の色々2
おりがみ兜の色々3
八咫烏の兜
これまでのおりがみ兜のまとめ記事はこちらです。
金色のホイル紙で裏地が赤の、大きなサイズの折り紙用紙が売っていたので、今回はカラースプレーで裏地を黒鉄色っぽく塗りなおして使用。

かなり見栄えのするものが完成したと思う。
折りがけっこう複雑なので、側面や後ろから見て間延びしないのも素晴らしい。

ただ、折りが複雑であることとひきかえに、用紙のサイズに対して完成品のサイズが小さくなるのは仕方がないだろう。
実際にかぶれる大きさにするには、おそらく一辺80〜90cmの正方形から折ることになりそうだ。
そのかわり折りが何重にも重なる分、薄い紙でも強度が付けやすいというメリットもある。
もうすぐGW。
端午の節句の前後のお休みに、かぶれるものに挑戦してみるのも一興かもしれない。
過去の「おりがみ兜」紹介記事は、以下の通り。
おりがみ兜
おりがみ兜の色々
おりがみ兜の色々2
おりがみ兜の色々3
八咫烏の兜
これまでのおりがみ兜のまとめ記事はこちらです。
2010年04月28日
八咫烏のおりがみ
この十数年、カラスについての神話に関心を持ってきた。
いずれこのブログでもカテゴリ「ワタリガラス」としてまとめてみたいのだが、思い入れが強い分、なかなか語りだせないでいる。
ここ一年ほどは雑賀衆、とりわけ八咫烏の紋を背負って戦国の世を駆け抜けた雑賀孫一という人物のことを探究しているのだが、これも偶然とは思えない縁を感じている。
最近、その八咫烏の折り紙がちょっとした話題になっていることを知った。サッカーワールドカップの日本チーム応援企画で、日本サッカー協会のシンボルにもなっている八咫烏を、紙で折って盛り上げようという趣旨らしい。
私はサッカーには疎く、このお話も本当に最近になるまで知らなかった。
いったいどんな折り方でどんな仕上がりなのか、さっそく公式ページから四種類の折り図を収得して試してみた。

まずは初級編。
極めて簡単な折り方で、おそらく小学校低学年でも大丈夫だ。
八咫烏の特徴である「三本足」は表現されていないが、とぼけた感じの味わい深いカラスの姿が出来上がる。

次に中級編。
これも簡単な折り方。今回は折った紙の色のせいか、鳩みたいになってしまった(笑)

そして上級編。
けっこう難しいが、協会のシンボルマークに近いデザインが、一部ハサミの切り込みを入れることによって見事に表現されている。
折りあげると満足感のある作品だ。

最上級編。
たしかに凄く難しい。難しいのだが、個人的には完成させてもちょっと微妙な感じで、喜びは少なかった。
一番目の初級編と、三番目の上級編がお勧めか。
ところで、私が最近ハマっている前川淳「本格折り紙」という本の中に、折り鶴のバリエーションとして「三つ首の鶴」という折り方が紹介されていた。
切り込み無しで首が三つある鶴が折れる。

折ってみてすぐに思ったのは、
「これ、頭と尻尾を逆にしたら八咫烏になるのでは?」
ということだった。
さっそく折ってみた。

立体感をつけてみたり色々試しているうちに、ややいじり過ぎてしまったかもしれない。

あまりリアル造形指向に傾くと、折り紙で表現する意味合いが薄れてくる。折り紙は本質的には「抽象化」「見立て」のジャンルなので、なるべくシンプルな方がいい。
そこがまた難しい。
難しいが、ハマってしまう(笑)
いずれこのブログでもカテゴリ「ワタリガラス」としてまとめてみたいのだが、思い入れが強い分、なかなか語りだせないでいる。
ここ一年ほどは雑賀衆、とりわけ八咫烏の紋を背負って戦国の世を駆け抜けた雑賀孫一という人物のことを探究しているのだが、これも偶然とは思えない縁を感じている。
最近、その八咫烏の折り紙がちょっとした話題になっていることを知った。サッカーワールドカップの日本チーム応援企画で、日本サッカー協会のシンボルにもなっている八咫烏を、紙で折って盛り上げようという趣旨らしい。
私はサッカーには疎く、このお話も本当に最近になるまで知らなかった。
いったいどんな折り方でどんな仕上がりなのか、さっそく公式ページから四種類の折り図を収得して試してみた。

まずは初級編。
極めて簡単な折り方で、おそらく小学校低学年でも大丈夫だ。
八咫烏の特徴である「三本足」は表現されていないが、とぼけた感じの味わい深いカラスの姿が出来上がる。

次に中級編。
これも簡単な折り方。今回は折った紙の色のせいか、鳩みたいになってしまった(笑)

そして上級編。
けっこう難しいが、協会のシンボルマークに近いデザインが、一部ハサミの切り込みを入れることによって見事に表現されている。
折りあげると満足感のある作品だ。

最上級編。
たしかに凄く難しい。難しいのだが、個人的には完成させてもちょっと微妙な感じで、喜びは少なかった。
一番目の初級編と、三番目の上級編がお勧めか。
ところで、私が最近ハマっている前川淳「本格折り紙」という本の中に、折り鶴のバリエーションとして「三つ首の鶴」という折り方が紹介されていた。
切り込み無しで首が三つある鶴が折れる。

折ってみてすぐに思ったのは、
「これ、頭と尻尾を逆にしたら八咫烏になるのでは?」
ということだった。
さっそく折ってみた。

立体感をつけてみたり色々試しているうちに、ややいじり過ぎてしまったかもしれない。

あまりリアル造形指向に傾くと、折り紙で表現する意味合いが薄れてくる。折り紙は本質的には「抽象化」「見立て」のジャンルなので、なるべくシンプルな方がいい。
そこがまた難しい。
難しいが、ハマってしまう(笑)
2010年07月13日
和船を折る
戦国時代の勇壮な軍船の資料をあたっていると、元プラモ少年の血がざわざわと騒いでくる。
どこかに模型売ってないかね?
これまでの記憶から、模型売り場を脳内に再現してみる。
20世紀の軍艦のプラモは人気だ。
帆船模型は模型趣味の中でも「高い」部類に入る。
戦国時代なら、城や兜のプラモは売られている。
さて、それでは戦国時代の軍船は?
今まで和船の模型を探そうと思い立ったことは無かったので、なんとなく「有りそうで、無さそうで」というぼんやりとしたイメージしかわかない。
それでは、とネットで調べてみたが、どうやら現在「和船」というカテゴリで写実的な模型は(少なくとも大手メーカーからは)販売されていないようだ。
昔「科学と学習」の付録で「遣唐使船」がついていたことがあったと思うのだが、あれなどは例外中の例外であるらしい。
和船には「雛型」という伝統がある。船大工の皆さんが腕をふるって実際の船を忠実に小型化した模型を神社に奉納したりするのだ。
そうした伝統のある我がニッポンとしては、和船のプラモ一つ手に入らないこの現状は寂しい限りだ。
戦国ブームに沸く今ならば、たとえば織田軍の「鉄甲船」なんかが発売されたらそれなりに売れると思うのだが、どうだろうか。あの「鉄甲船」が史料に乏しく、実在性にも疑問符がつくので模型化しにくいということであれば、単に「戦国軍船」という名で安宅船を模型化し、色違いで「織田軍バージョン」を作ればよいと思うのだが……
週刊「戦国軍船」とか、一つよろしくお願いしますよ!
後は海洋博物館等ののグッズショップで、和船の模型やペーパークラフトがないかどうか探してみよう。
当ブログではおりがみのこともたまに記事にしてきた。和船とは全く無関係におりがみの本を調べていたところ、その名もずばり「舟のおりがみ」という本を発見してびっくりした。
●「舟のおりがみ」桃谷好英(誠文堂新光社)
伝承の「笹舟」からはじまり、「二そう舟」「帆掛け舟」「宝船」や、その他著者が創作した時代も地域も様々な「舟のおりがみ」36種で埋め尽くされた一冊。洋物の帆船や、現代のモーターボートなど、とても幅広く、もちろん「和船」に属するものも多数収録されている。
残念ながら「戦国軍船」そのものは収録されていなかったが、いくつか和船的なものを折ってみたので紹介してみよう。

まずは「カヌー」として収録されているもの。

雰囲気的には原始的な「丸木舟」として十分通用するだろう。
次は「屋形船」。

純粋な和船とは言えないが、日本の船にも大きな影響を与えた、中国の帆船「ジャンク」。

各所の形状が物凄くリアルな「和船」。

最後に伝承おりがみの「宝船」。

この「宝船」は、基本になる折り方は一応決まっているのだが、各自の解釈で様々な形状が生まれてくる。伝承おりがみの持つ懐の深さが素晴らしい。
舟の折り紙は微妙な角度が要求されるので、頑丈な和紙で折ることがお勧めだ。
和船の模型がなかなか手に入らない私の心も、おりがみで少し癒された気がする(笑)
どこかに模型売ってないかね?
これまでの記憶から、模型売り場を脳内に再現してみる。
20世紀の軍艦のプラモは人気だ。
帆船模型は模型趣味の中でも「高い」部類に入る。
戦国時代なら、城や兜のプラモは売られている。
さて、それでは戦国時代の軍船は?
今まで和船の模型を探そうと思い立ったことは無かったので、なんとなく「有りそうで、無さそうで」というぼんやりとしたイメージしかわかない。
それでは、とネットで調べてみたが、どうやら現在「和船」というカテゴリで写実的な模型は(少なくとも大手メーカーからは)販売されていないようだ。
昔「科学と学習」の付録で「遣唐使船」がついていたことがあったと思うのだが、あれなどは例外中の例外であるらしい。
和船には「雛型」という伝統がある。船大工の皆さんが腕をふるって実際の船を忠実に小型化した模型を神社に奉納したりするのだ。
そうした伝統のある我がニッポンとしては、和船のプラモ一つ手に入らないこの現状は寂しい限りだ。
戦国ブームに沸く今ならば、たとえば織田軍の「鉄甲船」なんかが発売されたらそれなりに売れると思うのだが、どうだろうか。あの「鉄甲船」が史料に乏しく、実在性にも疑問符がつくので模型化しにくいということであれば、単に「戦国軍船」という名で安宅船を模型化し、色違いで「織田軍バージョン」を作ればよいと思うのだが……
週刊「戦国軍船」とか、一つよろしくお願いしますよ!
後は海洋博物館等ののグッズショップで、和船の模型やペーパークラフトがないかどうか探してみよう。
当ブログではおりがみのこともたまに記事にしてきた。和船とは全く無関係におりがみの本を調べていたところ、その名もずばり「舟のおりがみ」という本を発見してびっくりした。
●「舟のおりがみ」桃谷好英(誠文堂新光社)
伝承の「笹舟」からはじまり、「二そう舟」「帆掛け舟」「宝船」や、その他著者が創作した時代も地域も様々な「舟のおりがみ」36種で埋め尽くされた一冊。洋物の帆船や、現代のモーターボートなど、とても幅広く、もちろん「和船」に属するものも多数収録されている。
残念ながら「戦国軍船」そのものは収録されていなかったが、いくつか和船的なものを折ってみたので紹介してみよう。

まずは「カヌー」として収録されているもの。

雰囲気的には原始的な「丸木舟」として十分通用するだろう。
次は「屋形船」。

純粋な和船とは言えないが、日本の船にも大きな影響を与えた、中国の帆船「ジャンク」。

各所の形状が物凄くリアルな「和船」。

最後に伝承おりがみの「宝船」。

この「宝船」は、基本になる折り方は一応決まっているのだが、各自の解釈で様々な形状が生まれてくる。伝承おりがみの持つ懐の深さが素晴らしい。
舟の折り紙は微妙な角度が要求されるので、頑丈な和紙で折ることがお勧めだ。
和船の模型がなかなか手に入らない私の心も、おりがみで少し癒された気がする(笑)