2006年09月02日
カテゴリ「友ヶ島」
大阪湾の南、淡路島と紀伊半島の間を流れる紀淡海峡の真ん中に、その無人島は浮かんでいる。ちょうど135°の子午線上にあり、日本標準時を示す明石の真南にもあたる。
島の名は「友ヶ島(ともがしま)」
上掲地図は分りやすく表記するために友ヶ島をかなり大きめに表現してあるが、実際は日本全図で見ると「・」にしか見えないような小さな小さな島だ。
友ヶ島は、沖ノ島・地ノ島と、沖ノ島に付随する虎島・神島の四島の総称だ。太平洋から大阪湾に入る要所であり、紀州加太から淡路島に渡る中継地点、近現代には旧日本軍の基地の島でもあった。また、修験道の葛城二十八宿のスタート地点にあたり、数々の神話に彩られた神の島でもあった。
このカテゴリ「友ヶ島」では、この島の神話的風景を、絵とカタリ、現地レポートも交えて紹介していきたいと思う。
しばらくのお付き合いを。
2006年09月04日
友ヶ島年代記1 オノゴロ島
宇宙の始まりの天の神々は、イザナギ・イザナミの男女二柱の神に「この漂える国を修理固成せよ」と詔りて、天の沼矛(アメノヌボコ)という神聖な矛を授けた。
イザナギ・イザナミは天の浮橋に立ち、天の沼矛を差し下ろし、潮コヲロコヲロとかき鳴らして引き上げた。すると矛の先から滴り落ちる塩が積み重なって島となった。
これが淤能碁呂(オノゴロ)島である。
イザナギ・イザナミはオノゴロ島に降り立って、国生みを始める。最初に生まれた蛭子(ヒルコ)と次に生まれた淡嶋(アワシマ)は不完全な子だったのでそのまま流された。
二神が再度国を生みなおすと、淡路島をはじめ、日本の国土となる大八州(オオヤシマ)が次々と生み出された…
オノゴロ島がどこにあるのか、諸説わかれる。
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イザナギ・イザナミは天の浮橋に立ち、天の沼矛を差し下ろし、潮コヲロコヲロとかき鳴らして引き上げた。すると矛の先から滴り落ちる塩が積み重なって島となった。
これが淤能碁呂(オノゴロ)島である。
イザナギ・イザナミはオノゴロ島に降り立って、国生みを始める。最初に生まれた蛭子(ヒルコ)と次に生まれた淡嶋(アワシマ)は不完全な子だったのでそのまま流された。
二神が再度国を生みなおすと、淡路島をはじめ、日本の国土となる大八州(オオヤシマ)が次々と生み出された…
オノゴロ島がどこにあるのか、諸説わかれる。
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2006年09月08日
友ヶ島年代記2 アワシマ
イザナギ・イザナミの生んだ第二子、子のうちにいれられず流されたアワシマのその後はよくわからない。
友ヶ島諸島のうちの「神島」は、古くは「淡嶋(アワシマ)」と呼ばれていたと伝えられる。友ヶ島を代表する沖ノ島の北側に、プッと吐き出されたように浮かぶ小さな小さな島が神島。沖ノ島をオノゴロ島に見立てると、「神島=淡嶋」はちょうど国生み神話の風景と重なるようにも見える。
神島には古くから大己貴命(オオナムジノミコト)と少彦名命(スクナヒコナノミコト)が祀る祠があったと言う。オオナムジは大国主の別名、スクナヒコナは大国主に協力して国造りを行った神だ。
スクナヒコナは「日本書紀」によると、高皇産霊(タカミムスビ)神の子で「いたずらをしていて指の股からこぼれ落ちた」と伝えられる。非常に小さな神であり、ガガイモの実の舟に乗って漂着した所で大国主と出会い、以後心を一つにして国を治めた。
最後は再び旅立って常世の国に至ったという。
スクナヒコナもまた漂着神の一柱のようだ。
スクナヒコナは「淡島明神」としても祀られることがある。
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友ヶ島諸島のうちの「神島」は、古くは「淡嶋(アワシマ)」と呼ばれていたと伝えられる。友ヶ島を代表する沖ノ島の北側に、プッと吐き出されたように浮かぶ小さな小さな島が神島。沖ノ島をオノゴロ島に見立てると、「神島=淡嶋」はちょうど国生み神話の風景と重なるようにも見える。
神島には古くから大己貴命(オオナムジノミコト)と少彦名命(スクナヒコナノミコト)が祀る祠があったと言う。オオナムジは大国主の別名、スクナヒコナは大国主に協力して国造りを行った神だ。
スクナヒコナは「日本書紀」によると、高皇産霊(タカミムスビ)神の子で「いたずらをしていて指の股からこぼれ落ちた」と伝えられる。非常に小さな神であり、ガガイモの実の舟に乗って漂着した所で大国主と出会い、以後心を一つにして国を治めた。
最後は再び旅立って常世の国に至ったという。
スクナヒコナもまた漂着神の一柱のようだ。
スクナヒコナは「淡島明神」としても祀られることがある。
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2006年09月09日
友ヶ島年代記3 神功皇后
神話時代から長い年月が流れ、ようやく歴史年代に入りかけた頃のこと、古代日本に一人の強烈なヒロインが現れた。第十四代・仲哀天皇の皇后、神功(ジングウ)皇后である。
強力な巫女であった神功皇后は、神懸りを繰り返してアマテラスをはじめとする神意を伝えた。自ら軍を率いて「三韓征伐」を企て、実際に侵攻したとも伝えられる。行軍中に産気付くと、腹に石を巻きつけて無理矢理出産を遅らせ、筑紫国に戻ってから子を産んだ。このときの子が後の応神天皇である。
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強力な巫女であった神功皇后は、神懸りを繰り返してアマテラスをはじめとする神意を伝えた。自ら軍を率いて「三韓征伐」を企て、実際に侵攻したとも伝えられる。行軍中に産気付くと、腹に石を巻きつけて無理矢理出産を遅らせ、筑紫国に戻ってから子を産んだ。このときの子が後の応神天皇である。
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2006年09月11日
友ヶ島年代記4 役行者小角
やがて神話の時代は去り、歴史年代に入る。
8世紀の葛城・大峰を舞台に、古代の怪しの世界を代表する、一人のスーパースターが登場する。役行者小角(えんのぎょうじゃおづぬ)その人である。
神仙道と密教の秘術を体得し、山野を駆け、水上を走り、空を舞い、鬼神を調伏し、日本全国の霊山にその名をとどめる超人・役小角。
ここ、友ヶ島にも役行者伝説が残っている。
昔、沖ノ島南西部の蛇ヶ池に一匹の大蛇が棲みつき、夜な夜な底知れぬ穴から這い出しては島中はおろか、加太や淡路島に出没、娘子や牛馬をさらって食らったり、船を壊したり、数々の悪事を重ねていた。
困り果てた人々は、名高い役行者に大蛇封じを嘆願した。哀れに思った役行者は快く引き受け、単身友ヶ島に渡った。
行者は最初に神島に上陸し、スクナヒコナの神に祈った。すると池の中から一振りの神剣を授かった。以後、この池は「剣池」と呼ばれることになる。
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8世紀の葛城・大峰を舞台に、古代の怪しの世界を代表する、一人のスーパースターが登場する。役行者小角(えんのぎょうじゃおづぬ)その人である。
神仙道と密教の秘術を体得し、山野を駆け、水上を走り、空を舞い、鬼神を調伏し、日本全国の霊山にその名をとどめる超人・役小角。
ここ、友ヶ島にも役行者伝説が残っている。
昔、沖ノ島南西部の蛇ヶ池に一匹の大蛇が棲みつき、夜な夜な底知れぬ穴から這い出しては島中はおろか、加太や淡路島に出没、娘子や牛馬をさらって食らったり、船を壊したり、数々の悪事を重ねていた。
困り果てた人々は、名高い役行者に大蛇封じを嘆願した。哀れに思った役行者は快く引き受け、単身友ヶ島に渡った。
行者は最初に神島に上陸し、スクナヒコナの神に祈った。すると池の中から一振りの神剣を授かった。以後、この池は「剣池」と呼ばれることになる。
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