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2013年01月17日

遍路・防災・アウトドア 1

 今年もこの日がやってきた。
 1月17日、阪神淡路大震災の日である。
 カテゴリ90年代で断続的に綴ってきたが、私は18年前の今日、震度7の激震地域で被災している。

 被災経験とともに、私はここ二十年近く、熊野を中心に遍路を重ねてきた。
 登山やアウトドアをきちんと学んだことはないのだが、遍路することでそれなりに野外泊やそのために必要な道具について経験を積んできた。

 そうした経験から言うと、アウトドアと遍路と防災に必要な装備は、それぞれ微妙に相違しながらも共通している部分が多い。
 この機会に、各種装備について私の知るところを綴っておきたいと思う。

 興味のある人は、防災グッズ購入時の参考にしてみてほしい。


 阪神大震災で被災して以降、私は一年間ほどは以下の装備を常に持ち歩いていた。
・小型にまとまる寝袋
・ポケットラジオ
・ペンライト
・百円ライター
・十徳ナイフ
・コンパス

 寝袋はさすがにかさばるのでだんだん持ち歩かなくなったが、それ以外の5点は、基本的にいつも普段使いのリュックやウエストポーチに入れっぱなしにしていた。

 今でもだいたい同じようなものを常に持ち歩いている。
・ラジオはイヤホンタイプでAMが受信できれば良いので、1000円以下のもので十分。
・ペンライトは今ならLED使用でかなり良いものが安くある。
・ライターは点火部分の長い着火ライタータイプ。ボディが透明でガス残量が見えるものが良い。
・ナイフ類は最近取締が厳しいので、持ち歩くには要注意。
・コンパスは街中でも必須。交通機関が使えなくなった時、方角が分からないと非常に困る。 
 
 その他にも、その日買った新聞やペットボトル飲料は、用が済んだあとも次のものを買うまで捨てずに持っていた。
 新聞紙はライターで何かに着火する時に使えるし、寒い時期なら着衣の下の腹部に巻き付ければかなり防寒効果がある。
 中身が入っていなくてもペットボトルがあれば、、水汲みに使える。

 寝袋以外は、全部バッグに入れてもそんなに荷物にならないので、一通り揃えておくのがお勧めである。
 寝袋に代わるものとして紹介しておきたいのが、以下の製品。


●サバイバルシート(防寒・保温シート)
 見た目は薄っぺらな「でかいアルミホイル」だが、意外に破れにくく、断熱効果が高い。
 これ一枚で完全に寝袋の代わりが務まるかというと、それは無理だが、いざという時このシートが一枚あるのとないのとでは全然違い、生死を分けるシーンも出てくるのではないかと思う。
 価格も安く、購入状態ではポケットティッシュ程度のサイズと重さ。
 一応「使い捨て」ということになっているが、一度使うとくしゃくしゃになってコンパクトにたためなくなるものの、数回は使用可能だと思う。
 防災だけでなく、アウトドア・登山でも必須アイテムになるだろう。
 最近は専門店だけでなく、ホームセンターやスーパーでも同種の製品が取り扱われているので、明日にでも何個か購入しておくことを強くお勧めします。


(こんな感じで、しばらく防災グッズを紹介していきます)

2013年01月18日

遍路・防災・アウトドア 2

 2011年の東日本大震災を機に、ホームセンターや家電量販店、スーパーなどでも、防災グッズのコーナーが設けられていることが多くなってきた。
 そこでよく見かけるのが「防災ラジオ」というもの。
 機能的しては、ラジオとライトに加えて、発電用のハンドルが付いており、ケータイの充電も可能というものだ。
 代表的なのは、以下の製品になるだろう。


●SONY 手回し充電FM/AMポータブルラジオ

 amazonでは現在4200円の値が付いているようだが、家電量販店では5000〜6000円くらいで見かけることが多い。
 多機能の上、十分に小さく、品質的にもこれを買えばまず間違いないのだろうけれども、貧乏人としては、

「ちょっと高くね?」

 と言うのが正直なところだ。

 同じような機能を持つ製品は、探せば1000円くらいからある。
 しかし、あくまで防災目的であるならば、安物を買っていざという時に使えないのでは意味がない。
 とくに充電用の手回しハンドルの部分はそれなりの強度が必要で、あまり安価な製品はこの箇所の造りが悪いものが多い。
 実用に耐える価格帯としては2000円〜3000円くらいのものが手頃だろう。
 個人的には、以下の二種がお勧めだ。


●「H.C.5way マルチラジオ オレンジブリック」(mont-bell)
 私はこちらの製品を購入した。
 同等の機能を持つ製品の中では少々サイズが大きめなのだが、ラジオ+ライトの体積、重量として考えるなら、とくに大き過ぎるということもない。
 さすがアウトドアメーカーの製品だけあって、実際に手にしてみると、充電ハンドルやボディがとにかく頑丈そうなのが良い。「防災用」を主な目的とするならば、この頑丈さは貴重だ。
 ラジオの感度は問題なく、スピーカーとイヤホンジャックがある。
 ライトはLED3灯で十分明るく、たとえば一人用テントで点ければ簡単な作業くらいはこなせるだろう。
 携帯充電機能は気休め程度で多くを期待してはいけないが、この点はどの製品を買っても似たり寄ったりだろう。そもそも災害時は携帯の接続自体が悪くなりやすい。
 時計やアラーム機能もあるが、主電源を切るたびに時刻がリセットされてしまうので、これはあまり役に立たないかもしれない。
 小さいがソーラー機能も付いているので、普段は窓際にでも置いておけば勝手に充電してくれるが、これはあくまで補助的なもの。
 乾電池は使えないので、本体電源のメインはUSB充電になるだろう。


●「AM/FM/SW手回し発電ラジオライトRAD-V963N」(オーム電機)
 とにかく多機能。
 ラジオはAM、FM、短波が聴け、スピーカーとイヤホンジャックがある。
 電源はUSB、手まわし、ソーラーに加え、乾電池も使える。
 ライトとサイレン機能も付いており、小型でコンパクトだ。
 ただ、コンパクトな分、充電ハンドルはちょっと華奢な感じがする。
 防災用としてはやや強度不足かもしれないが、とにかくコストパフォーマンスの高い製品だと思う。


 この手の「防災ラジオ」は有名無名含めて多くのメーカーから出ているので、一家に一台購入しておけば、防災にもアウトドアにも使えるのでお勧めだ。
 記事中で紹介した2種以外にも、もっと安くてコンパクトな製品も色々あるが、できれば店頭で充電ハンドルの強度や各種機能をよく確認してから購入した方が良い。
 ラジオ機能はFMだけの製品もけっこうあるが、防災として考えるならむしろFMは必要なく、AM受信の方が必須だ。
 あと、見逃されやすいのがイヤホンが使用可能かどうかだ。
 実際に被災してしまった場合、避難所など人が密集している場所では、イヤホンでラジオが聴けないと、周囲にかなり気を使うことになる。
 購入の際は要注意!

2013年01月19日

遍路・防災・アウトドア 3

 私が熊野を中心とした地域で「遍路」を始めたのは90年代頃だった。
 川原やキャンプ場、海辺などで野外泊をする際に、よく使用していた調理器具が以下のものだ。


●LOGOS ツーリングクッカーセット

 大小の鍋、コップ、フライパンと皿として利用できる蓋が二種セットの、1〜2人用ステンレスクッカー。
 湯沸しはもちろん、丸形飯盒として炊飯もできる。
 私は遍路やアウトドア、たまに家の調理で、もう二十年以上使い込んでいる。
 かなり焦げ付きなどで年季が入ったが、いまだ現役。
 値段の割に、使える道具だと思う。
 ステンレス製なので、1人用としては若干大きめ&重め。
 軽さと携帯性を優先させる場合は、以下のものを使っている。


●EPI アルミ3点食器セット

 大きい方のカップで、ちょうどカップ麺に使用できるほどの湯が沸かせる。
 お粥などもちょうど一人分になる。
 単独で、湯沸しなどの簡単な調理だけなら、十分なセットだ。
 アルミ製で熱伝導が良いため、以下のミニコンロの使用にも適している。


●LOGOS ポケットタブレットコンロセット

 同様のミニコンロではエスビット製のものが有名だが、この製品は「フタ」が付いているのでアルミ容器の安定が良く、私はこちらの方が好みだ。
 固形燃料4個も付属しており、もちろん替え燃料も販売されている。
 固形燃料1個で、カップ麺のお湯がギリギリ沸かせるくらいなので、このミニコンロで何か調理しようとするのはあまり現実的とは言えない。
 ただ、極めて携帯性に優れているので、アウトドアの際にリュックに入れておいて損はない。
 疲れきった時に、一杯のコーヒーやカップスープ等が手軽に楽しめるのは、災害時においても心の支えになるだろう。


 本格的な調理を行う場合には、やはり焚き火やガスバーナーが必要になる。
 火の元については、次回の記事で紹介する。

2013年01月20日

遍路・防災・アウトドア 4

 これまで私のアウトドアは、ほとんどが単独行の遍路だった。
 熊野の遍路は基本的には人里近い経路が多い。
 けっこうハードな登山もするが、たいていは朝からスタートして午後には下山が終わるので、山中泊になることはあまりない。
 川原や海辺、キャンプ場などで宿泊することが多かったので、これまでガスバーナーの類はあまり必要なかった。
 そのような所では焚き火をするための木材や場所には事欠かず、金網一枚だけ用意して入れば、前回記事で紹介したような調理器具を快適に使用することができた。
 調理例

 私がこれまでやってきた「遍路」の場合はそれで十分だったのだが、ここ最近、各地のキャンプ場やバーベキュー場は「直火禁止」が多くなってきているように感じる。
 とにかく徒歩で移動することを目的とする「遍路」や「登山」では余計な荷物を増やすことは考えられないが、キャンプやバーベキュー自体を楽しむならば、バーベキューコンロの類はあった方がいい。
 2〜3人ぐらいまでの小人数ならば、以下に紹介するコンロが価格も安く、コンパクトにまとまって便利だ。


●サカイトレーディング CAR BABY ミニバーベキューコンロ シルバー

 正直、値段なりに造りは安っぽい。
 似た構造のコンロでもう少ししっかりした製品もあるが、ちょっと値が張る。
 多少やわなところもあるが、実際に使ってみたところ、まあ実用に耐えると判断したので、こちらをお勧めしておく。

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 組み立てたところ。
 脚部がややふわふわと不安定だったので、百均の焼きそばプレートで固定。
 もともと木炭の灰が下部からこぼれる構造なので、直火禁止の場所ではなんらかの下敷きは必要だ。

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 木炭を入れ、新聞紙で着火したところ。
 ピラミッドを逆さにした形なので、木炭は思ったより少量でいっぱいになる。
 ローソクが一本入っているのは着火剤がわりだ。

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 前回記事で紹介したステンレスクッカーで炊飯中。
 金網面積にはまだ余裕があるので、湯沸かしや、何かを並行して焼くことも可能。

 使ってみた感想としては、直火よりは火つきが良く、調理に要する木炭も少量で済む。
 重さは約1.4キロ。登山や遍路で持ち歩くには重いが、薄くたためるので徒歩での移動が少ないキャンプやバーベキューには便利だろう。
 冬季ならば焚き火台に使って暖もとれそうだ。

 用途としては七輪とほぼ共通。
 求めやすい価格の防災グッズとしても、十分使えるレベルだと思う。

 ガスバーナーについては次回の記事で紹介。

2013年01月21日

遍路・防災・アウトドア 5

 防災目的で言えば、カセットガスコンロは必須アイテムの一つだろう。
 木材を燃やすより場所を選ばず、普通に使う限りは火災のリスクが少ない。
 そもそも各家庭に一台くらいはあるだろうし、カセットボンベはコンビニや百均でも売っているので、非常に入手しやすい。
 三本セットくらいのボンベを常備しておけば、災害時でも十分役に立つ。
 様々な製品が発売されているが、なるべくスリムであるか、小型・軽量のものを選んでおくと、持ち運びやすいのでより防災向きだ。


●イワタニ カセットフー 達人スリム
●イワタニ カセットフー エコジュニア
●イワタニ カセットガス オレンジ 3本組

 アウトドアでも、徒歩の移動を主目的とする登山や遍路でなければ、小型軽量のカセットコンロは十分使える。
 登山や遍路の場合はさすがにもう一段階コンパクトでなければならない。
 私の場合は防災目的とともに、できれば遍路で使用可能なものが欲しいので、やはり登山用のガスバーナーを試してみたくなる。
 登山用のガスバーナーも様々な種類があるが、私の好みから言えば、あまりに小型のものはかえって使い道がないと感じる。
 よく使用するツーリングクッカーで無理なく調理するためには、五徳部分にそれなりの大きさがないと安定しない。
 求め安い価格帯で探してみると、以下の二点が目にとまった。
 探せばもっと安い製品もあるが、火の元なので信頼できるレベルの品質でなければならない。


●CAPTAIN STAG オーリック小型ガスバーナーコンロ M-7900
●イワタニ・ジュニアバーナー

 登山用のカートリッジを使用したバーナーと、カセットコンロ用のボンベを使用したバーナーの二種である。
 どちらにするかかなり迷った。
 CAPTAIN STAGの製品は、そこそこコンパクトにまとまり、ガスカートリッジもホームセンターであれば普通に入手できる。
 イワタニのジュニアバーナーはややかさばり、寒期の高山など本格的な登山には不向きだけれども、なんといってもボンベが安く、日本中どこでも入手できる。
 迷った結果、ボンベの入手しやすさとランニングコストから判断して、イワタニのジュニアバーナーを購入した。

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 専用のケースと、通常のカセットボンベの半分位のサイズのボンベが付属している。もちろん通常サイズのものも使用可能。
 組み立てると、以下のような状態になる。

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 ボンベを横に寝かせる形になるので重心が安定しやすく、五徳部分にも十分な長さがある。
 アルミ製のクッカーをのせ、パックのご飯から一人分のお粥を作ってみる。

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 五徳部分にはまだかなり余裕がある。
 ただ、あくまで「ガスバーナー」であって「コンロ」ではないので、火はあまり広くは出ない。
 一点集中だが火力は十分なので、五分ほど加熱するとお粥状になってくる。
 火力調整も可能。

 正月明けに買っていた、フリーズドライの「七草茶漬け」をふりかけて完成。

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 本格的な登山用バーナーほどではないが、十分に軽量コンパクトで、ボンベも極めて入手しやすい。
 価格は安いが、国内ガス製品メーカーなので、品質はまったく問題なし。
 防災でもアウトドアでも兼用できるので、かなりお勧めである。