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2015年08月25日

海老歩行

 夢を見た。


 おれは海へと続く下り坂の上に立っている。
 非常に良い傾斜だ。
 こんな坂では「海老歩行」ができる。
 両手を頭の後ろで組み、両足を肩幅より少し広げてつま先立ちになる。
 下腹部を前に突き出して体重を前方へかけると、そのままの姿勢でずずずずずと坂を下ることができる。
 体力を消耗しない、まことに合理的な歩法である。
 前に体重をかけすぎるとつんのめり、かけ方が甘いと前進しない、高度なバランス感覚の要求される歩法でもある。
 前に乗り出す勇気と、暴走しない自制の、調和のとれた精神的ハーモニーが肝要だ。

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 おれは作法に従ってエレガントに坂を下りていく。
 後ろでは友人がおれの真似を試みているが、素人に「海老歩行」は無理である。
 友人は何度か失敗して諦め、羨ましげにおれを見ている。
 二十分ほど歩行すると海岸に着く。
 おれは通常歩行に戻ってぶらぶら散歩する。
 一年に一、二度は立ち寄る喫茶店がある。
 生活雑貨店も兼ねているので、色気のない物もたくさん置いてある。
 年々、雑貨のスペースは拡大し、喫茶スペースは隅に追いやられてきている。
 エレガントなおれの居場所が、また一つ消えつつあるのだ。
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2015年08月26日

糞坊主

 夢を見た。


 法事である。
 会場は五重塔のような寺だが、実質は三階建てで、廃屋のように古びている。

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 梯子のようなボロい階段をのぼってニ階の板の間に座る。
 建付けが傾いてしまっており、正座していると地上にずり落ちそうになり、危険である。
 おれは坊主の座っている一段高い畳のヘリを握って耐える。
 他の親類もみんなおっかなびっくり座っている。
 三人の坊主は澄ました顔で読経を続けており、その無情さにおれは腹を立てる。
 さすがに見かねたのか、坊主の一人が手元の仕掛けを何かいじると、ギギ〜と一瞬だけ板の間が平衡を取り戻す。
 しかしその後すぐに前よりももっと傾き、参列者の悲鳴が上がる。

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 バカバカしくなって梯子を降りると、みんなも続々と降りてきた。
 坊主が「下で待機してくれていてもいい」と言ったのだそうだ。
 当たり前である。
 塔を見上げると、座布団や布団がバラバラと降ってくる。
 雪が降っており、寒いのでこれを各自防寒に使えということらしい。
 とことん無礼な坊主どもだ。
 外は大雪になってしまった。
 手持無沙汰のおれは、雪を手にすくいながら、どこからか聞こえてくるラジオニュースを聴いている。
 日本全国大雪で、交通機関は全てストップしているらしい。
 今日は一日中この腐った寺にいなければならず、暗澹とした気分になる。
posted by 九郎 at 22:58| Comment(0) | TrackBack(0) | | 更新情報をチェックする

2015年08月27日

メイクアップ

 夢を見た。


 風呂屋の脱衣場のような所。
 みんなそれぞれに服を着替え、鏡を覗き込みながら顔に様々なメイクを施している。
 戦闘用の化粧だとわかる。
 銭湯だけに。

 僕も鏡を覗き込み、自分の顔を自分自身の儀礼に則って塗り分ける。
 気分が高揚し、戦意が沸き立ってくる。

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 風呂屋の番台では一人一本ずつ傘が配られ、外へ送り出される。
 僕たち戦士は傘を持って駅のプラットホームに立つ。
 傘を開き、前方に構え、線路に飛び降りると、戦士たちはそのまま宙に浮いて次々に発進していく。
 僕も思いきって飛び降り、出陣する。

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posted by 九郎 at 21:06| Comment(0) | TrackBack(0) | | 更新情報をチェックする

2015年08月28日

ガム

 夢を見た。


 噛んでいたガムがどんどん膨れ上がり、口の中がいっぱいになってしまう。
 いそいでトイレにいく。
 大便器に巨大な塊を吐きだすが、口の中にはまだたくさん残っている。
 ネトネトへばりついて、気味が悪い。
 手で引っ張り出すが、いくら取っても切りがない。
 焦る。
 掃除のおばさんが入ってくる。
 大便器の囲いが低いので、口からガムを引っ張り出す様子を見られてしまいそうだ。
 隠れながら、必死でガムを取り続ける。

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2015年08月29日

醜い幼児

 夢を見た。

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 自給自足を営む山奥の小さな集落。
 小川に囲まれ、村はずれには異様な大木が立っている。
 その大木の根元のウロに、醜い幼児が住んでいる。

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 醜い幼児はウロの中をグロテスクに飾り立て、家にしている。
 その家は村中の家と一本ずつ電話で繋がっている。
 村の家同士は繋がっておらず、醜い幼児だけが村人みんなの秘密の話し相手になっている。
 僕が訪ねると、醜い幼児は色々村人の秘密や悪口を聞かせてくれる。
 ちらちら反応をうかがいながら、「あんただけにな」と呟く。
 僕はこいつが誰にでも同じようなことを言っていると知っているが、表面上は騙されたふりをしている。
 醜い幼児が喜ぶように、適当に村人の悪口なんかを話してやる。
 きっと言いふらしているんだろうなと思いながらも、そんなスリルを楽しんでいる。

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 今日、村を囲む小川で、金色に輝くナマズをみつけた。
 僕はウキウキしながら、醜い幼児の家へと急ぐ。
 あいつに話せば、きっと喜んでくれるだろう。
posted by 九郎 at 18:40| Comment(2) | TrackBack(0) | | 更新情報をチェックする