2016年02月06日

象圧

 夢を見た。

 見晴らしの良い川沿いの坂道。
 明るい昼下がり、遠方には海も見える。
 少し離れた所で、突然事件が起こる。
 牛ほどの大きさの象の子供が、川沿いの銭湯に乱入したのだ。
 銭湯の中からはけたたましい悲鳴が聞こえてくる。
 これは大変だと駆け付ける。
 店内からは暖簾をひるがえしながらバラバラと人が逃げ出してくる。
 どうなることかと見ていると、幼稚園児の集団がどこからともなく現れ、キャーキャー叫びながら雪崩のように銭湯に駆け込んでいった。
 しばらくすると中の騒ぎが収まり、園児の集団に神輿のように担がれて、子象が運び出されてきた。
 子象は担がれるままに神妙にしている。
 同じ子供として、園児の集団には心を許しているのかもしれない。
 一安心しながらも、園児などにこの非常事態を任せなければならないことに不安も感じる。
 幼稚園児などそんなに信頼できるわけがなく、自分はそのことをよく知っているのだ。
 園児と子象の一団が、何か訳のわからぬことをぐちゃぐちゃしゃべりながら、こちらに接近してくる。
 避けようとするが、避けた方へ避けた方へと回り込んでくる。
 わざとか。
 そのうち焦ってつまずいてしまった。
 まずいと思う間もなく、園児の集団に踏みつけられてしまう。
 園児たちは驚きとも喜びともつかぬ歓声を上げながら、子象を放り投げて走り去る。
 むぎゅうと象の尻の下敷きになる。
 物凄い象圧だ。
 子供とは言え、さすが象だ。
 苦しい。
 これだから園児は信用できない。

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2016年02月07日

小道

 夢を見た。

 コミチは友人から譲り受けたハエだ。
 ハエと言っても、単なるハエではない。
 ピンク色で人間の姿をした、一種の奇形蝿で、ちょっと見た目は妖精のような感じもする。
 赤ん坊くらいにはコミュニケーションが取れるが、所詮ハエなので見た目ほどには知能は高くない。
 その日私は、友人が小道を発見したという山中に、小道本人を連れていった。
 故郷の匂いを感じたのか、小道はなんとなくそわそわと落ち着かない。
 山の奥深く分け入り、疲れたので一休みする。
 軽く伸びなどをしていると、小道の姿が見えなくなった。
 探し回るが、どこにもいない。
 誤って踏み潰してしまったのかとも思ったが、そんな様子もない。
 小道、小道と名を呼びながら山中をさまようが、二度と見つからなかった。

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2016年02月08日

ののみち

 夢を見た。

 図工の時間である。
 若い女の先生の指導で、割り箸と紙の飛行機を作る。
 手早く出来たので相棒と一緒に運動場で飛ばす。
 一番乗りなので二人以外誰もいない。
 意外に飛ぶので調子に乗って何度も飛ばしていると、紙の部分がボロボロになってしまった。
 紙では弱いのでプラスチックで作り直すことにする。
 これもすぐに出来たのだが、若い女の先生には良い顔をされなかった。
 今回の授業はあくまで紙飛行機の工作であり、それ以外は和を乱す余計な行動だったようだ。
 少し気まずい思いで、再び相棒と運動場に出る。
 他に完成した者がいないのか、まだ二人だけである。
 紙より少し重くなったが、プラスチック飛行機もよく飛んでくれた。
 今度は丈夫なので何度飛ばしても飛び味が落ちない。
 凝って作った車輪部分が折れてしまったが、ここは飛行性能と直接関係がない。
 しばらく飛ばしていると、ばらばらと全校生徒が運動場に繰り出してきた。
 何か行事が始まるようだが、そんな話は全く聞いておらず、戸惑う。
 生徒会長の指示で、生徒たちがみんなで輪になる。
 真ん中の生徒会長が「のぉのぉみぃちぃ」と声を張り上げながら、大袈裟な身振りで大股に、一音一歩で歩く。
 輪になった全校生徒もそれに従い、それぞれに身振りをつけながら歩く。
 会長が立ち止まるとみんなもピタッと停止し、身動き一つしない。
 会長はしばらく辺りをうかがうと、再び「のぉのぉみぃちぃ」とやる。
 生徒たちはみんなそれに従い、会長が止まると全員停止する。

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 どうやら「ののみち」という遊びであるらしいことは理解できたのだが、そんな遊びは聞いたことがなく、ルールもよくわからない。
 ところが一緒に飛行機を飛ばしていた相棒にはわかるらしく、みんなの輪に入って浮かれている。
 たった一人取り残され、飛行機を持ったまま、運動場の隅で呆然と立ち尽くす。
 その間にも「ののみち」は進行し、生徒会長は「のぉのぉみぃちぃ」とやりながらじわじわにじり寄ってくる。
 狙いをつけられたらしいのだが、意図が全くわからない。
 どうやら不利な状況になりつつあるようだが、逃げ出すのも癪なので平静を装ってそのまま突っ立っている。
 満面の笑みを浮かべた会長が「のぉのぉみぃちぃ」とやりながらタッチしてくる。
 全校生徒がわぁと歓声を上げる。
 非常に不愉快である。
 居直って「こんな遊びは知らない。おれは仲間に入っていない」と叫ぶ。
 しかし会長は知らぬ顔をしている。
 タッチされた者はこのような反応をする決まりになっているようで、偶然それを踏襲してしまったのだ。
 遊びに加わる気がないことを宣言したつもりが、逆効果になってしまった。
 非常に不愉快である。
 会長はくるりと後ろを向き、全校生徒がザザザザとそれに倣う。
 今度はこちらが「のぉのぉみぃちぃ」という身振りで追わなければならないらしい。
 そんな馬鹿な。
 忍耐の限界を越えたので、持っていた飛行機を会長の顔面に投げつける。
 飛行機はバラバラになり、会長はその場に昏倒する。
 辺りは騒然となる。
 孤立無援になってしまったが、「かかってこい」という気分で不貞腐れて突っ立っている。
 文句あるか。
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2016年02月09日

未来楽器

 夢を見た。

 高校時代の友人Tと外出した帰り。
 地下鉄の駅へと発車時刻を気にしながら走っている。
 券売機の周りに知り合いが何人か座っている。
 Tとともに鞄をおろし、その輪に入る。
 券売機の横には薄汚れたショーケースがあって、中にはいかにも年代物のギターなど、弦楽器がたくさん並べてある。
 もし安くていいものがあれば買おうかと覗きこむが、ガラスの汚れで値札が読みとれない。
 見る角度を変えてみて、ようやく二つ三つ読みとれる。
 大型の古くて渋いギターが五百八十円。
 無茶苦茶な値段である。
 何か理由があるのだろうか、事故車みたいなものか、と考えていると、その横には三百六十円の真っ黒なギターが掛けてあった。
 こちらも大型だったが、見るからにプラスチック製であり、形も「未来に流行る楽器」を絵に描いたようで、胡散臭いことこの上ない。

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 構えたときの下の位置には機関銃の持ち手のようなものが付いており、普段は収納可になっている。
 これでは三百六十円でも仕方がないが、恥ずかしながらちょっとだけ欲しくなった。
 みんなに気付かれないように、そっと店に入る。
 鞄がそのままだが、Tがなんとかしてくれるだろう。
 意外に若い店員が奥の方に座っている。
 中は思ったより広く、弦楽器ばかりが所狭しと並べられている。
 大きいのから小さいの、ギターからマンドリン、名前もわからないような民族楽器まで色々あって目移りする。
 もう「未来の楽器」などどうでもよくなった。
 胴の丸い、弦が十本以上張ってあるのを見つけて、「これはどうやって弾くんですか」と若い店員に尋ねると、器用に弾いて見せてくれた。
 十数本の弦のあちこちを三四本ずつ弾くと、コード奏になるらしい。
 値段は七千円。
 少々値が張るが、もちろん楽器としてはかなり安い。
 試しに弾かせてもらうと、いきなり弦が切れてしまう。
 店員は「弦が細いからね」と苦笑したが、とくにそれ以上は何も言われなかった。
 隣にあった三角形の胴の小型四弦楽器は、なんとなくウクレレのようにいじってみるとけっこう弾けた。
 値段も三千円なので、これを買うことに決める。

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 券売機にたむろしていた知り合いたちが、どやどやと店内に入ってくる。
 バンドをやっている奴がいるので、楽器を物色しに来たのだろう。
 Tは先に帰ったそうだ。
 置いてきた鞄はどうなったのだろう。
 みんなに例の「未来楽器」のことを教えてやろうとショーケースを振り返ると、もうすでに売れてしまっていた。
 誰だ。
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2016年02月10日

発車時刻

 夢を見た。

 夜中に部屋の掃除をしている。
 入口ドアの横に、今まで使っていなかった押入れぐらいのスペースがあるのを発見した。
 この部屋に住んでもう長いのに、こんなスペースがあったとは知らなかった。
 夜も遅いので隣に気を使いながら片づける。
 明け方近くになってようやくきれいになった。
 雨が降ってきたので洗濯物を取り込み、ひと眠りする。
 本屋の夢を見る。
 付き合っている女の子と、新しい本屋で立ち読みしている。
 雰囲気、品揃えともに中々だ。
 場違いなおっちゃんが入ってきて、しばらくその辺りをうろついてから、「煙草を吸わないと落ち着かない。どこかで吸えないか」と店員に聞く。
 頭の薄い店員が「それなら倉庫がいい」と、若い女の店員に案内させようとする。
 ドアをノックする音で目が覚める。
 付き合っている女の子が来ている。
 夜半に来る約束をしていたのに、僕が忘れてしまっていたらしい。
 返事をすると「なんだ居るじゃないか」と、表に待たせてある友人たちを呼びに行く。
 そうか、みんなで来る約束だったのか。
 片付けておいてよかった。
 ドアの鍵を開けようと入口まで行くと、何か部屋の様子がいつもと違っている。
 白い壁のはずが、茶色の土壁のようになっている。
 部屋も二階のはずが一階になっている。
 何が起こっているのかと、ドキドキする。
 入ってきた友人たちに、部屋の様子がおかしい、前からこうだったかと聞くと、こんな感じだった、何がおかしいのかと答える。
 答える友人たちの様子がすこし記憶と違う気がして、ぞっとする。
 女の子は僕の知っているそのままの様子だったので、どう思うかと聞くと黙っている。
 きっとおかしいと思うのを隠しているのだ。
 素知らぬ顔で、取り込んだばかりの洗濯物を畳んだりしている。
 おかしい。
 こんなはずはない。
 友人の一人は「おまえがどっかおかしくなったんじゃないか」と笑う。
 腹が立ったのでチョークスリーパーを掛ける。
 ふと窓の外を見ると、一階なので通行人の姿が見える。
 もう朝になっている。
 通勤通学の時間帯で、人通りが激しい。
 何故か、高校時代の知り合いの姿をたくさん見かけ、ああ懐かしいなと思う。
 僕の様子に不審を抱いたのか、友人たちは女の子とともに「ちょっと外で話そう」と、連れだって出ていく。
 時刻は午前九時三十分ちょっと前。
 友人たちと女の子は、何かしゃべりながら窓の外の通勤通学路の、その先に広がる草原を進んでいく。
 僕は一人、路に立ってそれを見送っている。

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 おかしい、こんなはずではない。
 時刻は九時三十分になった。
 ああ、発車時刻だ。
 不意にそう気付いた。
 急がなければ。
 急いで部屋に戻らないと、元に戻れなくなってしまう。
 草原を進む友人たちに、別れとお礼の言葉を叫ぶ。
 多分もう会うことは無いのだ。
 お世話になりました。
 そうだ。
 女の子はどうなるのだろう?
 哀しくなって、女の子の名を呼びながら、「必ずまたここに来るから」と叫ぶが、多分それは無理だとわかっている。
 女の子が駆け寄ってくるが、押しとどめて向こうに帰す。
 下手をすると、お互い戻れなくなってしまう。
 女の子はうなずいて「お兄ちゃん、元気で」と言う。
 ああ、そうだったのか。
 疑問が晴れる。
 急いで階段を上る。
 部屋が二階になっている。
 たすかった、元の部屋だ。
 隣室の友人がちょうど返ってきたので、顛末を話す。
 怖かったぞ、と言うと、うん、怖いなあ、そう言うのが一番怖い、と答える。
 ほっと一息つきながら、自室のドアを見ると、おかしな張り紙がある。
 何か意味のわからないことが、紙いっぱいにごちゃごちゃと書かれている。
 根気よく読むと、どうやら家賃をためているので、毎日廊下掃除をしろというような意味のことが書かれているらしい。
 日付は九月十八日になっている。
 今はもう十一月のはずだが、こんな張り紙には今初めて気がついた。
 不審に思いながら、周りの様子をよくよくうかがってみると、また少し違った情景になっている。
 ブルッと身震いする。

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