2016年12月22日

「写経」の功徳

 よく「写経」的な行為をやっている。
 神仏与太話ブログでこのように書くと、文字通り般若心経等の経典を筆写しているかのように受け取られそうだが、私の場合は少し事情が違う。
 物語の絵解きをやるための準備、鍛錬として、各種の文章や図像を筆写しているのだ。
 このブログで絵解きをやってきた物語の多くも、最初は原典の筆写から始めている。
 たとえば、以下のようなもの。

 極楽往生源大夫
 どろのうみ

 さすがに毛筆や半紙、巻紙までは使わないが、ノートにひとまず一文字一文字丹念に書き写す。
 原典の分量にもよるが、説話程度の長さであれば、最初から終りまで全て筆写する。
 声に出して繰り返し読むこともする。
 あまりに原典が長い場合は音読を中心にして、部分的な筆写にとどめる場合もあるが、なるべく全部書くことにはこだわる。
 挿絵がある場合はそれも筆写する。
 内容や時代背景等で関連する図像を集め、それらもできる限り筆写する。
 とにかく手を動かし、声に出して物語を自分の身体に通してみる。
 自分の作品としての制作を始めるのは、それらの鍛錬を一通り終えたあとだ。
 実際に制作を始めてからは、あまり集めた資料を開く必要が無いほどに、心身に原典が蓄積されている状態が望ましい。
 
 このような鍛錬法は、かなり若い時、中高生の頃にはもう始めていたはずだ。
 当時著書を愛読していたムツゴロウ、畑正憲さんが、何かの本の中で文章表現の練習法として「好きな作家の作品を丸ごと全部筆写しなさい」という意味のことを勧めていた記憶があるので、たぶんその影響だと思う。
 以来、ムツゴロウさんの言葉通りではないけれども、文章でも絵でもとにかく大量の「筆写」から始めるのが私のスタイルになっている。
 その効果、功徳はかなりはっきりしていて、やっているのとやっていないのでは歴然と違う。
 作品制作が思うように進まない場合は「筆写パワー」が足りない場合が多く、遠回りに見えてももう一度書き写しに立ち返るのが良い。

 ところがこの鍛錬法、人に勧めてもまず実行してはもらえない(苦笑)
 たまに美術系の進路相談を受けることがあるのだが、本音では以下のように思っている。

「好きな表現者の作品をとにかく模写しまくれ! 百枚描けたら、そこから個別の技術指導が始められる!」

 私は自分の経験から「これ以上の近道はない」と本気で考えているのだが、このような本音を漏らそうものなら生徒はそそくさと退席し、二度と相談に来なくなるのが通例だ。
 もう少し表現をマイルドにしながら、手を変え品を変えて筆写的な要素を指導に盛り込んでいかなければ生徒はついてこない。

 昔は学習指導等でも、もっと「筆写」や「音読」が重視されていたと思うのだが、最近はそのような地道な指導法に黙って従う時代でもないのだろう。
 しかし、何度でも書くが、結局はそれが一番近道なのである。
 聞く耳を持ち、志を持つ児童生徒には、今後も伝えていきたい鍛錬法だ。
posted by 九郎 at 23:58| Comment(0) | TrackBack(0) | 妄想絵画論 | 更新情報をチェックする

2017年08月02日

ラクガキ帳とメモ帳についての覚書

 絵や文章を日常的にかくので、ラクガキ帳とメモ帳は必携だ。
 B5ノートに絵も文章もごちゃまぜにかいていた。
 複数の仕事を抱えるようになってからは、スケジュール管理用の手帳をそうしたラクガキ帳と兼用にしていて、沖縄手帳を使っていた時期もあるのだが、ここ数年は用途別に使い分けるようになった。
 色々書き込めるサイズのスケジュール手帳は、けっこう重くかさばる。
 腰痛対策で日常使いのリュックを小型のものに代えた時、スケジュール管理は手のひらサイズの手帳にし、ラクガキ、メモもそれぞれ別にしたのだ。

 絵も文章も、ラクガキやメモ段階で最も大切なのは「なぐりがきの快適さ」だ。
 以下に、私の思うそれぞれの快適さの条件を覚書にしておく。

 絵が中心のラクガキ帳は、裏写しなければ枚数は少なくて良いが、サイズは必要だ。
 このところよく使っているのは、100均で売っているA4サイズのスケッチブックか、ミスコピーを裏返しに二つ折りにしてホッチキスで綴じた冊子。
 どちらもまともな画材とは言えないのだが、そこが大切だ。
 ラクガキ帳は、なるべく安上がりで使いつぶせ、どう間違っても人に見せる「作品」にしない前提のものの方が良い。
 ある程度以上の品質の紙を前にすると、どうしても心に「かまえ」が出てしまう。
 ちゃんとした紙にはちゃんとした絵を描きたくなる。
 しかし、アイデアスケッチの段階では、失敗を恐れず自由に手を動かした方が良い。
 なるべくかまえず、のびのびと手を動かすためにも、紙質ははっきり「悪い」方が良いのだ。
 これは貧乏性というよりは、「素材はそれぞれに最適な場面で使いたい」という、絵描きの本能のようなものだ。
 けっこう高名な絵師やマンガ家、イラストレーターでも、アイデアスケッチ段階ではわざと裏紙を使うという人は多い。
 そう言えば、わが敬愛するイラスト魔神・生頼範義も、下絵にカレンダーの裏を使っていたっけ。
 もちろん「もったいない精神」もあるだろうが、「あえて裏紙」という部分も絶対あると思うのだ。

 なぐりがきから一段階精度を上げる際には、やっぱりスケッチブックの定番の紙質が心地よくなる。


●マルマン 図案シリーズ スケッチブック
●マルマン オリーブシリーズ スケッチブック
 お手頃価格で鉛筆や水彩に十分対応できる紙質。サイズも各種あり。

 鉛筆は使い慣れた三菱ハイユニ2Bがメイン。

 文章中心のメモ帳は、サイズはもっと小さくて良い。
 私の場合は簡単なスケッチも含めて考えるので、「無地の新書サイズ」くらいがほど良い。
 こちらは紙質には多少こだわりたい。
 なぐりがき、はしりがきの際のペン先の滑りが、執筆する際の意欲にけっこう影響するのだ。
 最近よく使っている廉価版でそこそこの書き味の万年筆がある。


●プラチナ萬年筆 万年筆プレピー ブラック

 そのペン先が心地よく滑り、裏写りしない紙質のものを探す。
 新書サイズで無地、紙質も相応となると、わりと選択肢は限られる。


●【ツバメ】KITERAオリジナル B6変形ノート(無地)
 紙質で言うとこの小型ノートがベストなのだが、私が使うには枚数が少ない。
 文案メモを取り続けると2〜3か月しかもたないので、もう少し厚みが欲しい。
●ホワイトヴィンテージノート(新書サイズ)【無地】 N27
 ということで、今はこちらをメインで使用。
 日常的に何か思いついたらすぐに書き留めたり、文案を練ったりし続けても1年以上もつ。
 厚みはあるが、新書サイズなのでかさばりすぎず、重すぎない。

 文章については、手書きを挟まず直接キーボードで入力していた時期もあったが、一回手書きをしてみるスタイルに回帰した。
 脳内の思考に同期させ、走り書き、なぐりがきを一旦形にする。
 とりあえず言葉の断片、フレーズ、素材を、ガサッと出してしまう。
 その後、キーボードで「編集」するのが最もストレスが少ないと感じる。

 絵でも文章でも、心的ハードルをいったん下げ、気持ちよく手を動かしてみる。
 精度を上げるのはその後にした方が、私の場合は結局は速いのだ。
posted by 九郎 at 22:32| Comment(0) | 妄想絵画論 | 更新情報をチェックする

2017年08月03日

スケッチ鉛筆覚書

 絵描きなので、鉛筆デッサン、鉛筆スケッチにはけっこう思い入れがある。

 デッサンと見取り稽古

 ここ数年、鉛筆を削って使っている。
 長らく削らなくてもいい「鉛筆芯ホルダー」を愛用していたが、思うところあって削る鉛筆に回帰した。
 貴重な制作時間を確保するため、色々便利な道具も試してみた。
 しかし、時間短縮で能率を上げたら絵の質が上がるかというと、そうでもないなと感じるようになった。
 書道で墨をする時間が大切であるように、鉛筆を好みの状態に削り出すという時間もまた大切なのだと、今さらのように気づいたのだ。

【ナイフ】
 鉛筆を削るなら切り出しナイフがベストだ。
 カッターナイフでも切れ味に問題はないが、刃が薄いので「しなる」分、鉛筆のような木材を削る時には不便を感じる。
 一昔二昔前は、鉛筆を削るなら「肥後の守」と言われていたものだが、最近はあまり売っていないし、たまに見かけてもけっこう高い。
 研ぐ技術がないとかえって危なかったりする。
 今お勧めなのは、OLFAのクラフトナイフのシリーズだ。


●オルファ クラフトナイフS
 切れ味、耐久性が申し分なく、文具店やホームセンターで安く手軽に入手できるのが大変素晴らしい。
 アウトドアの使用にも十分に耐えられるだろう。
 夏休みの工作などにもカッターナイフよりこちらをお勧めしたいが、昨今の刃物に対する(私に言わせれば過剰な)規制の風潮の中では難しいかもしれない。

 普通のカッターナイフを使う場合でも、いい加減な作りのものだと快適に削れず、ケガの元だ。
 その点、OLFA製品だったら間違いがない。


●カッターナイフ
 ステンレス刃のシンプルデザイン。
 こういう製品を手に取ってみると、さすが世界のオルファだなと認識を新たにする。
 極上のプロダクトデザインと切れ味を堪能できる一本だ。

 鉛筆を削るのは全ての工作の基本中の基本だ。
 子供の日常から刃物を取り上げ、工作と、ちょっとした怪我をする機会まで奪ったことが、他人の痛みに対する創造力の欠落につながっていると、個人的には考えている。

【鉛筆】
 手で鉛筆を削ると、木の削り心地も重要な要素になってくる。
 100均の鉛筆で使われているような正体不明の粗い木材だと、削る段階で創作意欲が減退してしまう。
 鉛筆画を志すなら、安価なものでも良いから、せめて名の通ったメーカー品を入手した方が良く、あとは「好み」としか言いようがない。
 とにかく描きはじめてみれば、技量の向上とともに自然と鉛筆の質にまで注意が向くようになるだろう。
 デッサン教室では、ステッドラーのルモグラフか、三菱ハイユニのどちらかを使う人が多いはずだ。


●ステッドラー ルモグラフ 12硬度セット
 6B、5B、4B、3B、2B、B、HB、F、H、2H、3H、4H


●三菱鉛筆ハイユニ アート22本セット
 10B、9B、8B、7B、6B、5B、4B、3B、2B、B、HB、F、H、2H、3H、4H、5H、6H、7H、8H、9H、10H

 これらの硬度が全部必須というわけではなく、自分の筆圧とか手法によって必要とする硬度や本数は違ってくる。
 私の場合、受験生の頃は三菱ハイユニ派だった。
 ルモグラフとハイユニでは同じ硬度表示でも硬さに違いがある。
 ハイユニの方が一段階ずつくらい柔らかめの印象があり、木の削り心地が好みだったのだ。
 ルモグラフの方が少しだけ高価で、近所で手に入りづらかったという理由もある。
 がっちりした鉛筆デッサンから離れ、都市部に居住するようになり、イラスト系の絵を描く機会が増えてからは、ルモグラフなどのステッドラー製品をよく使っていた。
 近年、手で鉛筆を削る意義を再発見してから、初心に帰る意味でハイユニを買いなおした。
 とりあえず濃い方から4B、2B、HB、2Hの4本。
 私は受験生の頃から、あまり鉛筆の種類は増やさずにタッチのバリエーションで描き分ける方だった。
 何年か鉛筆を削って使ってみた今の好みは、やっぱり相変わらずハイユニかルモグラフだった。
 切らさないように常備しているのは2Bと4Bで、その日の気分や用途によってルモグラフとハイユニ、濃さを使い分ける感じだ。
 一枚の絵の中ではあまり種類は使わず、ほとんど一本で完結させることが多い。

 スケッチの最初に、ガサッと面をとって構図を決めるのに便利なのが、以下のもの。

●スケッチ用平型鉛筆
 もう三十年ほど同じものを使っている。
 おそらく海外メーカーのものだが、そうした軸に印刷してあった情報は年月とともに摩りきれてしまって何一つ残っていない。
 平形の極太芯で、けっこう使っているのだが、なにしろ極太なので全然減らない(笑)
 今でも画材店でたまに似たものを見かけるが、たぶん私の生涯は今持っている一本で足りる。
 未確認だが、たぶん以下のものに近い。


●ホルベイン スケッチングペンシル2B

【芯ホルダー、シャープペン】
 大前提としては、軽さといい、描き味といい、スケッチにはやっぱり普通の鉛筆が最高だ。
 自分に合うよう削り出した鉛筆で、じっくり時間をかけてスケッチするのは何ものにも替えがたい贅沢な時間なのだが、中々そうも言っていられない人は多いだろう。
 私自身は最近あまり使わなくなったが、以前多用していた、削らなくてすむシャーペンや芯ホルダーも紹介しておこう。
 
●0.9ミリシャープペン。
 基本的に、絵を描くときにはシャープペンではなく鉛筆の方がいいのだが、0.9ミリぐらいの太い芯なら十分絵を描くのにも使える。
というか、普段の筆記用具としても、スタンダードな0.5ミリより0.7とか0.9ぐらいの方が、芯がポキポキ折れないのではるかに書きやすいと思う。
 芯がよく折れる太さが定番になっているのは、替え芯をたくさん売るためのシャーペン屋の陰謀ではないか、などとアホなことを考えてしまったりもする(笑)

●マークシート用シャープペン
 100均で購入したが、これが意外とスケッチに使える!
 マークシート記入用に、平形の太く濃い芯が入っているので、なかなか折れないし、描く方向によって太さの使い分けができ、カリグラフィのようなタッチをつけることもできる。


●ステッドラー 2ミリ芯ホルダー
 こちらはスケッチ用具としては定番中の定番。
 ほとんどがプラスチック素材なので、けっこう軽くて鉛筆に近い感覚で描ける。
 安いがけっこう頑丈で、私はもう二十年以上同じものを使っている。
 誰にでもお勧めできる一本だ。

 
●パイロット 芯ホルダー
 濃さのバリエーションが豊富。
 私は3B以上の濃い芯を、木炭のようにこすって広げて使っていた。


【消しゴム】
 最後に消しゴムについて。
 鉛筆画の際、練りゴムを使う人、流派も多いと思うが、私は昔からほとんど使わなかった。
 木炭の時は使ったが、鉛筆の時は普通のMONO消しゴムを使っていた。
 今は薄型のものが発売されていて、重宝している。

●MONO消しゴム スマート
 横向きに使うとちょうどノート一行分が消せる仕様なので、スケッチの時に広く消す時にも細かく鋭く消す時にも便利に使える。



 色々書いたが、鉛筆スケッチに興味がある人は、まずはハイユニかルモグラフの2Bあたりから。
 漫画原稿の下描きなどにもお勧めだ。
posted by 九郎 at 18:15| Comment(0) | 妄想絵画論 | 更新情報をチェックする

2017年08月04日

スケッチ用具覚書

【スケッチブック】
 アイデアスケッチ段階のラフなラクガキなら、あえて紙質を悪く、何かの裏紙に描く発想については、前々回の記事にした。
 ラフスケッチではなく、ある程度描き込んだ「作品」にする場合は、そこそこの紙質は必要になる。
 お手頃価格で鉛筆や水彩に十分対応できる定番スケッチブックが、以下のもの。
 サイズも各種そろっている。


●マルマン 図案シリーズ スケッチブック
 A3サイズ以下はこちらのシリーズ。
●マルマン オリーブシリーズ スケッチブック
 F6やF8、B3等の大きなサイズはこちらのシリーズ。

 とくに水彩用紙の場合、高級紙は慣れないとかえって扱いが難しいと感じることもあるだろう。
 まずは思い切って描ける値段帯のプレーンな紙で枚数をこなしてみるのがお勧めだ。
 子供に買い与える場合でも、この水準の紙質は欲しいところだ。
 百均スケッチブックだと、絵の具を使うとボロが出ることが多々あるので、絵を描く楽しさが損なわれたしまう。

【椅子付きリュック】
 屋外スケッチの時、楽に描くためには椅子が欲しくなる。
 数年前「椅子付きリュック」というものを試しに購入してみた。


●バックパックチェア OD013
 現在品切れ中のようだが、椅子付きリュックというくくりでamazonを探してみた中では飛び抜けて安く、2000円ほどだった。
 バックパック購入時の常識として、最低でも6000円クラスでないと耐久力に問題があるもの多いのだが、お試しで使い潰す覚悟で安物買いした。
 まずは椅子付きリュックというものを実際に使用してみて、サイズや機能、強度など、自分の好みをチェックしてみる。
 サイズと機能面ではけっこう気に入っている。
 本体重量は1.4キロということだが、それなりに荷物を入れても、背負って負担になるほどではない。
 何よりも、背中からおろして一動作で、どこでも邪魔にならない程度の椅子になってくれるのが良い。
 椅子の骨組みが背中に当たるかとも思ったのだが、ストラップの調節で意外と邪魔にならないようにできる。むしろ骨組みがあることでリュックと背中に隙間ができ、通気が確保されて快適だ。
 椅子はそれなりに高さがある。
 レジャー用の軽量な折りたたみ椅子は、腰痛持ちには低すぎるものが多いので、この高さはありがたい。
 屋外スケッチの時、地べたや低い椅子に長時間座ると腰がつらいのだが、これくらい高さがあるとかなり楽だ。
 これ以上の座り心地を求めるなら、椅子サイズがもう一回りふた回り大きく重くなるので、リュックではなくキャリータイプを選ばなければならないだろう。
 そうなると用途が全く違ってくるし、行動範囲も狭まる。 
 リュックはB4スケッチブックがぎりぎり入るか入らないかぐらいで、通常はA4サイズ対応ということになるだろう。
 宿泊や本格的な登山は無理だろうけれども、普段使いや日帰り屋外スケッチには必要十分。
 そして数年間、折にふれ使ってみたが、いまだ健在(笑)
 とりあえず、買ってすぐ壊れるような粗悪品ではなかった。

【色鉛筆】
 学生時代から劇団所属、環境イラストのバイト時代までは、60色セットの水彩色鉛筆をよく使っていた。
 今現在、入手し易く使いやすいのは、例えば以下のものになると思う。


●ステッドラー 水彩色鉛筆 カラトアクェレル60色

 注文仕事を請ける場合は色数が必要だが、自分で好きに描くなら60色は必要ないかもしれない。
 24色や36色セットから初め、好みの色を探っていくのがお勧め。

 子供に買い与えるなら水彩タイプでなくとも、スタンダードなトンボや三菱の色鉛筆がやっぱり良い。
 お手頃価格で品質も十分、近所で各色バラ売りまで手に入るだろうから、非常に使いやすい。
 24色以上のセットなら、大人の使用にも十分耐えると思う。
 水に溶かす必要がなく、何から選んだらよいかわからないなら、このあたりから手に取ってみるのがお勧め。


●トンボ鉛筆 色鉛筆 24色
●三菱鉛筆 色鉛筆 880 24色

 色鉛筆については、子供に買い与える場合でも、決して百均のものに手を出してはいけない。

【水彩絵の具】
 普段使いのスケッチ用ということであれば、私は今でもサクラクレパスのマット水彩を使っている。
 最近の小学生向けには、軟らかめに解いたサイズの大きなポリチューブタイプがスタンダードになっているが、昔懐かしの硬めの濃度のものも「ラミネートタイプ」として売られている。
 大人向けにはやっぱりこちらだ。


●サクラクレパス 絵の具 マット水彩 ラミネート 24色
 紫系など、混色では綺麗に出ない色もあるので、24色以上がお勧めだ。
 あらかじめ各色をパレットに出しておき、固形絵の具のように使えば、野外スケッチにも対応できる。

 水彩絵具も、百均のものは×。

 このように、私がお勧めするのは特別な画材ではなく、「お手頃価格で十分な品質」のプレーンなものになってくる。
posted by 九郎 at 22:05| Comment(0) | 妄想絵画論 | 更新情報をチェックする

2017年08月05日

アナログとデジタルについての覚書

 なんだかんだで、CGをはじめてからそろそろ15年近くなった。
 立ち上がりは遅いが一旦はじめるとのめり込む性分である。
 半端なことは気にくわないので、絵を描くのにPCを導入してからは、下描きから着色仕上げまで全てPC上でやる手法をメインにしてきた。
 デジタルで絵を描くことのメリットは数多い。
 思い付くままに挙げてみよう。

・アナログ画材と比べ、相対的にはコストが安い。
・画材の準備と片付けの手間がないので、作業の中断、再開が容易。
・修正、編集が容易。
・複製(ネットへのアップ、印刷向けの画質調整)が容易。
・作品はデータなので保管にスペースをとらない。

 ただ、メリットはそのままデメリットにも裏返りやすい。

・コストがかからず、作業の中断、再開、修正が容易なので、製作に緊張感が薄れやすい。
・CG向けの手法を採ると、誰でも似たような作風になりやすい。
・実体としての作品が残らず、データが飛ぶリスクは大きい。

 個人的には、デジタルは「編集」に向いていると思う。
 面として色を塗るのには向いているが、描線の精度はまだまだ低い。
 漫画家やイラストレーターでも、線画まではアナログでやる人は数多い。
 私もアイデアスケッチや線画については、やはりアナログに回帰しつつある。

 CGと並行して、今でもアナログで最後まで仕上げる絵も描くが、「せっかくアナログで描くなら」と思うことがいくつかある。

【せっかくアナログで描くなら】
・それなりに大きなサイズで描きたい。
・絵の具を塗り重ねた厚みのある表現がしたい。
・デジタルで描いた多くの作品の中から、「これはぜひアナログで追求したい」と立ち上がってきたテーマについて、手掛けたい。

 これはいずれ描きたいと願っている、大きなサイズのマンダラについても、もちろん適用される。
 マンダラ、何を観たいか描きたいか

 絵描きのハシクレで、写実デッサンがそこそこできて、CGにも手を出しているので、たまに中高生から相談を受ける。
 ま、近所の便利屋ですわ(笑)

 美術系受験の写実デッサンについては、以前まとめて記事にした。
 デッサンと見取り稽古

 中高生から美術系受験ではなく、漫画やイラストの技術的な相談を受けた場合、まずこう答える。
「鉛筆画とペン画は全く違うから、モノクロのペン画が上達したければ、下描き無しでペンで直接ラクガキする習慣をつけましょう」
 それができていれば次にこう答える。 
「好きで得意なキャラはいくらでも描けるだろうから、それを出発点にして、全年齢・性別の人物、小道具、背景など、自分の絵柄で描ける範囲をじわじわ広げ、できれば全宇宙のカバーを目指しましょう」
 絵が一通り描けるなら、さらにこう答える。
「漫画だけ読んで目新しいストーリーが作れるのは天才だけだから、漫画以外の文学、美術、音楽など、貪欲に吸収し、色んな体験も積み、自分なりのテーマを見つけましょう。大学進学もバイトも就職も、全部修行になります」

 加えて最近は、自分のPCを持っている中高生も多いので、CGについての相談を受けることもある。
 本音をぶっちゃけると、
「中高生風情がCGなど十年早いわ!! まず手描きを極めろ!!!」
 と一喝したくなるのだが、そこは時代の流れに迎合し、ひきつった微笑みを浮かべつつ、
「う〜ん、CGと言っても、基本はアナログ画材がPCに置き換わるだけだから、ある程度手描きができてからでないと、楽しくなくて続かないよ」
 などと、かなりマイルドな言葉に変換してしゃべる。
 手描き修行を疎かにしてCGを始めてしまうと、大したことのない元絵でもそれなりに雰囲気のある仕上がりに「編集」できてしまうので、それで絵が上手くなったと錯覚してしまうこともあるのだ。
 ただ、CGの設備投資は、アナログ画材に比べると安上がりなので、彩色をデジタルで行うのはアリだろう。
 また、若いうちからネットに作品をアップし、(叩かれることも含めて)刺激を受けるのは悪いことではない。

 漫画イラストで、線画がある程度描けて、編集や彩色をPCでやりたいという場合は、次のように勧める。
「ペンタブレットを買うなら、面積は狭くていいから、筆圧感知のしっかりしたものにした方がいい」
 具体的な銘柄まで書くと、まあワコムのIntuosシリーズの中から、予算と好みに応じて選ぶことになると思う。



 ペンタブレット(略してペンタブ)は、簡単に言えばペン型のマウスで、筆圧まで関知できるタブレット上にペン型で描画することによって、PCモニターの中で直接絵が描けるようにするためのツールだ。
 当然、タブレットの面積が広いほど価格が高くなるが、広くて高価だからと言って一概に「描きやすい」とは限らないところが要注意である。
 私の用途、好みで言えば、Sサイズでも十分、Mサイズより大きくなると、むしろ使いづらいと感じる。
 中高生ならまずはSサイズで良いと思う。

 せっかく小遣いをはたいて買ったなら、後は使い倒して慣れることだ。
 お勧めなのは、日常のPC操作の全てを、マウスの代わりにペンタブでやってしまうこと。
 モニター上のカーソルと、タブレット上のペンの動きが噛み合って、自然に操作できるようになれば、絵を描くのにも不自由はなくなる。
 若い者なら一週間ほど特訓すれば、すぐ慣れるだろう。

 まあ、いくら操作に慣れても、手描き以上の実力にはならんのですけどね。。。
 健闘を祈る!!!!
posted by 九郎 at 21:01| Comment(0) | 妄想絵画論 | 更新情報をチェックする