2007年05月21日

五帝五龍王5

【黄帝黄龍王】
 中央の宮で盤牛大王と第五の妻の間に生まれたのが黄帝黄龍王である。大王はこの息子に、四季の間の土用七十二日間を支配させた。黄帝黄龍王は堅牢大神と結ばれ、四十八人の王子を生み出した。

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 このカテゴリ「金烏玉兎」の参考文献、「安倍晴明占術大全」には、黄帝黄龍王について別種の物語も紹介されている。
 それによると、盤牛大王が東西南北の四龍王に続き、最後に生み出したのは天門玉女という待望の女子だった。天門玉女は黄帝黄龍王となり、堅牢大地神と結ばれて四十八人の王子を生み出した。しかし既に四季は四龍王の支配下にあり、黄帝黄龍王と四十八王子の治めるべき余地は無かった。
 そこで四十八王子は他の四龍王に戦いを挑み、激しい戦争が繰り広げられることになった。両陣営は互いに傷ついたため、話し合いによって各季節から十八日ずつを黄帝黄龍王に分け与えることになった。
 こうして四季の変わり目の「土用」合計七十二日が定まったのである。

 中央を支配する黄帝黄龍王が、実は女神であるという設定は、おそらくアマテラスの国・日本なればこそ成立した異説だろう。
 盤牛大王(盤古、万古など)の五人目の子供が特殊な生まれ方をしたために、他の四人の王子と争いが起こる構図は、金烏玉兎の創世神話2で紹介した「備中五行神楽」とも共通している。
 天地の空間の創造神・盤牛と五人の子供たち。その争いと和解により、時間の秩序である暦法の構図が完成することになるのは興味深い。
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2007年05月22日

太陽の烏

 ここまで、中世陰陽師の伝説の秘伝書「金烏玉兎」の、由来および創世神話について紹介してきた。
 紹介できたのは「金烏玉兎」のほんの一部分に過ぎない。より詳しい内容に触れたい人は、原典にあたってみてほしい。

 書名「金烏玉兎」のうち、「金烏」は太陽の中に住むと伝えられる三本足の烏を、「玉兎」は月に住むと伝えられる兎を指す。月の兎については、以前今昔物語の中の一エピソードを紹介した。「金烏」についても、諸説ある中から中国神話の一エピソードを紹介し、このカテゴリのひとまずの結びとする。

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【中国射日神話】
 むかし、太陽は十個存在していた。
 十個の太陽は東の海中、巨大な扶桑の樹に住んでいた。
 一番上の枝で休む一個の太陽が順に空に出て、この世を照らすサイクルを続けていたのだが、長い年月同じことを繰り返すうちに太陽たちはすっかり飽きてしまった。
 いたずらっ気を起こした太陽たちは、ある日を境に十個そろって空に上るようになった。地上は炎熱に晒され、大地は焦げ付き、川は干上がった。
 困り果てた人間たちは、弓の名手に頼んで太陽を射てもらった。
 放たれた矢は見事一個の太陽を射抜いた。地上には金色の羽が舞い、三本足の烏の死体が落下してきた。
 弓の名手が次々と矢を放つと、金色の三本足の烏の姿をした太陽は次々と射落とされてしまった。
 残りの太陽が一つになったとき、ようやく名手は弓を下ろした。
 
 こうして太陽はたった一つになったのである……
 
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2008年03月30日

晴明伝説「信太妻」1

「信太妻」

 今から千年以上前のこと、和泉の国阿倍野に、貧しいが知勇に優れた若者が住んでいた。
 ある日、若者が信仰していた信太の森の明神に御参りしていると、一匹の雌狐が傷つき追い立てられていた。
 哀れに思った若者はその雌狐を助けてやった。
 それからしばらくして、若者のもとへ美しい娘が訪ねてきた。すぐに二人は恋に落ち、夫婦になった。
 やがて二人の間には男の子が産まれ、親子三人は幸せに暮らしていた。
 ある日子守りに疲れた妻は、ついついうたた寝をしてしまった。するとどうしたことか、妻の姿はたちまち一匹の雌狐に変わってしまった。
 彼女は昔、若者が命を助けた「葛の葉」という名の狐だったのだ。
 正体を知られてしまった葛の葉は、そのまま一首の歌を残して去ってしまった。
恋しくばたずね来てみよ和泉なる
信太の森のうらみ葛の葉

 若者と葛の葉の息子はその後立派に成長し、異常な力を持つ大陰陽師になった。
 すなわち安倍晴明その人である。




 以上が一般に「信太妻」と呼ばれる晴明伝説の概容である。
 大阪府内にはいわゆる熊野古道沿いに、この伝説に関連する場所がある。阿倍野区の晴明神社と、和泉市の葛の葉稲荷神社だ。
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2008年03月31日

晴明伝説「信太妻」2

 安倍晴明の母親・葛の葉狐を祀る神社も、熊野古道のルート付近に鎮座している。
 大阪天王寺からJR阪和線に乗り北信太駅下車、しばらく歩くと街中に稲荷系の朱の鳥居が見えてくる。

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