まずは図書館で見つけた少々古い本から。
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●『ネアンデルタール人類のなぞ』奈良貴史(岩波ジュニア新書)
2003年刊行で既に二十年以上経っているが、人類史の現在の知見がおおよそ固まった後の本なので、一応現役で読めそう。
二十世紀半ば以前の説は、そもそも発掘された化石や遺物が限られており、そこに人種差別や優生思想も微妙に影響して見方を誤った節が感じられる。
たった一つの発掘から劇的に考え方が変わりうる分野だけに、筆者の解説の進め方はリスペクト出来る。
「旧人」ネアンデルタールは、ヨーロッパから古代オリエントあたりの範囲で寒冷地適応して暮らしていた。
あくまで「隣人」であって、現生人類の直接の祖先ではない。
後からアフリカからやってきた現生人類とは数万年単位で「共存」しており、共通の石器等から文化の交流もあったらしい。
発掘も行う研究者自身が書いた本で、文章は非常に堅実。「確実にわかっていること」「推定されること」「間違っていたと判明したこと」を切り分けつつ、人類の進化を研究史に沿って解説してある。
人類の進化を扱った書籍は他にも多数出ているが、今現在書店で入手しやすい新書としては、以下のものがある。

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●『人類進化の700万年』三井誠(講談社現代新書)
一般にイメージされる「人類進化」と、2000年代半ばの時点での研究の解離の部分が、わかりやすく解説されている。
私は子供の頃から古生物ファンで、地球誕生から人類の進化まで図鑑や書籍で楽しんできた。
古生代から中生代までについてはその後も断続的に情報収集してきたが、新生代や人類については80年代以来あまり情報に接してこなかったので、色々頭の中が更新される。
著者は生命科学、古生物学、環境問題担当の記者とのこと。私とほぼ同世代なので、子供の頃読んでいたであろう本が想像できる(笑)
絶滅人類、人類の進化というテーマは、この百年ほど人種差別や優生思想とも微妙に絡んできた。
私が情報を追っていた80年代の知見で、なんとなく「こうかな」と認識していたことの中にもまだまだ「偏見」が混入していたことを知った。
わかりやすい図が多数収録されており、読んでよかったと思った。
この本も既に20年前の刊だが、2021年に14刷なので、内容的にはスタンダードなのだろうけれども、念のために近年刊行の本も読んでみる。

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●『絶滅の人類史』更科功(NHK出版新書)
著者の専門は分子古生物学。
先の二冊とも内容的に重なるが、2018年刊行で情報が新しいこと、語り口が平易で短い解説を積み重ねていくスタイルが中高生にお勧め。
アフリカを旅立った現生人類が、他の人類とも交雑しながら世界中に広まっていく過程を、より詳細に追った新書としては以下の本がある。
世界史の内容の「前史」として読むには、これが一番良いかもしれない。

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●『人類の起源』篠田謙一(中公新書)
絶滅人類と現生人類は、どうしても「優劣」で比較してしまいがちだ。
「進化」とくに「人類史」というテーマは、雑に扱うとすぐに人種差別や優生思想に収斂してしまい、サブカルチャーの世界での扱われ方にはそうしたケースが多くみられる。
ここまでの四冊、いずれも絶滅人類と現生人類の差を安易に「優劣」で判断し、分断する見方を、かなり注意深く丹念に解除していく内容であったと読んだ。







