私が中高の頃の社会科は、地理をやった後に歴史、公民に進む順番だった。
あの頃の高校社会科では、歴史は「日本史」「世界史」にはじめから分けられ、近現代史は「タイムアップ」と言う感じであまり触れられなかった。
今の高校生は「歴史総合」で世界と日本の近代化の過程を横断的に学んでから、地理や歴史、公民分野の、それぞれより深めた内容に進む順番になっている。
相互に影響しあい、一続きになった今の世界情勢は「近代化」の産物であり、各国の社会の仕組みも全てそれがベースになっている。
そこをしっかり押さえた後、各分野の学習に進んでいく順序は、昔より断然合理的だ。
近代化というテーマは現代文でもよく出題される(鷗外や漱石はそのものずばり)し、こちらも頻出の東西文明比較なんかにも内容的に直結する。
文系科目の基礎になるのはもちろん、理系科目を学ぶ意義を知ることができるという点でも素晴らしい。
近年の流れの中ではとくに良い科目創設なのではないかと思う。
俄然興味が出てきて、高校で使っている教科書を開いてみると、オールカラーで図版が豊富、見ているだけで楽しいのだが、本文が少々物足りないと思った。
実際の授業で学びを深めるための「解説付き図録」という感じで編集されているようだ。
独習には向いていないようなので、初心者でも無理なくスタートが切れる入り口を探るうちに、前から気になっていた「NHK高校講座」のことを思い出した。
良い機会なので無料公開されている「歴史総合」の動画二十本を連続で視聴してみた。
NHK高校講座
なるほど、素晴らしい。
Eテレの情報バラエティとして気軽に観られ、しかも必要な情報はしっかり頭に入る。
最近何かと話題の難民問題やマイノリティの権利の問題も、歴史的経緯から理解できる。
一本20分の動画を毎日視聴するうちに、近代化、グローバル化等の基本概念が無理なく身に付き、さらに踏み込んだ学習や読書につなげていける内容になっている。
同じ「ネットで無料視聴できる動画」でも、内容の怪しげなショート動画とは全く水準が違う。
本当に「タイパ」を求めるなら、まずNHK高校講座をお勧めしたい。
どの科目も高水準の内容である。
動画でウオーミングアップ出来たら、次は読書へ。

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●『大学の先生と学ぶはじめての歴史総合』北村厚(KADOKAWA)
カテゴリは学参になるが、高校生だけが手にとるのはもったいない読み応えだ。
新たな政治の季節が到来し、ファシズムと向き合う覚悟が必要になってきそうな昨今、「国民国家と徴兵」「個人の権利の確立」「差別の撤廃」「自由平等」「民主主義」など、まずはスタンダードな理解を固めておくべきで、それは今の40〜50代に決定的に欠けている素養でもある。
高校生がこうした内容を授業でしっかり学んでいる事には希望を感じるし、おっさんも若い者に負けないよう、しっかり学び直しましょう!
そして高校社会科へつなげる中学の学習内容としては、以前紹介した『ともに学ぶ 人間の歴史』(学び舎)がお勧めです。
以下、レビューを再掲。

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中学社会歴史的分野で、有名進学校も使用する文部科学省検定済教科書として、一時話題になった。
受験向けに高度な内容まで詰め込んであるのかと思いきや、内容はむしろ厳選してあり、記述は簡潔。
科目に合わせて編集してあるが、「世界史の中の極東アジア列島」という構図が理解できるよう、内外を往還しながら平易に語ってある。
巻頭近くに載っている時代区分図から北海道と沖縄が別立てになっており、「日本=大和」「日本は単一民族」という見方をサクッと相対化してあるのがもう既に素晴らしい。
国内では早い段階から「民衆史」の解説があり、「少数の有名人物が切り開く歴史」という、ありがちな誤解に陥らないよう配慮してあるように感じる。
そして私たちの世代の学校教育では流されがちだった「近代化以降」に全体のページ数の半分程度が割かれており、現代に歴史を学ぶ意味はまさにここにあることが明確になっている。
大人が読んでも知的好奇心を刺激される通史である。
