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    <title>縁日草子</title>
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    <description>神仏与太話</description>
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    <itunes:author>九郎</itunes:author>
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      <title>「新しい日」に</title>
      <pubDate>Tue, 24 Mar 2026 09:07:27 +0900</pubDate>
            <description>　子供向けの新作絵本が毎月刊行される福音館書店のシリーズは、大人が開いても面白く、勉強になることで知られている。　子どもに読み聞かせているうちに、自分が引き込まれてしまった経験を持つ親も多いだろう。　その中の一つ『月刊たくさんのふしぎ』の3月号として、以下の絵本が刊行された。●月刊たくさんのふしぎ『世界でくらすクルドの人たち　春をよろこぶ みんなで踊る』文・絵　金井真紀（福音館書店）https://amzn.to/4suAlQX　クルド文化では春の訪れが「新年」にあたり、世界..</description>
            <itunes:summary><![CDATA[
　子供向けの新作絵本が毎月刊行される福音館書店のシリーズは、大人が開いても面白く、勉強になることで知られている。
　子どもに読み聞かせているうちに、自分が引き込まれてしまった経験を持つ親も多いだろう。
　その中の一つ『月刊たくさんのふしぎ』の3月号として、以下の絵本が刊行された。

<img border="0" alt="kyoyo-02-05.jpg" src="https://en-nichi.up.seesaa.net/image/kyoyo-02-05.jpg" width="420" height="315">
●月刊たくさんのふしぎ『世界でくらすクルドの人たち　春をよろこぶ みんなで踊る』文・絵　金井真紀（福音館書店）
https://amzn.to/4suAlQX

　クルド文化では春の訪れが「新年」にあたり、世界中でくらすクルドの人々がそれを祝う「ネウロズ（新しい日）」というお祭りがあるという。
　クルドにルーツを持つ皆さんの主催により、日本でも今年のネロウズが祝われた3月２２日、ニュースを見ながら子どもらとともにこの絵本を読んだ。

　クルド民族は「国をもたない最大の民族」と呼ばれ、中東を中心に３０００万人がくらしているという。
　なぜそのようなことになったかと言えば、近現代に中東各国の国境線が政治的に引かれる過程で、広い地域にまたがっていたクルド人の居住区が分割され、それぞれの国で「少数民族」になってしまったためだ。
　政治的な迫害や差別を避けるために難民になった人々も数多い。
　それでも世界中で自身の文化を大切にしつつ、日々のくらしを送っているのだ。

　まずは知ること。
　SNS等の断片的（もっとはっきり言えば差別的）な言説を流し見て、「なんとなくの差別感情」を持つのは本当に良くない。
　美しいドレス、美味しい食べ物、そして世界の各地域で営まれる一人一人の生活について、考え始める第一歩になる素晴らしい絵本だ。<a></a>

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      <content:encoded><![CDATA[
　子供向けの新作絵本が毎月刊行される福音館書店のシリーズは、大人が開いても面白く、勉強になることで知られている。<br />　子どもに読み聞かせているうちに、自分が引き込まれてしまった経験を持つ親も多いだろう。<br />　その中の一つ『月刊たくさんのふしぎ』の3月号として、以下の絵本が刊行された。<br /><br /><img border="0" alt="kyoyo-02-05.jpg" src="https://en-nichi.up.seesaa.net/image/kyoyo-02-05.jpg" width="420" height="315"><br />●月刊たくさんのふしぎ『世界でくらすクルドの人たち　春をよろこぶ みんなで踊る』文・絵　金井真紀（福音館書店）<br /><a href="https://amzn.to/4suAlQX" target="_blank">https://amzn.to/4suAlQX</a><br /><br />　クルド文化では春の訪れが「新年」にあたり、世界中でくらすクルドの人々がそれを祝う「ネウロズ（新しい日）」というお祭りがあるという。<br />　クルドにルーツを持つ皆さんの主催により、日本でも今年のネロウズが祝われた3月２２日、ニュースを見ながら子どもらとともにこの絵本を読んだ。<br /><br />　クルド民族は「国をもたない最大の民族」と呼ばれ、中東を中心に３０００万人がくらしているという。<br />　なぜそのようなことになったかと言えば、近現代に中東各国の国境線が政治的に引かれる過程で、広い地域にまたがっていたクルド人の居住区が分割され、それぞれの国で「少数民族」になってしまったためだ。<br />　政治的な迫害や差別を避けるために難民になった人々も数多い。<br />　それでも世界中で自身の文化を大切にしつつ、日々のくらしを送っているのだ。<br /><br />　まずは知ること。<br />　SNS等の断片的（もっとはっきり言えば差別的）な言説を流し見て、「なんとなくの差別感情」を持つのは本当に良くない。<br />　美しいドレス、美味しい食べ物、そして世界の各地域で営まれる一人一人の生活について、考え始める第一歩になる素晴らしい絵本だ。<a name="more"></a>

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            <category>教養文庫</category>
      <author>九郎</author>
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      <link>https://en-nichi.seesaa.net/article/520264178.html</link>
      <title>そこに行けばどんな夢も……</title>
      <pubDate>Sun, 22 Mar 2026 11:50:46 +0900</pubDate>
            <description>　阿弥陀如来について、史実としての起源に関する読書をぼちぼち続けている。　お釈迦様当人は、在世時は主にガンジス川流域で伝導の旅を続けた。　現代日本で主流の大乗仏教はそれからかなり時代が流れてからスタートし、インド半島北西部のインダス川流域で、西方文化との交錯の中で仏教美術とともに発達していったらしい。　ここ数年「法蔵館文庫」の刊行が盛んで「絶好調」と言って良いのだが、阿弥陀如来の起源についても参考になる本が出ている。●『極楽浄土の起源 祖型としてのターク・イ・ブースタン洞』杉..</description>
            <itunes:summary><![CDATA[
　阿弥陀如来について、史実としての起源に関する読書をぼちぼち続けている。
　お釈迦様当人は、在世時は主にガンジス川流域で伝導の旅を続けた。
　現代日本で主流の大乗仏教はそれからかなり時代が流れてからスタートし、インド半島北西部のインダス川流域で、西方文化との交錯の中で仏教美術とともに発達していったらしい。
　ここ数年「法蔵館文庫」の刊行が盛んで「絶好調」と言って良いのだが、阿弥陀如来の起源についても参考になる本が出ている。

<img border="0" alt="amida-010.jpg" src="https://en-nichi.up.seesaa.net/image/amida-010.jpg" width="420" height="315">
●『極楽浄土の起源 祖型としてのターク・イ・ブースタン洞』杉山二郎（法蔵館文庫）
https://amzn.to/4dzK6Zw

<img border="0" alt="amida-011.jpg" src="https://en-nichi.up.seesaa.net/image/amida-011.jpg" width="420" height="315">
●『仏教文化の原郷』西川幸治（法蔵館文庫）
https://amzn.to/4dDbt4V

　そしてつい先ごろ刊行の本が今の興味の範囲にぴったりだったので、こちらから読み進めている。

<img border="0" alt="amida-012.jpg" src="https://en-nichi.up.seesaa.net/image/amida-012.jpg" width="420" height="315">
●『ガンダーラ仏教美術の謎 シルクロードが生んだ仏像と「愛の楽園」』田辺理（光文社新書）
https://amzn.to/47ha8wP

　ゴダイゴのガンダーラから語り起こしてあるが、筆者は1979年生まれ。
　リアルタイムでドラマ『西遊記』を観ていた世代ではないだろうけれども、それだけかの曲の影響は強いということなのだろう。
　本書は地理上のガンダーラがどこを指し、どのような歴史を辿ったのか第一章で解説されており、東西文明の交錯する地帯なので、既に色々面白い。
　東西文明のぶつかり合いから仏像が誕生する過程を、多数のカラー写真とともに紹介している好著。


　ついでにもう一冊ご紹介。

<img border="0" alt="amida-009.jpg" src="https://en-nichi.up.seesaa.net/image/amida-009.jpg" width="420" height="315">
●『新訳ミリンダ王の問い』宮元啓一（花伝社）
https://amzn.to/4rLQWPa

　同書は平凡社東洋文庫版がよく知られているが、近年一冊にまとまった新訳が出ているのを知り、前から読みたかった。
　古代ギリシアと古代インドが交錯する時代のスリリングな対話の書である。
　ギリシア人の知的な王のインド哲学とのファーストコンタクトは、世界史や美術史をわりと真面目に二年近く勉強してきた今なら、かなり解像度高く読み取れるだろう。
　日本人は一応「仏教徒」が多いとされているが、現代人の感覚はむしろミリンダ王に近いはずで、次々と説かれる仏教哲学に新鮮な驚きが感じられる。


　これらの本をぼちぼち開いてみながら、頭の整理のためにインド半島から西へ、イラン高原を含む古代オリエントの範囲までを中心とした絵図を描いてみた。
　何かと話題のホルムズ海峡も入っている。

■試作「インド・オリエント絵図」
<a href="https://en-nichi.up.seesaa.net/image/iom002.jpg" target="_blank"><img border="0" alt="iom002.jpg" src="https://en-nichi.up.seesaa.net/image/iom002-thumbnail2.jpg" width="420" height="297"></a>
（クリックで画像拡大）
<a></a>

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      <content:encoded><![CDATA[
　阿弥陀如来について、史実としての起源に関する読書をぼちぼち続けている。<br />　お釈迦様当人は、在世時は主にガンジス川流域で伝導の旅を続けた。<br />　現代日本で主流の大乗仏教はそれからかなり時代が流れてからスタートし、インド半島北西部のインダス川流域で、西方文化との交錯の中で仏教美術とともに発達していったらしい。<br />　ここ数年「法蔵館文庫」の刊行が盛んで「絶好調」と言って良いのだが、阿弥陀如来の起源についても参考になる本が出ている。<br /><br /><img border="0" alt="amida-010.jpg" src="https://en-nichi.up.seesaa.net/image/amida-010.jpg" width="420" height="315"><br />●『極楽浄土の起源 祖型としてのターク・イ・ブースタン洞』杉山二郎（法蔵館文庫）<br /><a href="https://amzn.to/4dzK6Zw" target="_blank">https://amzn.to/4dzK6Zw</a><br /><br /><img border="0" alt="amida-011.jpg" src="https://en-nichi.up.seesaa.net/image/amida-011.jpg" width="420" height="315"><br />●『仏教文化の原郷』西川幸治（法蔵館文庫）<br /><a href="https://amzn.to/4dDbt4V" target="_blank">https://amzn.to/4dDbt4V</a><br /><br />　そしてつい先ごろ刊行の本が今の興味の範囲にぴったりだったので、こちらから読み進めている。<br /><br /><img border="0" alt="amida-012.jpg" src="https://en-nichi.up.seesaa.net/image/amida-012.jpg" width="420" height="315"><br />●『ガンダーラ仏教美術の謎 シルクロードが生んだ仏像と「愛の楽園」』田辺理（光文社新書）<br /><a href="https://amzn.to/47ha8wP" target="_blank">https://amzn.to/47ha8wP</a><br /><br />　ゴダイゴのガンダーラから語り起こしてあるが、筆者は1979年生まれ。<br />　リアルタイムでドラマ『西遊記』を観ていた世代ではないだろうけれども、それだけかの曲の影響は強いということなのだろう。<br />　本書は地理上のガンダーラがどこを指し、どのような歴史を辿ったのか第一章で解説されており、東西文明の交錯する地帯なので、既に色々面白い。<br />　東西文明のぶつかり合いから仏像が誕生する過程を、多数のカラー写真とともに紹介している好著。<br /><br /><br />　ついでにもう一冊ご紹介。<br /><br /><img border="0" alt="amida-009.jpg" src="https://en-nichi.up.seesaa.net/image/amida-009.jpg" width="420" height="315"><br />●『新訳ミリンダ王の問い』宮元啓一（花伝社）<br /><a href="https://amzn.to/4rLQWPa" target="_blank">https://amzn.to/4rLQWPa</a><br /><br />　同書は平凡社東洋文庫版がよく知られているが、近年一冊にまとまった新訳が出ているのを知り、前から読みたかった。<br />　古代ギリシアと古代インドが交錯する時代のスリリングな対話の書である。<br />　ギリシア人の知的な王のインド哲学とのファーストコンタクトは、世界史や美術史をわりと真面目に二年近く勉強してきた今なら、かなり解像度高く読み取れるだろう。<br />　日本人は一応「仏教徒」が多いとされているが、現代人の感覚はむしろミリンダ王に近いはずで、次々と説かれる仏教哲学に新鮮な驚きが感じられる。<br /><br /><br />　これらの本をぼちぼち開いてみながら、頭の整理のためにインド半島から西へ、イラン高原を含む古代オリエントの範囲までを中心とした絵図を描いてみた。<br />　何かと話題のホルムズ海峡も入っている。<br /><br />■試作「インド・オリエント絵図」<br /><a href="https://en-nichi.up.seesaa.net/image/iom002.jpg" target="_blank"><img border="0" alt="iom002.jpg" src="https://en-nichi.up.seesaa.net/image/iom002-thumbnail2.jpg" width="420" height="297"></a><br />（クリックで画像拡大）<br /><a name="more"></a>

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            <category>阿弥陀</category>
      <author>九郎</author>
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      <title>苦手な化学ともう一度</title>
      <pubDate>Sun, 15 Mar 2026 12:13:11 +0900</pubDate>
            <description>　昨年11月、岩波ジュニア新書の名著が再刊され、評判だったので読んでみた。●『めんそーれ！化学　おばあと学んだ理科授業』盛口満（岩波ジュニア新書）https://amzn.to/4suwEuV　沖縄の夜間中学を舞台に、それまで学ぶ機会の無かったおばあ達と共に化学の世界に入門する一冊。　何よりも「学びたい」という意欲に溢れ、生活体験の豊富な生徒たちなので、授業で取り扱う内容に即した実体験が打てば響くように返ってくる。　先生の方も生徒たちに引っ張られるように教材を思い付き、良いフ..</description>
            <itunes:summary><![CDATA[
　昨年11月、岩波ジュニア新書の名著が再刊され、評判だったので読んでみた。

<img border="0" alt="kyoyo-02-04.jpg" src="https://en-nichi.up.seesaa.net/image/kyoyo-02-04.jpg" width="420" height="315">
●『めんそーれ！化学　おばあと学んだ理科授業』盛口満（岩波ジュニア新書）
https://amzn.to/4suwEuV

　沖縄の夜間中学を舞台に、それまで学ぶ機会の無かったおばあ達と共に化学の世界に入門する一冊。
　何よりも「学びたい」という意欲に溢れ、生活体験の豊富な生徒たちなので、授業で取り扱う内容に即した実体験が打てば響くように返ってくる。
　先生の方も生徒たちに引っ張られるように教材を思い付き、良いフィードバックの中で講座が進行していく過程が本当に楽しい本だ。

　恥ずかしながら私は中高生の頃から理科の第一分野は苦手だった。
　小学生の頃は一応「科学少年」で、図鑑や本を読み漁っていたのだが、思い返してみると生物・地学が中心だった。
　とくに古生物関連には強く、その貯金があったので中高生になってからも第二分野ではほとんど苦労しなかった。
　ところが第一分野は勝手が違っていた。
　個性派ぞろいの第二分野の先生方に比べ、第一分野は生真面目な感じの先生が多く、また私の苦手な暗記事項も多かったため、早々に「お手上げ」になってしまったのだ。

　私には本書『めんそーれ！　化学』のおばあ達のような、生活に根差した知識も実体験もないので、先生と生徒の皆さんのやりとりを、ただただ感心しながら読んだ。
　思い返せば中高生の頃、理科第一分野の先生方が授業中にしてくれた雑談は、この本にあるような「化学を生活と結びつけて身につける」ための工夫だったのだろう。
　しかしながら受験校だったこともあり、「テストに出ない」内容の雑談にちゃんと耳を傾けている生徒は少なかったように思う。
　いくら賢いつもりでも、しょせん中高生はなんにもわかっていない未熟者であったのだ。

　本書で解説される「戻る変化と戻らない変化」「金属の３大性質」「世界の３大物質」等は、「物質とは何か？」ということについてすっきりと頭を整理してくれるし、「蝋」「でんぷん」「牛乳」「石鹸」といった身近なものを通した解説は化学と生物の橋渡しをしてくれる。
　苦手意識が次々と相対化され、あらためて化学に向き合う気分になってくる構成は本当に素晴らしい。

　中高生にも大人にも、得意な人にも苦手な人にもお勧めできる入門書だった。
<a></a>

]]></itunes:summary>
      <content:encoded><![CDATA[
　昨年11月、岩波ジュニア新書の名著が再刊され、評判だったので読んでみた。<br /><br /><img border="0" alt="kyoyo-02-04.jpg" src="https://en-nichi.up.seesaa.net/image/kyoyo-02-04.jpg" width="420" height="315"><br />●『めんそーれ！化学　おばあと学んだ理科授業』盛口満（岩波ジュニア新書）<br /><a href="https://amzn.to/4suwEuV" target="_blank">https://amzn.to/4suwEuV</a><br /><br />　沖縄の夜間中学を舞台に、それまで学ぶ機会の無かったおばあ達と共に化学の世界に入門する一冊。<br />　何よりも「学びたい」という意欲に溢れ、生活体験の豊富な生徒たちなので、授業で取り扱う内容に即した実体験が打てば響くように返ってくる。<br />　先生の方も生徒たちに引っ張られるように教材を思い付き、良いフィードバックの中で講座が進行していく過程が本当に楽しい本だ。<br /><br />　恥ずかしながら私は中高生の頃から理科の第一分野は苦手だった。<br />　小学生の頃は一応「科学少年」で、図鑑や本を読み漁っていたのだが、思い返してみると生物・地学が中心だった。<br />　とくに古生物関連には強く、その貯金があったので中高生になってからも第二分野ではほとんど苦労しなかった。<br />　ところが第一分野は勝手が違っていた。<br />　個性派ぞろいの第二分野の先生方に比べ、第一分野は生真面目な感じの先生が多く、また私の苦手な暗記事項も多かったため、早々に「お手上げ」になってしまったのだ。<br /><br />　私には本書『めんそーれ！　化学』のおばあ達のような、生活に根差した知識も実体験もないので、先生と生徒の皆さんのやりとりを、ただただ感心しながら読んだ。<br />　思い返せば中高生の頃、理科第一分野の先生方が授業中にしてくれた雑談は、この本にあるような「化学を生活と結びつけて身につける」ための工夫だったのだろう。<br />　しかしながら受験校だったこともあり、「テストに出ない」内容の雑談にちゃんと耳を傾けている生徒は少なかったように思う。<br />　いくら賢いつもりでも、しょせん中高生はなんにもわかっていない未熟者であったのだ。<br /><br />　本書で解説される「戻る変化と戻らない変化」「金属の３大性質」「世界の３大物質」等は、「物質とは何か？」ということについてすっきりと頭を整理してくれるし、「蝋」「でんぷん」「牛乳」「石鹸」といった身近なものを通した解説は化学と生物の橋渡しをしてくれる。<br />　苦手意識が次々と相対化され、あらためて化学に向き合う気分になってくる構成は本当に素晴らしい。<br /><br />　中高生にも大人にも、得意な人にも苦手な人にもお勧めできる入門書だった。<br /><a name="more"></a>

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            <category>教養文庫</category>
      <author>九郎</author>
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      <title>原発を論じる大前提</title>
      <pubDate>Thu, 12 Mar 2026 20:34:25 +0900</pubDate>
            <description>　昨日の3.11忌に合わせ、再読していた本がある。●『福島原発の闇 原発下請け労働者の現実』文：堀江邦夫　絵：水木しげる（朝日新聞出版社）https://amzn.to/4b5Kgq7　７０年代末から原発の定検作業を中心に下請け労働の現場を実体験したルポ『原発ジプシー』を執筆する著者が、それに先駆けてアサヒグラフに執筆、水木しげるがイラストを担当した幻の記事があったという。（原題「パイプの森の放浪者」）　９０年代から原発関連の本を読み漁っていた私も知らなかったその記事が、20..</description>
            <itunes:summary><![CDATA[
　昨日の3.11忌に合わせ、再読していた本がある。

<img border="0" alt="kyoyo-02-03.jpg" src="https://en-nichi.up.seesaa.net/image/kyoyo-02-03.jpg" width="420" height="315">
●『福島原発の闇 原発下請け労働者の現実』
文：堀江邦夫　絵：水木しげる（朝日新聞出版社）
https://amzn.to/4b5Kgq7

　７０年代末から原発の定検作業を中心に下請け労働の現場を実体験したルポ『原発ジプシー』を執筆する著者が、それに先駆けてアサヒグラフに執筆、水木しげるがイラストを担当した幻の記事があったという。（原題「パイプの森の放浪者」）
　９０年代から原発関連の本を読み漁っていた私も知らなかったその記事が、2011年の原発震災後に朝日ジャーナル編集部で発見され、本として復活した一冊である。
　添えられた多数の水木しげるのイラストが凄まじい。
　ろくな資料も無く描かれたのが信じがたいほどに、被曝労働の過酷な現実が活写されている。解説にもあるが、水木しげる本人の過酷な従軍体験が描写の源泉になっていることは間違いないだろう。
　本文は『原発ジプシー』の濃厚なダイジェスト版のような内容であり、まともな安全管理が無く、土台無理な放射線まみれの現場労働が恐ろしい。
　原発自体はほとんど当時のままであり、今現在も同様の過酷労働が行われていることは間違いなく、事故を起こした福島原発の労働現場は更に酷いものになっているだろう。
　今も昔も、原発の下請け労働は「被曝リスクを換金する」のがその本質なのだ。

　原発を稼働させるのに不可欠な被曝労働を、電力会社の正社員にやらせず、非正規雇用に押し付ける。
　そもそも電力消費地に原発を作らず、わざわざ人口の少ない地方に作り、ロスの大きい長距離送電を行う。
　私が原発を忌避するのは、もちろんひとたび事故が起こった際のリスクがあまりに大きすぎることもあるが、こうした通常運転での「悪徳」が受け入れがたいからでもある。
　端的に言うなら、原発は存在そのものが差別で成り立っているのだ。
　原発について何か論ずるならば、まずは本書で告発されるような下請け労働の現実を認識してからにすべきだろう。

　更に言うなら、再稼働派が常に持ち出す「経済性」においても、既に破綻していることが明らかだ。
　電力会社に都合の良い数字だけをいくら並べようと、廃炉と半永久的に続く放射性廃棄物の管理コストを考えれば、原発を稼働させればさせるだけ、膨大な負債が積みあがっていくのだ。
　超少子化で今後人口が減るしかない日本では、その負債は近い将来とてつもない禍根となる。

　これからを生きる若い皆さんには、以上のことをしっかり考えてほしいと切に願うのである。
<a></a>

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　昨日の3.11忌に合わせ、再読していた本がある。<br /><br /><img border="0" alt="kyoyo-02-03.jpg" src="https://en-nichi.up.seesaa.net/image/kyoyo-02-03.jpg" width="420" height="315"><br />●『福島原発の闇 原発下請け労働者の現実』<br />文：堀江邦夫　絵：水木しげる（朝日新聞出版社）<br /><a href="https://amzn.to/4b5Kgq7" target="_blank">https://amzn.to/4b5Kgq7</a><br /><br />　７０年代末から原発の定検作業を中心に下請け労働の現場を実体験したルポ『原発ジプシー』を執筆する著者が、それに先駆けてアサヒグラフに執筆、水木しげるがイラストを担当した幻の記事があったという。（原題「パイプの森の放浪者」）<br />　９０年代から原発関連の本を読み漁っていた私も知らなかったその記事が、2011年の原発震災後に朝日ジャーナル編集部で発見され、本として復活した一冊である。<br />　添えられた多数の水木しげるのイラストが凄まじい。<br />　ろくな資料も無く描かれたのが信じがたいほどに、被曝労働の過酷な現実が活写されている。解説にもあるが、水木しげる本人の過酷な従軍体験が描写の源泉になっていることは間違いないだろう。<br />　本文は『原発ジプシー』の濃厚なダイジェスト版のような内容であり、まともな安全管理が無く、土台無理な放射線まみれの現場労働が恐ろしい。<br />　原発自体はほとんど当時のままであり、今現在も同様の過酷労働が行われていることは間違いなく、事故を起こした福島原発の労働現場は更に酷いものになっているだろう。<br />　今も昔も、原発の下請け労働は「被曝リスクを換金する」のがその本質なのだ。<br /><br />　原発を稼働させるのに不可欠な被曝労働を、電力会社の正社員にやらせず、非正規雇用に押し付ける。<br />　そもそも電力消費地に原発を作らず、わざわざ人口の少ない地方に作り、ロスの大きい長距離送電を行う。<br />　私が原発を忌避するのは、もちろんひとたび事故が起こった際のリスクがあまりに大きすぎることもあるが、こうした通常運転での「悪徳」が受け入れがたいからでもある。<br />　端的に言うなら、原発は存在そのものが差別で成り立っているのだ。<br />　原発について何か論ずるならば、まずは本書で告発されるような下請け労働の現実を認識してからにすべきだろう。<br /><br />　更に言うなら、再稼働派が常に持ち出す「経済性」においても、既に破綻していることが明らかだ。<br />　電力会社に都合の良い数字だけをいくら並べようと、廃炉と半永久的に続く放射性廃棄物の管理コストを考えれば、原発を稼働させればさせるだけ、膨大な負債が積みあがっていくのだ。<br />　超少子化で今後人口が減るしかない日本では、その負債は近い将来とてつもない禍根となる。<br /><br />　これからを生きる若い皆さんには、以上のことをしっかり考えてほしいと切に願うのである。<br /><a name="more"></a>

]]><![CDATA[
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            <category>教養文庫</category>
      <author>九郎</author>
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        <item>
      <link>https://en-nichi.seesaa.net/article/520170629.html</link>
      <title>「本番」間近？</title>
      <pubDate>Tue, 10 Mar 2026 22:47:26 +0900</pubDate>
            <description>●『陰謀論と排外主義　～分断社会を読み解く７つの視点～』黒猫ドラネコ、山崎リュウキチ、藤倉善郎、選挙ウォッチャーちだい、清義明、古谷経衡、菅野完（扶桑社新書）https://amzn.to/4blZYw2　2026年2月衆院選の衝撃が未だ冷めやらぬまま3月に突入してしまった。　個人的には1995年から始まったと感じているファシズムへの流れが2011年にアクセルが踏まれ、2020年のコロナ禍と共に本格化、いよいよ最終コーナーを曲がった感がある。　12月刊行のこの本、この度の衆院..</description>
            <itunes:summary><![CDATA[
<img border="0" alt="ibrhgs001.jpg" src="https://en-nichi.up.seesaa.net/image/ibrhgs001.jpg" width="420" height="315">
●『陰謀論と排外主義　～分断社会を読み解く７つの視点～』
黒猫ドラネコ、山崎リュウキチ、藤倉善郎、選挙ウォッチャーちだい、清義明、古谷経衡、菅野完
（扶桑社新書）
https://amzn.to/4blZYw2

　2026年2月衆院選の衝撃が未だ冷めやらぬまま3月に突入してしまった。
　個人的には1995年から始まったと感じているファシズムへの流れが2011年にアクセルが踏まれ、2020年のコロナ禍と共に本格化、いよいよ最終コーナーを曲がった感がある。
　12月刊行のこの本、この度の衆院選で起こったことの大半が、あらかじめ予告されていたかのような一冊だった。
　主に2020年代以降の世相や、一般側の政治状況を、SNSでも活躍する七人の論客がそれぞれの視点で振り返るのだが、こうしてみると、やはりコロナ禍は一つのターニングポイントだったのだろう。
　そしておそらく、先の衆院選が一つのターニングポイントとして語られる日が、ほどなく来るのだろう。

　このカテゴリ<a href="http://en-nichi.seesaa.net/category/27930103-1.html" target="_blank">教養文庫</a>でも度々述べてきた通り、私は2022年にスタートした高校社会科<a href="http://en-nichi.seesaa.net/article/517146020.html" target="_blank">歴史総合</a>を高く評価しており、それを学ぶ今の高校生の皆さんに希望を抱いている。
　興味を持って他の高校社会科の教科書も開いてみると、近代化の過程で確立されてきた人権の考え方を元に、本当によくできている。
　人権について、ファシズムについて存分に学んだ上で、今の高校生は18歳で選挙権を得ているのだ。

　ファシズムの惨禍、人権の成立過程を歴史として追ってきた高校生の皆さんにとっても、本書は2026年のリアルタイプの政治状況を理解するための、絶好の手引きになるだろう。<a></a>

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      <content:encoded><![CDATA[
<img border="0" alt="ibrhgs001.jpg" src="https://en-nichi.up.seesaa.net/image/ibrhgs001.jpg" width="420" height="315"><br />●『陰謀論と排外主義　～分断社会を読み解く７つの視点～』<br />黒猫ドラネコ、山崎リュウキチ、藤倉善郎、選挙ウォッチャーちだい、清義明、古谷経衡、菅野完<br />（扶桑社新書）<br /><a href="https://amzn.to/4blZYw2" target="_blank">https://amzn.to/4blZYw2</a><br /><br />　2026年2月衆院選の衝撃が未だ冷めやらぬまま3月に突入してしまった。<br />　個人的には1995年から始まったと感じているファシズムへの流れが2011年にアクセルが踏まれ、2020年のコロナ禍と共に本格化、いよいよ最終コーナーを曲がった感がある。<br />　12月刊行のこの本、この度の衆院選で起こったことの大半が、あらかじめ予告されていたかのような一冊だった。<br />　主に2020年代以降の世相や、一般側の政治状況を、SNSでも活躍する七人の論客がそれぞれの視点で振り返るのだが、こうしてみると、やはりコロナ禍は一つのターニングポイントだったのだろう。<br />　そしておそらく、先の衆院選が一つのターニングポイントとして語られる日が、ほどなく来るのだろう。<br /><br />　このカテゴリ<a href="http://en-nichi.seesaa.net/category/27930103-1.html" target="_blank">教養文庫</a>でも度々述べてきた通り、私は2022年にスタートした高校社会科<a href="http://en-nichi.seesaa.net/article/517146020.html" target="_blank">歴史総合</a>を高く評価しており、それを学ぶ今の高校生の皆さんに希望を抱いている。<br />　興味を持って他の高校社会科の教科書も開いてみると、近代化の過程で確立されてきた人権の考え方を元に、本当によくできている。<br />　人権について、ファシズムについて存分に学んだ上で、今の高校生は18歳で選挙権を得ているのだ。<br /><br />　ファシズムの惨禍、人権の成立過程を歴史として追ってきた高校生の皆さんにとっても、本書は2026年のリアルタイプの政治状況を理解するための、絶好の手引きになるだろう。<a name="more"></a>

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]]></content:encoded>
            <category>教養文庫</category>
      <author>九郎</author>
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        <item>
      <link>https://en-nichi.seesaa.net/article/519790201.html</link>
      <title>大西洋から俯瞰する国際情勢</title>
      <pubDate>Wed, 21 Jan 2026 23:07:59 +0900</pubDate>
            <description>　超大国の大統領が、公然と他国の領土の割譲を要求する狂乱の2026年の幕開けである。　話題のグリーンランドであるが、下図のような世界地図を見慣れている日本人にはちょっとピンと来ない場合があるだろう。（クリックで画像拡大）　日本人向けの世界地図なので日本が中心に来る構図にするのはまあわかる。　この構図だとユーラシア大陸周辺と、環太平洋の位置関係は分かりやすく、その二つの環の交点たる日本の果たすべき役割も分かりやすい。　しかしこれでは大西洋がぶった切られてしまい、「欧米」の関係性..</description>
            <itunes:summary><![CDATA[
　超大国の大統領が、公然と他国の領土の割譲を要求する狂乱の2026年の幕開けである。
　話題のグリーンランドであるが、下図のような世界地図を見慣れている日本人にはちょっとピンと来ない場合があるだろう。

<a href="https://en-nichi.up.seesaa.net/image/wm004.jpg" target="_blank"><img border="0" alt="wm004.jpg" src="https://en-nichi.up.seesaa.net/image/wm004-thumbnail2.jpg" width="420" height="236"></a>
（クリックで画像拡大）

　日本人向けの世界地図なので日本が中心に来る構図にするのはまあわかる。
　この構図だとユーラシア大陸周辺と、環太平洋の位置関係は分かりやすく、その二つの環の交点たる日本の果たすべき役割も分かりやすい。
　しかしこれでは大西洋がぶった切られてしまい、「欧米」の関係性がほぼ何もみえなくなってしまうのが、大きすぎる欠点としてある。
　日々流れてくる国際社会に関する報道を理解するには、やはり世界標準の「環大西洋」の構図で認識しなければならない。

<a href="https://en-nichi.up.seesaa.net/image/wm002.jpg" target="_blank"><img border="0" alt="wm002.jpg" src="https://en-nichi.up.seesaa.net/image/wm002-thumbnail2.jpg" width="420" height="275"></a>
（クリックで画像拡大）

　さらにこの度のグリーンランドの件は、NATO（北大西洋条約機構）の範囲で、その存立を揺るがす事態であるので、北極圏も含めた構図で見る必要が出てくる。

<a href="https://en-nichi.up.seesaa.net/image/gld001.jpg" target="_blank"><img border="0" alt="gld001.jpg" src="https://en-nichi.up.seesaa.net/image/gld001-thumbnail2.jpg" width="420" height="279"></a>
（クリックで画像拡大）

　日本人が考えるよりずっと欧米は「ご近所」で、あちこちで領土領海を複雑に接しているのだ。
　この構図で眺めると、日本中心の世界地図では「世界の果て」だったグリーンランドがむしろ「中心地」で、経済上、軍事上の重要地点であることが一目瞭然になる。

　さらに近年、温暖化による氷の減少で、北極海が通年で航行できるようになったことを受け、脚光を浴びているのが「北極海航路」だ。
　こちらは日本にも直接大きな経済的影響を及ぼす。

<a href="https://en-nichi.up.seesaa.net/image/wm006.jpg" target="_blank"><img border="0" alt="wm006.jpg" src="https://en-nichi.up.seesaa.net/image/wm006-thumbnail2.jpg" width="420" height="420"></a>
（クリックで画像拡大）

　ユーラシア大陸は真上から見ると、ベーリング海峡、マラッカ海峡、トルコで巨大な正三角形を描く。
　古くはトルコから直線で東西を結ぶ陸路のシルクロードが物流の中心。
　後に西欧と東アジアを結ぶ物流経路は、インド洋とスエズ運河を通る海路、南回り航路に代わった。
　日本とヨーロッパを結ぶ場合、北極海航路なら南回りの六割まで距離を縮められるという。
　これは日本と世界の経済の在り方を、劇的に変えてしまう可能性を持つ。
　この北極海航路においても、グリーンランドの位置は極めて重要になってくるのだ。
　
　一年半ほど<a href="http://en-nichi.seesaa.net/category/27930103-1.html" target="_blank">世界史に関する読書</a>を進めてきて、ようやく世界地理に関しても本格的な興味を持てるようになってきた。<a></a>

]]></itunes:summary>
      <content:encoded><![CDATA[
　超大国の大統領が、公然と他国の領土の割譲を要求する狂乱の2026年の幕開けである。<br />　話題のグリーンランドであるが、下図のような世界地図を見慣れている日本人にはちょっとピンと来ない場合があるだろう。<br /><br /><a href="https://en-nichi.up.seesaa.net/image/wm004.jpg" target="_blank"><img border="0" alt="wm004.jpg" src="https://en-nichi.up.seesaa.net/image/wm004-thumbnail2.jpg" width="420" height="236"></a><br />（クリックで画像拡大）<br /><br />　日本人向けの世界地図なので日本が中心に来る構図にするのはまあわかる。<br />　この構図だとユーラシア大陸周辺と、環太平洋の位置関係は分かりやすく、その二つの環の交点たる日本の果たすべき役割も分かりやすい。<br />　しかしこれでは大西洋がぶった切られてしまい、「欧米」の関係性がほぼ何もみえなくなってしまうのが、大きすぎる欠点としてある。<br />　日々流れてくる国際社会に関する報道を理解するには、やはり世界標準の「環大西洋」の構図で認識しなければならない。<br /><br /><a href="https://en-nichi.up.seesaa.net/image/wm002.jpg" target="_blank"><img border="0" alt="wm002.jpg" src="https://en-nichi.up.seesaa.net/image/wm002-thumbnail2.jpg" width="420" height="275"></a><br />（クリックで画像拡大）<br /><br />　さらにこの度のグリーンランドの件は、NATO（北大西洋条約機構）の範囲で、その存立を揺るがす事態であるので、北極圏も含めた構図で見る必要が出てくる。<br /><br /><a href="https://en-nichi.up.seesaa.net/image/gld001.jpg" target="_blank"><img border="0" alt="gld001.jpg" src="https://en-nichi.up.seesaa.net/image/gld001-thumbnail2.jpg" width="420" height="279"></a><br />（クリックで画像拡大）<br /><br />　日本人が考えるよりずっと欧米は「ご近所」で、あちこちで領土領海を複雑に接しているのだ。<br />　この構図で眺めると、日本中心の世界地図では「世界の果て」だったグリーンランドがむしろ「中心地」で、経済上、軍事上の重要地点であることが一目瞭然になる。<br /><br />　さらに近年、温暖化による氷の減少で、北極海が通年で航行できるようになったことを受け、脚光を浴びているのが「北極海航路」だ。<br />　こちらは日本にも直接大きな経済的影響を及ぼす。<br /><br /><a href="https://en-nichi.up.seesaa.net/image/wm006.jpg" target="_blank"><img border="0" alt="wm006.jpg" src="https://en-nichi.up.seesaa.net/image/wm006-thumbnail2.jpg" width="420" height="420"></a><br />（クリックで画像拡大）<br /><br />　ユーラシア大陸は真上から見ると、ベーリング海峡、マラッカ海峡、トルコで巨大な正三角形を描く。<br />　古くはトルコから直線で東西を結ぶ陸路のシルクロードが物流の中心。<br />　後に西欧と東アジアを結ぶ物流経路は、インド洋とスエズ運河を通る海路、南回り航路に代わった。<br />　日本とヨーロッパを結ぶ場合、北極海航路なら南回りの六割まで距離を縮められるという。<br />　これは日本と世界の経済の在り方を、劇的に変えてしまう可能性を持つ。<br />　この北極海航路においても、グリーンランドの位置は極めて重要になってくるのだ。<br />　<br />　一年半ほど<a href="http://en-nichi.seesaa.net/category/27930103-1.html" target="_blank">世界史に関する読書</a>を進めてきて、ようやく世界地理に関しても本格的な興味を持てるようになってきた。<a name="more"></a>

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            <category>海</category>
      <author>九郎</author>
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      <link>https://en-nichi.seesaa.net/article/519769578.html</link>
      <title>書初め2026</title>
      <pubDate>Mon, 19 Jan 2026 19:27:21 +0900</pubDate>
            <description>　恒例の藁筆書初め、今年はバタバタしていてパスかなと思っていたのですが、やらないとなんとなく落ち着かず、遅めになりましたが書きました。　今年は「諦」の字。　一般に何かを断念する意に使われる「あきらめる」の「諦」は、元は仏教用語で「真実」「真理」を見極める意になります。　内外激動の世相の中、心を澄ませ諦めましょう。　藁筆による書初めの過去作は以下に。　2020「一揆」　2021「叛」　2022「筵旗」　NO WAR 2022　2023「蜂起」　2024「糾」　2025「還」</description>
            <itunes:summary><![CDATA[
　恒例の藁筆書初め、今年はバタバタしていてパスかなと思っていたのですが、やらないとなんとなく落ち着かず、遅めになりましたが書きました。

<img border="0" alt="syo2026003.jpg" src="https://en-nichi.up.seesaa.net/image/syo2026003.jpg" width="420" height="420">

　今年は「諦」の字。
　一般に何かを断念する意に使われる「あきらめる」の「諦」は、元は仏教用語で「真実」「真理」を見極める意になります。
　内外激動の世相の中、心を澄ませ諦めましょう。


　藁筆による書初めの過去作は以下に。
　<a href="http://en-nichi.seesaa.net/article/473036558.html" target="_blank">2020「一揆」</a>
　<a href="http://en-nichi.seesaa.net/article/483686057.html" target="_blank">2021「叛」</a>
　<a href="http://en-nichi.seesaa.net/article/485173303.html" target="_blank">2022「筵旗」</a>
　<a href="http://en-nichi.seesaa.net/article/485737065.html" target="_blank">NO WAR 2022</a>
　<a href="http://en-nichi.seesaa.net/article/496949484.html" target="_blank">2023「蜂起」</a>
　<a href="http://en-nichi.seesaa.net/article/502016577.html?1736244495" target="_blank">2024「糾」</a>
　<a href="http://en-nichi.seesaa.net/article/508369902.html?1768827047" target="_blank">2025「還」</a><a></a>

]]></itunes:summary>
      <content:encoded><![CDATA[
　恒例の藁筆書初め、今年はバタバタしていてパスかなと思っていたのですが、やらないとなんとなく落ち着かず、遅めになりましたが書きました。<br /><br /><img border="0" alt="syo2026003.jpg" src="https://en-nichi.up.seesaa.net/image/syo2026003.jpg" width="420" height="420"><br /><br />　今年は「諦」の字。<br />　一般に何かを断念する意に使われる「あきらめる」の「諦」は、元は仏教用語で「真実」「真理」を見極める意になります。<br />　内外激動の世相の中、心を澄ませ諦めましょう。<br /><br /><br />　藁筆による書初めの過去作は以下に。<br />　<a href="http://en-nichi.seesaa.net/article/473036558.html" target="_blank">2020「一揆」</a><br />　<a href="http://en-nichi.seesaa.net/article/483686057.html" target="_blank">2021「叛」</a><br />　<a href="http://en-nichi.seesaa.net/article/485173303.html" target="_blank">2022「筵旗」</a><br />　<a href="http://en-nichi.seesaa.net/article/485737065.html" target="_blank">NO WAR 2022</a><br />　<a href="http://en-nichi.seesaa.net/article/496949484.html" target="_blank">2023「蜂起」</a><br />　<a href="http://en-nichi.seesaa.net/article/502016577.html?1736244495" target="_blank">2024「糾」</a><br />　<a href="http://en-nichi.seesaa.net/article/508369902.html?1768827047" target="_blank">2025「還」</a><a name="more"></a>

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            <category>叛</category>
      <author>九郎</author>
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        <item>
      <link>https://en-nichi.seesaa.net/article/519617159.html</link>
      <title>縁日草子2025→2026</title>
      <pubDate>Mon, 05 Jan 2026 00:00:00 +0900</pubDate>
            <description>　おくればせながら謹賀新年！　こちら神仏与太話ブログ『縁日草子』、年末になんと２０周年を迎えておりました！　開設した２０００年代半ばは、個人のネット活動がホームページや掲示板からブログ全盛期に移行しつつあったタイミング。　その後２０１０年代に入るとTwitter等のSNSが盛り上がり、ブログ人気は低迷しつつも「短いつぶやきだけでなく、がっちり記事を書きたい／読みたい」層の受け皿として機能してきました。　当ブログもアクセス数の浮き沈みを体感しながらしぶとく継続、記事数は１９００..</description>
            <itunes:summary><![CDATA[
　おくればせながら謹賀新年！

　こちら神仏与太話ブログ『縁日草子』、年末になんと２０周年を迎えておりました！
　開設した２０００年代半ばは、個人のネット活動がホームページや掲示板からブログ全盛期に移行しつつあったタイミング。
　その後２０１０年代に入るとTwitter等のSNSが盛り上がり、ブログ人気は低迷しつつも「短いつぶやきだけでなく、がっちり記事を書きたい／読みたい」層の受け皿として機能してきました。
　当ブログもアクセス数の浮き沈みを体感しながらしぶとく継続、記事数は１９００超、平均すると週二回足らずのペースで更新してきたことになります。
　お付き合い本当にありがとうございます。

　２０２５年はとくに世界史や一般教養関連の書籍レビューに注力してきました。
　そもそもは日本の宗教や歴史を自分なりに探求するブログだったのですが、一介の絵描きの悲しさ、調べるほどに基礎的な教養の不足を痛感。
　人生の残り時間を考えると勉強し直すならもう今のタイミングしかないのではないかと一念発起、読み漁った戦果報告を開始しました。

　<a href="http://en-nichi.seesaa.net/category/27930103-1.html" target="_blank">カテゴリ：教養文庫</a>

　書き進めるうちにご縁があって、２０２５年末発売の歴史本レビュー誌<a href="http://en-nichi.seesaa.net/article/519562338.html" target="_blank">『ぱん歴』創刊・第１号</a>に執筆させていただけました！
<img border="0" alt="kyb062.jpg" src="https://en-nichi.up.seesaa.net/image/kyb062.jpg" width="420" height="315">
　https://amzn.to/4jfxs2S

　今後も歴史や教養に関する読書レビューは続けていきます！

 　同じけいこう舎では、<a href="http://en-nichi.seesaa.net/article/518261780.html" target="_blank">壺井栄『妻の座』</a>のイラストも担当させていただきました。
<a href="https://en-nichi.up.seesaa.net/image/kyb56.jpg" target="_blank"><img border="0" alt="kyb56.jpg" src="https://en-nichi.up.seesaa.net/image/kyb56-thumbnail2.jpg" width="150" height="112"></a>
　https://amzn.to/3VyqUBh


　そして旧年中のもう一つのトピックと言えば、久々の<a href="http://en-nichi.seesaa.net/article/518101707.html" target="_blank">文学フリマ大阪の参加</a>でした。
　ブログ開設当初から<a href="http://en-nichi.seesaa.net/category/1027928-1.html" target="_blank">カテゴリ：原風景</a>を綴るうちに、故郷である<a href="http://en-nichi.seesaa.net/category/1027928-11.html" target="_blank">播磨の歴史探求に</a>まで行きつき、その成果をひとまず冊子にまとめて刊行しました。
　名付けて『播州パノラマ草子』！

<a href="https://en-nichi.up.seesaa.net/image/bansyut027.jpg" target="_blank"><img border="0" alt="bansyut027.jpg" src="https://en-nichi.up.seesaa.net/image/bansyut027-thumbnail2.jpg" width="420" height="279"></a>

<a href="https://en-nichi.up.seesaa.net/image/bansyut028.jpg" target="_blank"><img border="0" alt="bansyut028.jpg" src="https://en-nichi.up.seesaa.net/image/bansyut028-thumbnail2.jpg" width="420" height="279"></a>

　こちらもまだまだネタはあるので、パート２もあり得ます（笑）


　色々おちつかない世情ですが、今年も努めて淡々と進めていきたいと思います。<a></a>

]]></itunes:summary>
      <content:encoded><![CDATA[
　おくればせながら謹賀新年！<br /><br />　こちら神仏与太話ブログ『縁日草子』、年末になんと２０周年を迎えておりました！<br />　開設した２０００年代半ばは、個人のネット活動がホームページや掲示板からブログ全盛期に移行しつつあったタイミング。<br />　その後２０１０年代に入るとTwitter等のSNSが盛り上がり、ブログ人気は低迷しつつも「短いつぶやきだけでなく、がっちり記事を書きたい／読みたい」層の受け皿として機能してきました。<br />　当ブログもアクセス数の浮き沈みを体感しながらしぶとく継続、記事数は１９００超、平均すると週二回足らずのペースで更新してきたことになります。<br />　お付き合い本当にありがとうございます。<br /><br />　２０２５年はとくに世界史や一般教養関連の書籍レビューに注力してきました。<br />　そもそもは日本の宗教や歴史を自分なりに探求するブログだったのですが、一介の絵描きの悲しさ、調べるほどに基礎的な教養の不足を痛感。<br />　人生の残り時間を考えると勉強し直すならもう今のタイミングしかないのではないかと一念発起、読み漁った戦果報告を開始しました。<br /><br />　<a href="http://en-nichi.seesaa.net/category/27930103-1.html" target="_blank">カテゴリ：教養文庫</a><br /><br />　書き進めるうちにご縁があって、２０２５年末発売の歴史本レビュー誌<a href="http://en-nichi.seesaa.net/article/519562338.html" target="_blank">『ぱん歴』創刊・第１号</a>に執筆させていただけました！<br /><img border="0" alt="kyb062.jpg" src="https://en-nichi.up.seesaa.net/image/kyb062.jpg" width="420" height="315"><br />　<a href="https://amzn.to/4jfxs2S" target="_blank">https://amzn.to/4jfxs2S</a><br /><br />　今後も歴史や教養に関する読書レビューは続けていきます！<br /><br /> 　同じけいこう舎では、<a href="http://en-nichi.seesaa.net/article/518261780.html" target="_blank">壺井栄『妻の座』</a>のイラストも担当させていただきました。<br /><a href="https://en-nichi.up.seesaa.net/image/kyb56.jpg" target="_blank"><img border="0" alt="kyb56.jpg" src="https://en-nichi.up.seesaa.net/image/kyb56-thumbnail2.jpg" width="150" height="112"></a><br />　<a href="https://amzn.to/3VyqUBh" target="_blank">https://amzn.to/3VyqUBh</a><br /><br /><br />　そして旧年中のもう一つのトピックと言えば、久々の<a href="http://en-nichi.seesaa.net/article/518101707.html" target="_blank">文学フリマ大阪の参加</a>でした。<br />　ブログ開設当初から<a href="http://en-nichi.seesaa.net/category/1027928-1.html" target="_blank">カテゴリ：原風景</a>を綴るうちに、故郷である<a href="http://en-nichi.seesaa.net/category/1027928-11.html" target="_blank">播磨の歴史探求に</a>まで行きつき、その成果をひとまず冊子にまとめて刊行しました。<br />　名付けて『播州パノラマ草子』！<br /><br /><a href="https://en-nichi.up.seesaa.net/image/bansyut027.jpg" target="_blank"><img border="0" alt="bansyut027.jpg" src="https://en-nichi.up.seesaa.net/image/bansyut027-thumbnail2.jpg" width="420" height="279"></a><br /><br /><a href="https://en-nichi.up.seesaa.net/image/bansyut028.jpg" target="_blank"><img border="0" alt="bansyut028.jpg" src="https://en-nichi.up.seesaa.net/image/bansyut028-thumbnail2.jpg" width="420" height="279"></a><br /><br />　こちらもまだまだネタはあるので、パート２もあり得ます（笑）<br /><br /><br />　色々おちつかない世情ですが、今年も努めて淡々と進めていきたいと思います。<a name="more"></a>

]]><![CDATA[
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            <category>日記</category>
      <author>九郎</author>
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      <title>カテゴリ「教養文庫」折り返し</title>
      <pubDate>Fri, 26 Dec 2025 13:08:04 +0900</pubDate>
            <description>　この一年あまり、これまで不勉強だった世界史その他の一般教養についての読書を進め、折々レビューにまとめてきた。　カテゴリ『教養文庫』　きっかけとしては、昨年刊行の『ぱん歴　創刊準備0号』の刊行主旨に賛同したことが大きかった。　https://amzn.to/4sjeoF2　また、高校生になった子供を通して「歴史総合」という２０２２年の新設科目を知り、世界の近代化を横断的に学ぶその内容に感銘を受けたことがあった。　「歴史総合」への道しるべ　思い返せば私も高校生になって世界史を習..</description>
            <itunes:summary><![CDATA[
　この一年あまり、これまで不勉強だった世界史その他の一般教養についての読書を進め、折々レビューにまとめてきた。

　<a href="http://en-nichi.seesaa.net/category/27930103-1.html" target="_blank">カテゴリ『教養文庫』</a>

　きっかけとしては、昨年刊行の『ぱん歴　創刊準備0号』の刊行主旨に賛同したことが大きかった。
<img border="0" alt="kyb002.jpg" src="https://en-nichi.up.seesaa.net/image/kyb002.jpg" width="420" height="315">
　https://amzn.to/4sjeoF2

　また、高校生になった子供を通して「歴史総合」という２０２２年の新設科目を知り、世界の近代化を横断的に学ぶその内容に感銘を受けたことがあった。

　<a href="http://en-nichi.seesaa.net/article/517146020.html" target="_blank">「歴史総合」への道しるべ</a>

　思い返せば私も高校生になって世界史を習い始めたばかりの頃、「授業でやっている地域や時代で面白そうな本があったらガンガン読んでいこう」と思い立ったものだった。
　小中で習ってきた日本史に関しては、そういう読書をやっていたおかげで、とくに勉強しなくてもそこそこ得点できていたのだが、世界史の場合なかなかそう上手くは行かなかった。
　私が高校生だった８０年代はまだネットも携帯端末も存在せず、本を探すには書店か図書館に行き、自力で探し当てるしかなかったのだ。
　そしてそもそも、高1ぐらいから手にとりやすい入門書が見当たらなかった。（1979年に刊行開始した岩波ジュニア新書は100冊を超えたぐらいのタイミングで、世界史テーマの本はまださほど数が揃っていなかった）
　当初の私の目論見は早々に頓挫し、世界史には少々苦手意識を持ちながら高校生活を続けることになった。

　あれから四十年、日本の出版はピークの９０年代を通り過ぎ、２０００年代以降は下り坂に入りつつも、素晴らしい本は大量に刊行され続けている。
　とくに一般人や中高生を教養に誘う入門書の類は充実しまくっており、ネット情報もあるので良い本に極めてアクセスしやすくなっている。
　自分が高校生の頃にこの環境があったら、世界史に挫折せずに済んだのではないかと思うこともしばしばだ。
　ということで、この一年の記事更新の裏テーマとして、「高校生の頃の自分に向けたブックガイド」を想定してレビューを綴ってきた。

　約一年かけて楽しく学べる本を紹介してきたこの年末、嬉しいお知らせが一つある。
　縁あって『ぱん歴』の編集の方からお声がかかり、本日発売の創刊第一号に、「烏帽子九郎」名義で１４ページ分ほどの拙稿を掲載していただけたのだ。

●『ぱん歴　いっぱん人のいっぱん人によるいっぱん人のための歴史お勉強本レビュー誌』創刊・第1号（けいこう舎）
<img border="0" alt="kyb062.jpg" src="https://en-nichi.up.seesaa.net/image/kyb062.jpg" width="420" height="315">
　https://amzn.to/4jfxs2S

表紙に並んでいる順に、ごく簡単にではあるが各章の内容に触れておこう。

◆研究者に聞く　◆この人に聞け！
　不勉強でいずれの研究者の著作も読んだことがなかったが、この度の紹介で大いに関心を持った。
　この五年ほど美術史を勉強し直していたので、栂正行の著書タイトルを見るとどれもそそられた。
　五郎丸聖子、山脇史子の扱うテーマは、これまで私が育ち、生活してきた地域では身近に感じる。
　近代化前夜の日本を考える野口良平、キリスト教異端（とされる）カタリ派を紹介する生江双雄、ともにこれから歴史関連の読書を進める上で、必ず通るべき著作になるだろう。
◆ありがとう！　陳舜臣先生
　中国史、神戸、ともに好きなテーマで昔から興味は持ちながらまだ読めていなかった陳舜臣。掲載されている著作の背表紙を眺めるに、今すぐにでも手にとりたい本がいくつも目につく。
◆この先生を勝手に追いかけろ！　山田康弘先生の巻
　石山合戦を絵解きするという野望を抱いている私としては、戦国期の歴代足利将軍を扱った一連の著作は外せなさそう。

　そして後半、さまざまな立場から個人で歴史を考えるレビュワーのパートこそが、『ぱん歴』の本領発揮領域であろう。

◆いろいろなアメリカ
◆科学史の本がおもしろい！
◆いもづる式読書録5連発
◆わたしのこの１冊
◆ぜんぶ読みたい！吉川弘文館・歴史文化ライブラリー

　研究者やライターの方々とともに、私を含めた「いっぱん人」からの熱のこもったレビューも充実しているこの一冊、歴史好きの皆さんの来る新年からの読書の手引きとして、自信をもってお勧めできる。
　文書作成や検索における生成AIの野放図な普及、粗雑なデマによる排外主義の蔓延で急速に劣化しつつある言論に、「いっぱん人」が徒手空拳で立ち向かう反撃の狼煙である。
　この年末年始の読書のおともにも！<a></a>

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      <content:encoded><![CDATA[
　この一年あまり、これまで不勉強だった世界史その他の一般教養についての読書を進め、折々レビューにまとめてきた。<br /><br />　<a href="http://en-nichi.seesaa.net/category/27930103-1.html" target="_blank">カテゴリ『教養文庫』</a><br /><br />　きっかけとしては、昨年刊行の『ぱん歴　創刊準備0号』の刊行主旨に賛同したことが大きかった。<br /><img border="0" alt="kyb002.jpg" src="https://en-nichi.up.seesaa.net/image/kyb002.jpg" width="420" height="315"><br />　<a href="https://amzn.to/4sjeoF2" target="_blank">https://amzn.to/4sjeoF2</a><br /><br />　また、高校生になった子供を通して「歴史総合」という２０２２年の新設科目を知り、世界の近代化を横断的に学ぶその内容に感銘を受けたことがあった。<br /><br />　<a href="http://en-nichi.seesaa.net/article/517146020.html" target="_blank">「歴史総合」への道しるべ</a><br /><br />　思い返せば私も高校生になって世界史を習い始めたばかりの頃、「授業でやっている地域や時代で面白そうな本があったらガンガン読んでいこう」と思い立ったものだった。<br />　小中で習ってきた日本史に関しては、そういう読書をやっていたおかげで、とくに勉強しなくてもそこそこ得点できていたのだが、世界史の場合なかなかそう上手くは行かなかった。<br />　私が高校生だった８０年代はまだネットも携帯端末も存在せず、本を探すには書店か図書館に行き、自力で探し当てるしかなかったのだ。<br />　そしてそもそも、高1ぐらいから手にとりやすい入門書が見当たらなかった。（1979年に刊行開始した岩波ジュニア新書は100冊を超えたぐらいのタイミングで、世界史テーマの本はまださほど数が揃っていなかった）<br />　当初の私の目論見は早々に頓挫し、世界史には少々苦手意識を持ちながら高校生活を続けることになった。<br /><br />　あれから四十年、日本の出版はピークの９０年代を通り過ぎ、２０００年代以降は下り坂に入りつつも、素晴らしい本は大量に刊行され続けている。<br />　とくに一般人や中高生を教養に誘う入門書の類は充実しまくっており、ネット情報もあるので良い本に極めてアクセスしやすくなっている。<br />　自分が高校生の頃にこの環境があったら、世界史に挫折せずに済んだのではないかと思うこともしばしばだ。<br />　ということで、この一年の記事更新の裏テーマとして、「高校生の頃の自分に向けたブックガイド」を想定してレビューを綴ってきた。<br /><br />　約一年かけて楽しく学べる本を紹介してきたこの年末、嬉しいお知らせが一つある。<br />　縁あって『ぱん歴』の編集の方からお声がかかり、本日発売の創刊第一号に、「烏帽子九郎」名義で１４ページ分ほどの拙稿を掲載していただけたのだ。<br /><br />●『ぱん歴　いっぱん人のいっぱん人によるいっぱん人のための歴史お勉強本レビュー誌』創刊・第1号（けいこう舎）<br /><img border="0" alt="kyb062.jpg" src="https://en-nichi.up.seesaa.net/image/kyb062.jpg" width="420" height="315"><br />　<a href="https://amzn.to/4jfxs2S" target="_blank">https://amzn.to/4jfxs2S</a><br /><br />表紙に並んでいる順に、ごく簡単にではあるが各章の内容に触れておこう。<br /><br />◆研究者に聞く　◆この人に聞け！<br />　不勉強でいずれの研究者の著作も読んだことがなかったが、この度の紹介で大いに関心を持った。<br />　この五年ほど美術史を勉強し直していたので、栂正行の著書タイトルを見るとどれもそそられた。<br />　五郎丸聖子、山脇史子の扱うテーマは、これまで私が育ち、生活してきた地域では身近に感じる。<br />　近代化前夜の日本を考える野口良平、キリスト教異端（とされる）カタリ派を紹介する生江双雄、ともにこれから歴史関連の読書を進める上で、必ず通るべき著作になるだろう。<br />◆ありがとう！　陳舜臣先生<br />　中国史、神戸、ともに好きなテーマで昔から興味は持ちながらまだ読めていなかった陳舜臣。掲載されている著作の背表紙を眺めるに、今すぐにでも手にとりたい本がいくつも目につく。<br />◆この先生を勝手に追いかけろ！　山田康弘先生の巻<br />　石山合戦を絵解きするという野望を抱いている私としては、戦国期の歴代足利将軍を扱った一連の著作は外せなさそう。<br /><br />　そして後半、さまざまな立場から個人で歴史を考えるレビュワーのパートこそが、『ぱん歴』の本領発揮領域であろう。<br /><br />◆いろいろなアメリカ<br />◆科学史の本がおもしろい！<br />◆いもづる式読書録5連発<br />◆わたしのこの１冊<br />◆ぜんぶ読みたい！吉川弘文館・歴史文化ライブラリー<br /><br />　研究者やライターの方々とともに、私を含めた「いっぱん人」からの熱のこもったレビューも充実しているこの一冊、歴史好きの皆さんの来る新年からの読書の手引きとして、自信をもってお勧めできる。<br />　文書作成や検索における生成AIの野放図な普及、粗雑なデマによる排外主義の蔓延で急速に劣化しつつある言論に、「いっぱん人」が徒手空拳で立ち向かう反撃の狼煙である。<br />　この年末年始の読書のおともにも！<a name="more"></a>

]]><![CDATA[
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            <category>教養文庫</category>
      <author>九郎</author>
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      <title>逃げろ、若者！</title>
      <pubDate>Thu, 18 Dec 2025 16:43:40 +0900</pubDate>
            <description>　書店で表紙をチラ見しただけで「ピン！」とくる本がたまにある。●『逃げ続けたら世界一周してしまいました』白石あづさ（岩波ジュニア新書）https://amzn.to/3MQD1IJ　たとえば本書がそうで、タイトルと著者自身によるカバーイラストを見ただけで、もう面白いのが確定しているように感じ、今年9月の刊行早々に入手して読んだ。　本書は90年代、二十代後半の筆者が「会社から逃げて3年間で世界一周」した顛末が紹介されている。　私と近い世代であるらしく、最終第三章で語られる成育歴..</description>
            <itunes:summary><![CDATA[
　書店で表紙をチラ見しただけで「ピン！」とくる本がたまにある。

<a href="https://en-nichi.up.seesaa.net/image/kyb061.jpg" target="_blank"><img border="0" alt="kyb061.jpg" src="https://en-nichi.up.seesaa.net/image/kyb061-thumbnail2.jpg" width="150" height="112"></a>
●『逃げ続けたら世界一周してしまいました』白石あづさ（岩波ジュニア新書）
https://amzn.to/3MQD1IJ

　たとえば本書がそうで、タイトルと著者自身によるカバーイラストを見ただけで、もう面白いのが確定しているように感じ、今年9月の刊行早々に入手して読んだ。
　本書は90年代、二十代後半の筆者が「会社から逃げて3年間で世界一周」した顛末が紹介されている。
　私と近い世代であるらしく、最終第三章で語られる成育歴の回想には親近感を覚えた。
　やたらと子供が多い世代の真っ只中、まわりとあまり馴染めない幼少期から小中学生の「サバイバル」期間を経て、高校で美術系志望に流れ込み、なんとか実技試験をパスして大学に入り、在学中にバブルがはじけて社会人になるのに苦労し、登山等に「逃げ」ていた二十代にかけて。
　私の場合は幸か不幸かそこから「逃げて世界一周」というハイレベルな方向には進まず、せいぜい<a href="http://en-nichi.seesaa.net/category/4410501-1.html" target="_blank">熊野</a>や<a href="http://en-nichi.seesaa.net/category/1102942-1.html" target="_blank">沖縄</a>に行ったり、日本の聖地巡りをしたり、<a href="http://en-nichi.seesaa.net/category/9441452-9.html" target="_blank">ひたすら読書</a>を続けたりという程度だったが、読んでいて共感しかなかった。
　筆者御自身を直接知っているわけではないけれども、似たタイプの友人知己の顔がいくつも浮かぶし、もしかしたら「知り合いの知り合い」ぐらいの距離感にあっても不思議はない。
　今もあちこち旅している古い友人の話を聞くような、楽しい読書体験になった。

　とくに幼少期から中学生ぐらいにかけて、人は置かれた自分の境遇が「世界のすべて」であるかのように感じがちだ。
　掌のスマホは本来世界中と繋がれるはずなのに、目に入ってくる情報は限りなく狭く、等質になってくる。
　しかし、現実の世界は広く多面的で、価値観の物差しは無数にある。
　まず地理条件からくる気候の違いは、人の心に極めて大きく影響し、歴史も民族性も左右する。
　寒い地域と暑い地域では食料備蓄についての考え方が真逆になり、当然ながら生活信条も正反対になる。
　交易で成り立つイスラム圏の砂漠地帯では、「違いを尊重しつつ客人をもてなす」ことは、それこそ生きる上で「お互い様」の作法なのだろう。
　本書でも取り上げられているカストロ独裁時代のキューバの独自性は、温暖な気候無しには語れない。
　政治体制はどうあれ、庶民の一人一人はだいたいにおいて親切で、困った人がいれば助けの手を差し伸べるのは世界共通だ。

　本書で紹介されているのは筆者が旅したうちのほんの一部であろう。
　日本国内で、とくにSNS中心に排外主義の勃興する2025年の現時点で取り上げることに意味がある地域も、いくつか見受けられた。
　経済政策の失敗により、円の価値がダダ下がりの現在、若い人たちが実際に海外を旅するハードルは極めて高くなっている。
　老いも若きも狭苦しい日常に押し込められ、SNSというエコーチェンバーの牢獄で視野狭窄に嵌めこまれ、排外主義を煽られて、世界の広さを実感できなくなっている今、まさに読まれるべき本だと感じた。
　語り口は楽天的・明朗に描かれているが、実際の苦労を感じさせないのが筆者の持ち味なのだろう。

　この本を読んだ若い皆さんには、ぜひ旅に出てほしい。
　経済的に海外が難しいなら、国内でも良い。
　今住んでいるところと気候が違う地域なら、様々な刺激を受け、価値観の違いを実感できるだろう。

　気楽に逃げろ、若者！
<a></a>

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      <content:encoded><![CDATA[
　書店で表紙をチラ見しただけで「ピン！」とくる本がたまにある。<br /><br /><a href="https://en-nichi.up.seesaa.net/image/kyb061.jpg" target="_blank"><img border="0" alt="kyb061.jpg" src="https://en-nichi.up.seesaa.net/image/kyb061-thumbnail2.jpg" width="150" height="112"></a><br />●『逃げ続けたら世界一周してしまいました』白石あづさ（岩波ジュニア新書）<br /><a href="https://amzn.to/3MQD1IJ" target="_blank">https://amzn.to/3MQD1IJ</a><br /><br />　たとえば本書がそうで、タイトルと著者自身によるカバーイラストを見ただけで、もう面白いのが確定しているように感じ、今年9月の刊行早々に入手して読んだ。<br />　本書は90年代、二十代後半の筆者が「会社から逃げて3年間で世界一周」した顛末が紹介されている。<br />　私と近い世代であるらしく、最終第三章で語られる成育歴の回想には親近感を覚えた。<br />　やたらと子供が多い世代の真っ只中、まわりとあまり馴染めない幼少期から小中学生の「サバイバル」期間を経て、高校で美術系志望に流れ込み、なんとか実技試験をパスして大学に入り、在学中にバブルがはじけて社会人になるのに苦労し、登山等に「逃げ」ていた二十代にかけて。<br />　私の場合は幸か不幸かそこから「逃げて世界一周」というハイレベルな方向には進まず、せいぜい<a href="http://en-nichi.seesaa.net/category/4410501-1.html" target="_blank">熊野</a>や<a href="http://en-nichi.seesaa.net/category/1102942-1.html" target="_blank">沖縄</a>に行ったり、日本の聖地巡りをしたり、<a href="http://en-nichi.seesaa.net/category/9441452-9.html" target="_blank">ひたすら読書</a>を続けたりという程度だったが、読んでいて共感しかなかった。<br />　筆者御自身を直接知っているわけではないけれども、似たタイプの友人知己の顔がいくつも浮かぶし、もしかしたら「知り合いの知り合い」ぐらいの距離感にあっても不思議はない。<br />　今もあちこち旅している古い友人の話を聞くような、楽しい読書体験になった。<br /><br />　とくに幼少期から中学生ぐらいにかけて、人は置かれた自分の境遇が「世界のすべて」であるかのように感じがちだ。<br />　掌のスマホは本来世界中と繋がれるはずなのに、目に入ってくる情報は限りなく狭く、等質になってくる。<br />　しかし、現実の世界は広く多面的で、価値観の物差しは無数にある。<br />　まず地理条件からくる気候の違いは、人の心に極めて大きく影響し、歴史も民族性も左右する。<br />　寒い地域と暑い地域では食料備蓄についての考え方が真逆になり、当然ながら生活信条も正反対になる。<br />　交易で成り立つイスラム圏の砂漠地帯では、「違いを尊重しつつ客人をもてなす」ことは、それこそ生きる上で「お互い様」の作法なのだろう。<br />　本書でも取り上げられているカストロ独裁時代のキューバの独自性は、温暖な気候無しには語れない。<br />　政治体制はどうあれ、庶民の一人一人はだいたいにおいて親切で、困った人がいれば助けの手を差し伸べるのは世界共通だ。<br /><br />　本書で紹介されているのは筆者が旅したうちのほんの一部であろう。<br />　日本国内で、とくにSNS中心に排外主義の勃興する2025年の現時点で取り上げることに意味がある地域も、いくつか見受けられた。<br />　経済政策の失敗により、円の価値がダダ下がりの現在、若い人たちが実際に海外を旅するハードルは極めて高くなっている。<br />　老いも若きも狭苦しい日常に押し込められ、SNSというエコーチェンバーの牢獄で視野狭窄に嵌めこまれ、排外主義を煽られて、世界の広さを実感できなくなっている今、まさに読まれるべき本だと感じた。<br />　語り口は楽天的・明朗に描かれているが、実際の苦労を感じさせないのが筆者の持ち味なのだろう。<br /><br />　この本を読んだ若い皆さんには、ぜひ旅に出てほしい。<br />　経済的に海外が難しいなら、国内でも良い。<br />　今住んでいるところと気候が違う地域なら、様々な刺激を受け、価値観の違いを実感できるだろう。<br /><br />　気楽に逃げろ、若者！<br /><a name="more"></a>

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]]></content:encoded>
            <category>教養文庫</category>
      <author>九郎</author>
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                      </item>
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      <link>https://en-nichi.seesaa.net/article/519449605.html</link>
      <title>建築入門から開ける近未来の眺望</title>
      <pubDate>Fri, 12 Dec 2025 21:13:16 +0900</pubDate>
            <description>　建築分野については以前一度記事にしたことがある。建築から見る世界史　さらにごく最近、素晴らしい建築入門に出会ってしまったのでご紹介。●『これからの建築入門 〈自分でつくる〉を取り戻せ』松村秀一（岩波ジュニア新書）https://amzn.to/4iU3Sjl　今年十月の新刊だが、今後は中高生から読める平易な建築入門の定番になるだろう。　建築については、現代の「カッコイイ」建築から興味を持ったり、歴史的建造物から入っていくのがよくあるパターンだ。　本書では第1章、第２章で「そ..</description>
            <itunes:summary><![CDATA[
　建築分野については以前一度記事にしたことがある。
<a href="http://en-nichi.seesaa.net/article/513091517.html" target="_blank">建築から見る世界史</a>
　さらにごく最近、素晴らしい建築入門に出会ってしまったのでご紹介。

●『これからの建築入門 〈自分でつくる〉を取り戻せ』松村秀一（岩波ジュニア新書）
https://amzn.to/4iU3Sjl

　今年十月の新刊だが、今後は中高生から読める平易な建築入門の定番になるだろう。
　建築については、現代の「カッコイイ」建築から興味を持ったり、歴史的建造物から入っていくのがよくあるパターンだ。
　本書では第1章、第２章で「そもそも建築とは何か？」「歴史的にはどんな人々が建築を担ってきたか？」「現在の建築家とは何か？」「建築に関わる立場にはどんなものがあるか？」という根幹部分から語りおこされる。

　第３章は「建築物はいつまでもつか？」「長くもてば良いのか？」についての考察。
　近代以降の鉄筋コンクリート建築物の実際の耐用年数について触れられ、（あくまで設計や施工に問題が無く、適切にメンテナンスされた場合のことだろうけれども）「想定していた５０年程度より、かなりもつ」という結論に至る。
　今後予想される少子高齢化社会においては、筆者の指摘するように「既存の箱を長期的にどう再利用していくか」が建築の大きなテーマになってくるのは間違いない。

　第４章は建築資材の変遷がテーマ。
　伝統的な地産地消の自然素材から、戦後建築の工業製品化、林業政策の失敗、将来的には解体現場からの資材調達など、これからの建築を考える時、とりわけ重要と思われる話題が取り上げられる。

　第5章は実際に施工を行う「職人」について。
　こちらも少子高齢化で減り続ける「職人」を、今後どう確保していくかというテーマ。
　人員不足を補う作業の機械化について、「機械優先で人間に下働きをさせてはならない」という指摘は、進行しつつあるAIによる仕事の代替にも通じる。
　女性参入によるジェンダーフリー、必ずしもプロではないDIY勢による「コミュニティ大工」など、必ずしも暗い見通しだけではない「職人」の未来像が語られている。

　第6章は、建築を志す若者に向けて。
　建築を生業とするための複数ルート、大学で「建築学」を学ぶことの意味、「建てる」一辺倒ではないこれからの建築に対する考え方が提示される。
　この最終章までに仕事の具体像がかなり提示してあるので、本書を読んできた建築に関心を持つ若い人は「自分ならどこへ進みたいか」という見通しが立てやすくなっているだろう。

　メインテーマの建築の過去、現在を通して社会の変遷を考察し、近未来の世の中と仕事の在り方を見晴らす好著。
　建築を志望する中高生はもちろん、直接建築志望でなくとも社会の在り方の近未来に興味がある若者に広くお勧めできるし、もちろん大人が開いても十分に読みごたえがある。
　ジュニア新書の良さ満載の一冊だった。<a></a>

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      <content:encoded><![CDATA[
　建築分野については以前一度記事にしたことがある。<br /><a href="http://en-nichi.seesaa.net/article/513091517.html" target="_blank">建築から見る世界史</a><br />　さらにごく最近、素晴らしい建築入門に出会ってしまったのでご紹介。<br /><br />●『これからの建築入門 〈自分でつくる〉を取り戻せ』松村秀一（岩波ジュニア新書）<br /><a href="https://amzn.to/4iU3Sjl" target="_blank">https://amzn.to/4iU3Sjl</a><br /><br />　今年十月の新刊だが、今後は中高生から読める平易な建築入門の定番になるだろう。<br />　建築については、現代の「カッコイイ」建築から興味を持ったり、歴史的建造物から入っていくのがよくあるパターンだ。<br />　本書では第1章、第２章で「そもそも建築とは何か？」「歴史的にはどんな人々が建築を担ってきたか？」「現在の建築家とは何か？」「建築に関わる立場にはどんなものがあるか？」という根幹部分から語りおこされる。<br /><br />　第３章は「建築物はいつまでもつか？」「長くもてば良いのか？」についての考察。<br />　近代以降の鉄筋コンクリート建築物の実際の耐用年数について触れられ、（あくまで設計や施工に問題が無く、適切にメンテナンスされた場合のことだろうけれども）「想定していた５０年程度より、かなりもつ」という結論に至る。<br />　今後予想される少子高齢化社会においては、筆者の指摘するように「既存の箱を長期的にどう再利用していくか」が建築の大きなテーマになってくるのは間違いない。<br /><br />　第４章は建築資材の変遷がテーマ。<br />　伝統的な地産地消の自然素材から、戦後建築の工業製品化、林業政策の失敗、将来的には解体現場からの資材調達など、これからの建築を考える時、とりわけ重要と思われる話題が取り上げられる。<br /><br />　第5章は実際に施工を行う「職人」について。<br />　こちらも少子高齢化で減り続ける「職人」を、今後どう確保していくかというテーマ。<br />　人員不足を補う作業の機械化について、「機械優先で人間に下働きをさせてはならない」という指摘は、進行しつつあるAIによる仕事の代替にも通じる。<br />　女性参入によるジェンダーフリー、必ずしもプロではないDIY勢による「コミュニティ大工」など、必ずしも暗い見通しだけではない「職人」の未来像が語られている。<br /><br />　第6章は、建築を志す若者に向けて。<br />　建築を生業とするための複数ルート、大学で「建築学」を学ぶことの意味、「建てる」一辺倒ではないこれからの建築に対する考え方が提示される。<br />　この最終章までに仕事の具体像がかなり提示してあるので、本書を読んできた建築に関心を持つ若い人は「自分ならどこへ進みたいか」という見通しが立てやすくなっているだろう。<br /><br />　メインテーマの建築の過去、現在を通して社会の変遷を考察し、近未来の世の中と仕事の在り方を見晴らす好著。<br />　建築を志望する中高生はもちろん、直接建築志望でなくとも社会の在り方の近未来に興味がある若者に広くお勧めできるし、もちろん大人が開いても十分に読みごたえがある。<br />　ジュニア新書の良さ満載の一冊だった。<a name="more"></a>

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]]></content:encoded>
            <category>教養文庫</category>
      <author>九郎</author>
      <guid isPermaLink="false">blog:https://blog.seesaa.jp,en-nichi/519449605</guid>
                </item>
        <item>
      <link>https://en-nichi.seesaa.net/article/519448549.html</link>
      <title>古文学習スターターパック</title>
      <pubDate>Thu, 11 Dec 2025 18:40:16 +0900</pubDate>
            <description>　入試古文の中では『源氏物語』『徒然草』『枕草子』『宇治拾遺物語』『伊勢物語』あたりが出題頻度上位らしい。　中高生はマンガでも角川ソフィア文庫ビギナーズ・クラシックスでもいいから目を通しておくことが、得点の近道だ。　というか試験の点数云々は横に置いても、時代を超えて残る古典はやっぱり面白く、何らかの形で読んでみよう。　マンガの日本古典シリーズについては以前紹介済み。　→関連記事古典入門のその手前●『まんが日本の古典』全３２巻（中公文庫）https://amzn.to/3A5m..</description>
            <itunes:summary><![CDATA[
　入試古文の中では『源氏物語』『徒然草』『枕草子』『宇治拾遺物語』『伊勢物語』あたりが出題頻度上位らしい。
　中高生はマンガでも角川ソフィア文庫ビギナーズ・クラシックスでもいいから目を通しておくことが、得点の近道だ。
　というか試験の点数云々は横に置いても、時代を超えて残る古典はやっぱり面白く、何らかの形で読んでみよう。
　マンガの日本古典シリーズについては以前紹介済み。
　→関連記事<a href="http://en-nichi.seesaa.net/article/505426047.html" target="_blank">古典入門のその手前</a>

●『まんが日本の古典』全３２巻（中公文庫）
https://amzn.to/3A5mtHf

　今回の記事ではビギナーズ・クラシックスについて紹介してみたい。
　一冊目としては、怪異や霊験譚が中心の『宇治拾遺物語』が読んでシンプルに面白い。
　→関連記事<a href="http://en-nichi.seesaa.net/article/519263982.html" target="_blank">ビギナーズ・クラシックスで『宇治拾遺物語』を読む</a>

●『宇治拾遺物語』角川ソフィア文庫ビギナーズ・クラシックス
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　次いで『徒然草』が今の目で見てもエッセイとして楽しめる。
　

●『徒然草』角川ソフィア文庫ビギナーズ・クラシックス
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　古文でよく扱われる和歌の読み方や恋愛観は、『伊勢物語』で体験できる。
　→関連記事<a href="http://en-nichi.seesaa.net/article/519352610.html" target="_blank">ビギナーズ・クラシックスで『伊勢物語』を読む</a>

●『伊勢物語』角川ソフィア文庫ビギナーズ・クラシックス
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　以上三作を楽しめたら、仕上げとして日本古典文学の頂点『枕草子』『源氏物語』へと進むのがベストだろう。
　この二作から先に読むという考え方もあろうけれども、『枕草子』は千年経ってもツンツンに尖ったセンスで読む方にもそれ相応の力量が必要であるし、『源氏物語』は千年経っても鎮まりきらない漆黒の闇が、普通に読むには重すぎる。
　先に中世日本の時代背景や考え方を知り、下地ができてからの方が楽しみやすいと思う。
　→関連記事<a href="http://en-nichi.seesaa.net/article/505314318.html" target="_blank">再読、『枕草子』『源氏物語』『小倉百人一首』</a>

●『枕草子』（角川ソフィア文庫ビギナーズクラシックス）
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●『源氏物語』（角川ソフィア文庫ビギナーズ・クラシックス）
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　古文漢文については、文法云々より先にコミカライズや読みやすい現代語訳で楽しみつつ内容・世界観を知ってしまう方が手っ取り早く、私自身はほぼそれだけで大学入試までこなしてしまえた。
　とは言え、文法的な知識はあるに越したことはなく、以下の一冊が読みやすく、参考になった。

●『古文の読み方』藤井貞和（岩波ジュニア新書）
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　主な内容は文法解説だが、一つ一つの文法事項を実際の古典作品を例にとって４～６ページ程度で紹介してあるので、毎日一章ずつ無理なく読み進められる。
　通読するだけでかなり地力がついてくるだろう。



　古文漢文は、共通テストレベルであれば難易度はさほど高くは無い。
　日常的に様々な形で古典に触れておき、音読に慣れておけば、余裕をもって試験問題に対することができるようになるだろう。
　そもそもで言えば、硬いことを言わずに古典を日常的に楽しむ教養が大切で、点数などはあとからついてくるのだ。<a></a>

]]></itunes:summary>
      <content:encoded><![CDATA[
　入試古文の中では『源氏物語』『徒然草』『枕草子』『宇治拾遺物語』『伊勢物語』あたりが出題頻度上位らしい。<br />　中高生はマンガでも角川ソフィア文庫ビギナーズ・クラシックスでもいいから目を通しておくことが、得点の近道だ。<br />　というか試験の点数云々は横に置いても、時代を超えて残る古典はやっぱり面白く、何らかの形で読んでみよう。<br />　マンガの日本古典シリーズについては以前紹介済み。<br />　→関連記事<a href="http://en-nichi.seesaa.net/article/505426047.html" target="_blank">古典入門のその手前</a><br /><br />●『まんが日本の古典』全３２巻（中公文庫）<br /><a href="https://amzn.to/3A5mtHf" target="_blank">https://amzn.to/3A5mtHf</a><br /><br />　今回の記事ではビギナーズ・クラシックスについて紹介してみたい。<br />　一冊目としては、怪異や霊験譚が中心の『宇治拾遺物語』が読んでシンプルに面白い。<br />　→関連記事<a href="http://en-nichi.seesaa.net/article/519263982.html" target="_blank">ビギナーズ・クラシックスで『宇治拾遺物語』を読む</a><br /><br />●『宇治拾遺物語』角川ソフィア文庫ビギナーズ・クラシックス<br /><a href="https://amzn.to/3MhBYRT" target="_blank">https://amzn.to/3MhBYRT</a><br /><br /><br />　次いで『徒然草』が今の目で見てもエッセイとして楽しめる。<br />　<br /><br />●『徒然草』角川ソフィア文庫ビギナーズ・クラシックス<br /><a href="https://amzn.to/3KM8HOL" target="_blank">https://amzn.to/3KM8HOL</a><br /><br />　古文でよく扱われる和歌の読み方や恋愛観は、『伊勢物語』で体験できる。<br />　→関連記事<a href="http://en-nichi.seesaa.net/article/519352610.html" target="_blank">ビギナーズ・クラシックスで『伊勢物語』を読む</a><br /><br />●『伊勢物語』角川ソフィア文庫ビギナーズ・クラシックス<br /><a href="https://amzn.to/4ixwDC5" target="_blank">https://amzn.to/4ixwDC5</a><br /><br />　以上三作を楽しめたら、仕上げとして日本古典文学の頂点『枕草子』『源氏物語』へと進むのがベストだろう。<br />　この二作から先に読むという考え方もあろうけれども、『枕草子』は千年経ってもツンツンに尖ったセンスで読む方にもそれ相応の力量が必要であるし、『源氏物語』は千年経っても鎮まりきらない漆黒の闇が、普通に読むには重すぎる。<br />　先に中世日本の時代背景や考え方を知り、下地ができてからの方が楽しみやすいと思う。<br />　→関連記事<a href="http://en-nichi.seesaa.net/article/505314318.html" target="_blank">再読、『枕草子』『源氏物語』『小倉百人一首』</a><br /><br />●『枕草子』（角川ソフィア文庫ビギナーズクラシックス）<br /><a href="https://amzn.to/3Yd9Mlp" target="_blank">https://amzn.to/3Yd9Mlp</a><br />●『源氏物語』（角川ソフィア文庫ビギナーズ・クラシックス）<br /><a href="https://amzn.to/3Yv4yCV" target="_blank">https://amzn.to/3Yv4yCV</a><br /><br /><br />　古文漢文については、文法云々より先にコミカライズや読みやすい現代語訳で楽しみつつ内容・世界観を知ってしまう方が手っ取り早く、私自身はほぼそれだけで大学入試までこなしてしまえた。<br />　とは言え、文法的な知識はあるに越したことはなく、以下の一冊が読みやすく、参考になった。<br /><br />●『古文の読み方』藤井貞和（岩波ジュニア新書）<br /><a href="https://amzn.to/48uw9t6" target="_blank">https://amzn.to/48uw9t6</a><br /><br />　主な内容は文法解説だが、一つ一つの文法事項を実際の古典作品を例にとって４～６ページ程度で紹介してあるので、毎日一章ずつ無理なく読み進められる。<br />　通読するだけでかなり地力がついてくるだろう。<br /><br /><br /><br />　古文漢文は、共通テストレベルであれば難易度はさほど高くは無い。<br />　日常的に様々な形で古典に触れておき、音読に慣れておけば、余裕をもって試験問題に対することができるようになるだろう。<br />　そもそもで言えば、硬いことを言わずに古典を日常的に楽しむ教養が大切で、点数などはあとからついてくるのだ。<a name="more"></a>

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]]></content:encoded>
            <category>教養文庫</category>
      <author>九郎</author>
      <guid isPermaLink="false">blog:https://blog.seesaa.jp,en-nichi/519448549</guid>
                </item>
        <item>
      <link>https://en-nichi.seesaa.net/article/519408708.html</link>
      <title>漢文学習スターターパック</title>
      <pubDate>Sat, 06 Dec 2025 16:32:02 +0900</pubDate>
            <description>　国語（母語）は、学び、思考するための土台。　中高生の現代文学習のための本については何度か紹介してきた。現代文の点数を上げる方法再読、近代日本文学　国語科に含まれる古典についても紹介してみよう。　こちらも以前、本格的な学習以前に読むと良いコミカライズについて紹介した。古典入門のその手前　古文漢文で言えば、私は「どちらかというと漢文を先に」という考えなので、今回の記事では漢文学習の参考図書を扱ってみよう。　中高生が漢文学習をスタートする際にぴったりな三冊を見つけたので、中国古典..</description>
            <itunes:summary><![CDATA[
　国語（母語）は、学び、思考するための土台。
　中高生の現代文学習のための本については何度か紹介してきた。

<a href="http://en-nichi.seesaa.net/article/518465698.html" target="_blank">現代文の点数を上げる方法</a>
<a href="http://en-nichi.seesaa.net/article/505278136.html" target="_blank">再読、近代日本文学</a>

　国語科に含まれる古典についても紹介してみよう。
　こちらも以前、本格的な学習以前に読むと良いコミカライズについて紹介した。

<a href="http://en-nichi.seesaa.net/article/505426047.html" target="_blank">古典入門のその手前</a>

　古文漢文で言えば、私は「どちらかというと漢文を先に」という考えなので、今回の記事では漢文学習の参考図書を扱ってみよう。
　中高生が漢文学習をスタートする際にぴったりな三冊を見つけたので、中国古典を本格的に読み始める前のスターターパックとしてご紹介である。

<a href="https://en-nichi.up.seesaa.net/image/kyb040.jpg" target="_blank"><img border="0" alt="kyb040.jpg" src="https://en-nichi.up.seesaa.net/image/kyb040-thumbnail2.jpg" width="150" height="112"></a>
●『四字熟語で始める漢文入門』円満字二郎（ちくまプリマ―新書）
https://amzn.to/4iJGZiv
　漢字で書かれた中国の書物を、日本人が日本語として読むために考案された「訓読」の、そもそもの成り立ちから語りおこされる。
　四字熟語をお題にした送り仮名と返り点の仕組み解説からスタートし、有名な古典エピソードをネタに、重要漢字の用法を順に学んでいく構成。
　漢文の読み方とともに、中国の歴史、思想、人物が平易で楽しい語り口で紹介されていく。
　中学生ぐらいからでも十分読める漢文入門で、もちろん高校生、そして大人が読んでも勉強になる。
　通読すれば自然と漢文の基礎が身に付き、その後の学習や鑑賞の負担が大幅に軽減されるだろう。
　２０２４年刊だが、早くも漢文にまつわる「最初の一冊」の定番になりそうな好著。

<a href="https://en-nichi.up.seesaa.net/image/kyb039.jpg" target="_blank"><img border="0" alt="kyb039.jpg" src="https://en-nichi.up.seesaa.net/image/kyb039-thumbnail2.jpg" width="150" height="112"></a>
●『故事成句でたどる楽しい中国史』井波律子（岩波ジュニア新書）
https://amzn.to/3XHm9GG
　先に紹介した本とも重なる内容だが、こちらは歴史解説寄りの内容。
　古代から清王朝までの、知識０から読める中国通史。
　中国の場合、古代に遡るほど歴史と思想と文学は一体になっていくので、複数の本を周回することで、中国文化そのものへの理解が深まっていくだろう。
　人気の中国歴史エンタメ『項羽と劉邦』『三国志』その他、各時代の作品間の空白を埋めたり、前史やその後を知るのにもとても良い。
　西域との関りについてもかなり触れられているので、井上靖の小説を読む際の頭の整理にも役立つだろう。
　高校一年の「歴史総合」で扱われるのは主に近代化以降なので、そこに接続する中国関連書としても読めるだろう。

<a href="https://en-nichi.up.seesaa.net/image/kyb060.jpg" target="_blank"><img border="0" alt="kyb060.jpg" src="https://en-nichi.up.seesaa.net/image/kyb060-thumbnail2.jpg" width="150" height="112"></a>
●『漢詩入門』一海知義（岩波ジュニア新書）
https://amzn.to/4a1piZs
　中国古典の中でも「漢詩」を読むには表現形式に関する上乗せした知識が必要になってくる。
　漢詩は中国語の発音で音読することが基本になっており、その際に韻を踏んだりリズムやイメージを整えたりすることで、様々な形式が生まれてきた過程が、年代順で解き明かされていく。
　こうした成立過程の詳細な解説は、授業時間の制約から学校教育ではパスされ、「形式はこういうものだから暗記して、内容理解に集中しましょう」となりがちだ。
　そもそも日本では、漢詩であっても「訓読」で意味をとることに重きが置かれ、そのままの形の「音読」での鑑賞は、さほど行われてこなかったのではないだろうか。
　元のままの音読を通じてこそ伝わってくる内容もあり、作者の個性もあるはずで、響きやリズムをクローズアップした解説には「そういうことだったのか！」と感心することが度々あった。
　漢詩がとっつきにくく感じたら、まず本書を開いてみるのが良いだろう。


　中国文化に対する理解という点では、以前紹介した<a href="http://en-nichi.seesaa.net/article/513394523.html" target="_blank">『史上最強の哲学入門 東洋の哲人たち』</a>の中国思想を扱った章も大変良い。

　十分に下地ができた後なら、こちらも以前紹介した角川ソフィア文庫ビギナーズ・クラシックスの中国古典三冊が、より楽しめるだろう。

<a href="http://en-nichi.seesaa.net/article/505313659.html" target="_blank">再読、『論語』『孫子』『唐詩選』</a><a></a>

]]></itunes:summary>
      <content:encoded><![CDATA[
　国語（母語）は、学び、思考するための土台。<br />　中高生の現代文学習のための本については何度か紹介してきた。<br /><br /><a href="http://en-nichi.seesaa.net/article/518465698.html" target="_blank">現代文の点数を上げる方法</a><br /><a href="http://en-nichi.seesaa.net/article/505278136.html" target="_blank">再読、近代日本文学</a><br /><br />　国語科に含まれる古典についても紹介してみよう。<br />　こちらも以前、本格的な学習以前に読むと良いコミカライズについて紹介した。<br /><br /><a href="http://en-nichi.seesaa.net/article/505426047.html" target="_blank">古典入門のその手前</a><br /><br />　古文漢文で言えば、私は「どちらかというと漢文を先に」という考えなので、今回の記事では漢文学習の参考図書を扱ってみよう。<br />　中高生が漢文学習をスタートする際にぴったりな三冊を見つけたので、中国古典を本格的に読み始める前のスターターパックとしてご紹介である。<br /><br /><a href="https://en-nichi.up.seesaa.net/image/kyb040.jpg" target="_blank"><img border="0" alt="kyb040.jpg" src="https://en-nichi.up.seesaa.net/image/kyb040-thumbnail2.jpg" width="150" height="112"></a><br />●『四字熟語で始める漢文入門』円満字二郎（ちくまプリマ―新書）<br /><a href="https://amzn.to/4iJGZiv" target="_blank">https://amzn.to/4iJGZiv</a><br />　漢字で書かれた中国の書物を、日本人が日本語として読むために考案された「訓読」の、そもそもの成り立ちから語りおこされる。<br />　四字熟語をお題にした送り仮名と返り点の仕組み解説からスタートし、有名な古典エピソードをネタに、重要漢字の用法を順に学んでいく構成。<br />　漢文の読み方とともに、中国の歴史、思想、人物が平易で楽しい語り口で紹介されていく。<br />　中学生ぐらいからでも十分読める漢文入門で、もちろん高校生、そして大人が読んでも勉強になる。<br />　通読すれば自然と漢文の基礎が身に付き、その後の学習や鑑賞の負担が大幅に軽減されるだろう。<br />　２０２４年刊だが、早くも漢文にまつわる「最初の一冊」の定番になりそうな好著。<br /><br /><a href="https://en-nichi.up.seesaa.net/image/kyb039.jpg" target="_blank"><img border="0" alt="kyb039.jpg" src="https://en-nichi.up.seesaa.net/image/kyb039-thumbnail2.jpg" width="150" height="112"></a><br />●『故事成句でたどる楽しい中国史』井波律子（岩波ジュニア新書）<br /><a href="https://amzn.to/3XHm9GG" target="_blank">https://amzn.to/3XHm9GG</a><br />　先に紹介した本とも重なる内容だが、こちらは歴史解説寄りの内容。<br />　古代から清王朝までの、知識０から読める中国通史。<br />　中国の場合、古代に遡るほど歴史と思想と文学は一体になっていくので、複数の本を周回することで、中国文化そのものへの理解が深まっていくだろう。<br />　人気の中国歴史エンタメ『項羽と劉邦』『三国志』その他、各時代の作品間の空白を埋めたり、前史やその後を知るのにもとても良い。<br />　西域との関りについてもかなり触れられているので、井上靖の小説を読む際の頭の整理にも役立つだろう。<br />　高校一年の「歴史総合」で扱われるのは主に近代化以降なので、そこに接続する中国関連書としても読めるだろう。<br /><br /><a href="https://en-nichi.up.seesaa.net/image/kyb060.jpg" target="_blank"><img border="0" alt="kyb060.jpg" src="https://en-nichi.up.seesaa.net/image/kyb060-thumbnail2.jpg" width="150" height="112"></a><br />●『漢詩入門』一海知義（岩波ジュニア新書）<br /><a href="https://amzn.to/4a1piZs" target="_blank">https://amzn.to/4a1piZs</a><br />　中国古典の中でも「漢詩」を読むには表現形式に関する上乗せした知識が必要になってくる。<br />　漢詩は中国語の発音で音読することが基本になっており、その際に韻を踏んだりリズムやイメージを整えたりすることで、様々な形式が生まれてきた過程が、年代順で解き明かされていく。<br />　こうした成立過程の詳細な解説は、授業時間の制約から学校教育ではパスされ、「形式はこういうものだから暗記して、内容理解に集中しましょう」となりがちだ。<br />　そもそも日本では、漢詩であっても「訓読」で意味をとることに重きが置かれ、そのままの形の「音読」での鑑賞は、さほど行われてこなかったのではないだろうか。<br />　元のままの音読を通じてこそ伝わってくる内容もあり、作者の個性もあるはずで、響きやリズムをクローズアップした解説には「そういうことだったのか！」と感心することが度々あった。<br />　漢詩がとっつきにくく感じたら、まず本書を開いてみるのが良いだろう。<br /><br /><br />　中国文化に対する理解という点では、以前紹介した<a href="http://en-nichi.seesaa.net/article/513394523.html" target="_blank">『史上最強の哲学入門 東洋の哲人たち』</a>の中国思想を扱った章も大変良い。<br /><br />　十分に下地ができた後なら、こちらも以前紹介した角川ソフィア文庫ビギナーズ・クラシックスの中国古典三冊が、より楽しめるだろう。<br /><br /><a href="http://en-nichi.seesaa.net/article/505313659.html" target="_blank">再読、『論語』『孫子』『唐詩選』</a><a name="more"></a>

]]><![CDATA[
]]></content:encoded>
            <category>教養文庫</category>
      <author>九郎</author>
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      <title>ビギナーズ・クラシックスで『伊勢物語』を読む</title>
      <pubDate>Tue, 02 Dec 2025 21:43:31 +0900</pubDate>
            <description>　角川ソフィア文庫ビギナーズ・クラシックスで日本や中国の古典を読むのにハマっている。　しばらく前に『伊勢物語』を読了した。●『伊勢物語』（角川ソフィア文庫ビギナーズ・クラシックス）　https://amzn.to/4ixwDC5　怪異譚の多い中世説話は昔から好きでよく読んでいたのだが、歌物語は趣味ではなくて敬遠していた。　作品紹介で「和歌の上手いモテ男の恋愛譚」などと言われると、わが身とあまりにかけ離れすぎて（苦笑）、あえて手にとる意欲が湧かなかった。　それでも古来読み継がれ..</description>
            <itunes:summary><![CDATA[
　角川ソフィア文庫ビギナーズ・クラシックスで日本や中国の古典を読むのにハマっている。
　しばらく前に『伊勢物語』を読了した。

●『伊勢物語』（角川ソフィア文庫ビギナーズ・クラシックス）
　https://amzn.to/4ixwDC5

　怪異譚の多い中世説話は昔から好きでよく読んでいたのだが、歌物語は趣味ではなくて敬遠していた。
　作品紹介で「和歌の上手いモテ男の恋愛譚」などと言われると、わが身とあまりにかけ離れすぎて（苦笑）、あえて手にとる意欲が湧かなかった。
　それでも古来読み継がれている物語なので、読めるものなら読んでおきたいとは思っていた。
　この度、ビギナーズ・クラシックスならなんとか通読できるのではないかと開いてみたのだ。

　実際読んでみてかなり印象は変わった。
　中高生の頃、古典の授業で「筒井筒」「芥川」「東下り」あたりの有名エピソードはもちろん読んでいた。
　しかし全体像を知った後で思い返すと、それらは短くキリは良いけれども、『伊勢物語』の主人公「昔男」のキャラクターがよくわかる箇所ではなかったのだなと、あらためて知った。
　六歌仙の一人である在原業平とおぼしき昔男が、「歌の上手いモテ男」であることは事実だ。
　しかしそれを単純に礼賛するように描かれているわけではなく、血筋のわりに権勢欲は薄く、正統な漢学よりも和歌を好み、色恋にしか情熱が持てない昔男には、どこか憎めない裏表のなさがある。
　貴族社会から庶民の世界まで自由に動ける立ち位置にありながら、ただただ女性が好きで流浪してしまうことが、広く愛された要因なのだろう。
　全くタイプは違うが、ファンからの愛され方は「フーテンの寅さん」に近いものがあるのではないか?

　解説に、伊勢物語を元ネタの一つとして源氏物語が成立したらしいことが書かれている。
　光源氏は薄幸の少年期はともかく、三十過ぎたあたりから妖怪じみてきて、死後も源氏の深すぎる業の後始末で物語が続いている。
　伊勢物語の昔男にはそうした種類の「粘っこい闇」は感じない。
　四五段「行く蛍雁に伝えよ秋の風」では、会ったこともないのに自分のことを片思いしすぎて亡くなった娘のことを聞き知り、慌てて駆けつけて物思いにふける姿が描かれている。
　気の毒ながらかなり滑稽な状況で、こういう所が憎めなさである。

　昔男の晩年も、淡々と語られている。
　人と関わるのが好きで、歌をたくみに詠み続けた男が、晩年には「何を言葉にしたところで、自分と同じ人はいないのだから、わかってはもらえない」と呟く。
　それでも恋は続けつつ、最後は呆気なく亡くなる。

　ビギナーズ・クラシックスを読むたびに思うのは、原典の音読向きの本づくりであることだ。
　今回収録された歌を音読してみて、「筒井筒」をはじめ、音の響きそのものの呪術性みたいなものも感じた。
　とくに「歌物語」の場合、「意味さえ取れればそれでよい」というわけにもいかず、実際に音声にしてこそ伝わるイメージも多い。
　ビギナーズ・クラシックス編集スタイルの定型として、収録各エピソードの最初は現代語訳で、そこだけ読んでも内容はつかめるが、やはり原文は読み飛ばさずに音読しておきたい。<a></a>

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      <content:encoded><![CDATA[
　角川ソフィア文庫ビギナーズ・クラシックスで日本や中国の古典を読むのにハマっている。<br />　しばらく前に『伊勢物語』を読了した。<br /><br />●『伊勢物語』（角川ソフィア文庫ビギナーズ・クラシックス）<br />　<a href="https://amzn.to/4ixwDC5" target="_blank">https://amzn.to/4ixwDC5</a><br /><br />　怪異譚の多い中世説話は昔から好きでよく読んでいたのだが、歌物語は趣味ではなくて敬遠していた。<br />　作品紹介で「和歌の上手いモテ男の恋愛譚」などと言われると、わが身とあまりにかけ離れすぎて（苦笑）、あえて手にとる意欲が湧かなかった。<br />　それでも古来読み継がれている物語なので、読めるものなら読んでおきたいとは思っていた。<br />　この度、ビギナーズ・クラシックスならなんとか通読できるのではないかと開いてみたのだ。<br /><br />　実際読んでみてかなり印象は変わった。<br />　中高生の頃、古典の授業で「筒井筒」「芥川」「東下り」あたりの有名エピソードはもちろん読んでいた。<br />　しかし全体像を知った後で思い返すと、それらは短くキリは良いけれども、『伊勢物語』の主人公「昔男」のキャラクターがよくわかる箇所ではなかったのだなと、あらためて知った。<br />　六歌仙の一人である在原業平とおぼしき昔男が、「歌の上手いモテ男」であることは事実だ。<br />　しかしそれを単純に礼賛するように描かれているわけではなく、血筋のわりに権勢欲は薄く、正統な漢学よりも和歌を好み、色恋にしか情熱が持てない昔男には、どこか憎めない裏表のなさがある。<br />　貴族社会から庶民の世界まで自由に動ける立ち位置にありながら、ただただ女性が好きで流浪してしまうことが、広く愛された要因なのだろう。<br />　全くタイプは違うが、ファンからの愛され方は「フーテンの寅さん」に近いものがあるのではないか?<br /><br />　解説に、伊勢物語を元ネタの一つとして源氏物語が成立したらしいことが書かれている。<br />　光源氏は薄幸の少年期はともかく、三十過ぎたあたりから妖怪じみてきて、死後も源氏の深すぎる業の後始末で物語が続いている。<br />　伊勢物語の昔男にはそうした種類の「粘っこい闇」は感じない。<br />　四五段「行く蛍雁に伝えよ秋の風」では、会ったこともないのに自分のことを片思いしすぎて亡くなった娘のことを聞き知り、慌てて駆けつけて物思いにふける姿が描かれている。<br />　気の毒ながらかなり滑稽な状況で、こういう所が憎めなさである。<br /><br />　昔男の晩年も、淡々と語られている。<br />　人と関わるのが好きで、歌をたくみに詠み続けた男が、晩年には「何を言葉にしたところで、自分と同じ人はいないのだから、わかってはもらえない」と呟く。<br />　それでも恋は続けつつ、最後は呆気なく亡くなる。<br /><br />　ビギナーズ・クラシックスを読むたびに思うのは、原典の音読向きの本づくりであることだ。<br />　今回収録された歌を音読してみて、「筒井筒」をはじめ、音の響きそのものの呪術性みたいなものも感じた。<br />　とくに「歌物語」の場合、「意味さえ取れればそれでよい」というわけにもいかず、実際に音声にしてこそ伝わるイメージも多い。<br />　ビギナーズ・クラシックス編集スタイルの定型として、収録各エピソードの最初は現代語訳で、そこだけ読んでも内容はつかめるが、やはり原文は読み飛ばさずに音読しておきたい。<a name="more"></a>

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            <category>中世物語</category>
      <author>九郎</author>
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      <link>https://en-nichi.seesaa.net/article/519263982.html</link>
      <title>ビギナーズ・クラシックスで『宇治拾遺物語』を読む</title>
      <pubDate>Sun, 30 Nov 2025 11:21:42 +0900</pubDate>
            <description>　日本古典の中でも幅広い層に親しまれてきたのが中世説話集で、その代表といえば、『今昔物語集』『宇治拾遺物語』があげられるだろう。　このカテゴリ中世物語では、『今昔物語集』収録のエピソードについて少し紹介してきた。　最近『今昔物語集』とも共通するエピソードがある『宇治拾遺物語』を、ビギナーズ・クラシックスで読み返してみたのでメモしておこう。●『宇治拾遺物語』（角川ソフィア文庫ビギナーズ・クラシックスhttps://amzn.to/3MhBYRT　謎めいた序文とその解説から入って..</description>
            <itunes:summary><![CDATA[
　日本古典の中でも幅広い層に親しまれてきたのが中世説話集で、その代表といえば、『今昔物語集』『宇治拾遺物語』があげられるだろう。
　このカテゴリ中世物語では、『今昔物語集』収録のエピソードについて少し紹介してきた。
　最近『今昔物語集』とも共通するエピソードがある『宇治拾遺物語』を、ビギナーズ・クラシックスで読み返してみたのでメモしておこう。

●『宇治拾遺物語』（角川ソフィア文庫ビギナーズ・クラシックス
https://amzn.to/3MhBYRT

　謎めいた序文とその解説から入っていて、大人になってからだとこういう所が非常に面白く感じる。
　説話そのものと同時に、「どのような意図のもと説話集を編んだのか？」ということに対する興味も出てくるのだ。
　一筋縄ではいかない雰囲気を感じつつ、ピックアップされた各エピソードの世界へと入っていく。
　イメージ的に「説話」というと教訓話、説教話のような先入観を持ちがちだが、収録作を実際読んでみると、言うほど説教ぽくはない。
　むしろ、何らかの意味を読み取ることをはぐらかされるようなエピソードが多く、内容を表現するならやはり「怪異譚集」あたりが相応しい。

　こういう本は読むタイミングによって心に響くエピソードが変動するだろう。
　有名な「こぶとり爺さん」、「他人の吉夢を手に入れる」等の昔話、芥が龍之介の再話、「羅刹国」「纐纈城」等の伝奇、サブカルチャーの元ネタになった有名エピソードも勿論面白いが、今回はもう少し地味ながら人間の心の機微が垣間見えるようなエピソードが面白く感じた。

●八八話「賀茂の社から米と紙を頂いた話」
　凡庸で貧しい比叡山の僧が寺社で夢告を得ようとするが、あちこちでたらい回しにされる。
　それでも粘って参籠していると、最後にほんのささやかなアイテムを得る。
　その結果、「いと別にきらきらしからねど、いとたのしき法師になりてぞありける。なほ、心長く、物詣ではすべきなり」というような功徳を得る。
　浅学非才の身としては、しみじみと「かくありたし」と思えるエピソードだ。

●一二五話「保輔が盗人だった話」
　殺人に禁忌を持たない異常者を、もしかしたら権力者が飼っていて、好きにやらせつつ利用しているのではないかと匂わせる不気味なエピソード。
　こうしたエピソードをわざわざ収録した編者の意図を、色々想像してしまう。

●一六九話「念仏僧が魔往生した話」
　類話がいくつかある、熱心な信仰者が魔にばかされるエピソードだが、こちらの僧はついに正気に返らず、狂死する。
　こういう恐ろしいエピソードを読むにつけ、SNSで素人相手に導師を気取るスピリチュアル界隈など、末路は悲惨であろうと思う。
　タイトルの「魔往生」というのはパワーワードで、自分が達成した往生が紛い物であることに気づかないまま、すっかり仏になったつもりで、救済しているつもりで、これはという修行者を巡回する魔物というのもいそうである。

●一九四話「仁戒承認が極楽往生した話」
　真正の往生譚も収録されている。
　紛い物との違いを端的に表現するのは難しいが、やはり「虚栄心」や「自己顕示欲」あたりが転落の契機になっていそうだ。
　自分に起こった奇瑞の類が「俗なイメージ通り」だと、かえって疑ってかかった方が良い。

●一八四話「御堂関白の飼い犬の超能力の話」
　道長、晴明、道摩法師が登場し、術比べをする有名エピソードで、超能力犬も登場し、後のサブカルでも幾度となく引用されている。
　一般には「田舎の怪しい民間陰陽師を、宮廷お抱えの晴明が退治した」というイメージになると思うが、陰陽道に関しては大陸からの文化が瀬戸内海を通ってくる道筋の播磨や吉備の方が本場だった。
　そうした実力派の術者に対抗できるのは、都では晴明ぐらいのものだったのだろう。

●一九七話「盗跖と孔子とが問答した話」
　孔子が有名な悪人を諭そうとして、とりつくしまもなく追い返されるエピソード。
　説話と言いながら、微妙に道徳律がすかされることの多い『宇治拾遺物語』のラストとしては、むしろふさわしい。

　全一九七話から厳選した三四話で構成された、とても良いダイジェストだった。
　集められた説話の数々はどれも「一筋縄ではいかない」筋立てで、かなり目が肥えた読み手、聞き手を想定しているのではないだろうか。
　編まれた時点での、物語受容層の成熟が感じられる物語集だった。
<a></a>

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      <content:encoded><![CDATA[
　日本古典の中でも幅広い層に親しまれてきたのが中世説話集で、その代表といえば、『今昔物語集』『宇治拾遺物語』があげられるだろう。<br />　このカテゴリ中世物語では、『今昔物語集』収録のエピソードについて少し紹介してきた。<br />　最近『今昔物語集』とも共通するエピソードがある『宇治拾遺物語』を、ビギナーズ・クラシックスで読み返してみたのでメモしておこう。<br /><br />●『宇治拾遺物語』（角川ソフィア文庫ビギナーズ・クラシックス<br /><a href="https://amzn.to/3MhBYRT" target="_blank">https://amzn.to/3MhBYRT</a><br /><br />　謎めいた序文とその解説から入っていて、大人になってからだとこういう所が非常に面白く感じる。<br />　説話そのものと同時に、「どのような意図のもと説話集を編んだのか？」ということに対する興味も出てくるのだ。<br />　一筋縄ではいかない雰囲気を感じつつ、ピックアップされた各エピソードの世界へと入っていく。<br />　イメージ的に「説話」というと教訓話、説教話のような先入観を持ちがちだが、収録作を実際読んでみると、言うほど説教ぽくはない。<br />　むしろ、何らかの意味を読み取ることをはぐらかされるようなエピソードが多く、内容を表現するならやはり「怪異譚集」あたりが相応しい。<br /><br />　こういう本は読むタイミングによって心に響くエピソードが変動するだろう。<br />　有名な「こぶとり爺さん」、「他人の吉夢を手に入れる」等の昔話、芥が龍之介の再話、「羅刹国」「纐纈城」等の伝奇、サブカルチャーの元ネタになった有名エピソードも勿論面白いが、今回はもう少し地味ながら人間の心の機微が垣間見えるようなエピソードが面白く感じた。<br /><br />●八八話「賀茂の社から米と紙を頂いた話」<br />　凡庸で貧しい比叡山の僧が寺社で夢告を得ようとするが、あちこちでたらい回しにされる。<br />　それでも粘って参籠していると、最後にほんのささやかなアイテムを得る。<br />　その結果、「いと別にきらきらしからねど、いとたのしき法師になりてぞありける。なほ、心長く、物詣ではすべきなり」というような功徳を得る。<br />　浅学非才の身としては、しみじみと「かくありたし」と思えるエピソードだ。<br /><br />●一二五話「保輔が盗人だった話」<br />　殺人に禁忌を持たない異常者を、もしかしたら権力者が飼っていて、好きにやらせつつ利用しているのではないかと匂わせる不気味なエピソード。<br />　こうしたエピソードをわざわざ収録した編者の意図を、色々想像してしまう。<br /><br />●一六九話「念仏僧が魔往生した話」<br />　類話がいくつかある、熱心な信仰者が魔にばかされるエピソードだが、こちらの僧はついに正気に返らず、狂死する。<br />　こういう恐ろしいエピソードを読むにつけ、SNSで素人相手に導師を気取るスピリチュアル界隈など、末路は悲惨であろうと思う。<br />　タイトルの「魔往生」というのはパワーワードで、自分が達成した往生が紛い物であることに気づかないまま、すっかり仏になったつもりで、救済しているつもりで、これはという修行者を巡回する魔物というのもいそうである。<br /><br />●一九四話「仁戒承認が極楽往生した話」<br />　真正の往生譚も収録されている。<br />　紛い物との違いを端的に表現するのは難しいが、やはり「虚栄心」や「自己顕示欲」あたりが転落の契機になっていそうだ。<br />　自分に起こった奇瑞の類が「俗なイメージ通り」だと、かえって疑ってかかった方が良い。<br /><br />●一八四話「御堂関白の飼い犬の超能力の話」<br />　道長、晴明、道摩法師が登場し、術比べをする有名エピソードで、超能力犬も登場し、後のサブカルでも幾度となく引用されている。<br />　一般には「田舎の怪しい民間陰陽師を、宮廷お抱えの晴明が退治した」というイメージになると思うが、陰陽道に関しては大陸からの文化が瀬戸内海を通ってくる道筋の播磨や吉備の方が本場だった。<br />　そうした実力派の術者に対抗できるのは、都では晴明ぐらいのものだったのだろう。<br /><br />●一九七話「盗跖と孔子とが問答した話」<br />　孔子が有名な悪人を諭そうとして、とりつくしまもなく追い返されるエピソード。<br />　説話と言いながら、微妙に道徳律がすかされることの多い『宇治拾遺物語』のラストとしては、むしろふさわしい。<br /><br />　全一九七話から厳選した三四話で構成された、とても良いダイジェストだった。<br />　集められた説話の数々はどれも「一筋縄ではいかない」筋立てで、かなり目が肥えた読み手、聞き手を想定しているのではないだろうか。<br />　編まれた時点での、物語受容層の成熟が感じられる物語集だった。<br /><a name="more"></a>

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            <category>中世物語</category>
      <author>九郎</author>
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